9月15日のことで、かなり日が経ってしまったが、交運労協ハイタク部会で、静岡市に静岡TaaS「タク放題」試乗と遠隔点呼の視察に行ってきた。
まずは静岡駅から「一般社団法人 静岡TaaS」(代表理事:清野吉光さん)
https://www.shizuoka-taas.com/が手掛けるいわゆる定額乗り放題タクシーである「タク放題」の試乗。
TaaSとは、Taxi as a Serviceで、MaaSをもじったもので、「タク放題」は静岡市街地北西部の別に定められたエリア内の定額タクシー乗り放題サービスだ。
サービスの提供は月曜から金曜日(祝日含む)までの平日で、午前10:00~午後5時までの時間帯におこなっており、このサービス提供時間内なら、65歳以上は月額8,000円(税込)、65歳未満は月額1万円(税込)で(クレジットカードによる前払い)で、エリア内の乗降が何度でも可能となる。
予約は、専用アプリか予約センターへの電話でおこなう。
これは「募集型企画旅行」という制度を使っておこなっわれており、現在は2022年7月1日~12月30日までの「6か月間限定の実証実験」となっている。
試乗後、共同配車センター運営サービスを行っている事務所に訪問させてもらって、清野代表から詳しく説明を伺った。
現在はなかなか登録者数が伸び悩んでおり、説明会イベントを積極的に開催しPRに努めていること。
補助金無しの自立的な運営で行っていて、採算をどう取っていくか、会員数と運用車両数の最適化が課題だとのこと。
ご説明を聞いて自分が思ったことは、
①平日昼間の限定的なサービス時間で自家用車から切り替える気になって貰えるか
②現在は期間限定の実証実験中で、やはり自家用車から切り替える気になって貰えるか
③高齢者がメインターゲットになると思うがクレジットカード決済に抵抗がある人が多いのではないか
④タクシーとの競合を避けるためにエリアを限定しているとのことだが、そこは悩ましい
⑤タクシー借り上げであるが、貸切料金6500円に対し、システム使用料・販促料として3900円、タクシー会社(運転者)の売り上げとなる2600円は妥当なのか
などなど、いろいろあるが、しかし高齢者の運転免許返納を支えるということも含めて、自家用車から公共交通へシフトして貰う取り組みとして良い試みだと思うので、ぜひ頑張って欲しい。
①②については、これから長期的にやっていければ解決しそうだ。
その上で、エリア外やサービス提供時間外には、タクシーや他の公共交通機関を利用と組み合わせて利用してもらったとしても、ユーザー側には、自家用車の購入費用や維持費と比較して、充分にお釣りが来ると思うので、その辺の具体的なアピールも重要だと思う。
③については、他の決済方法の検討や、遠方に住んでいる子供から親への「仕送り」的な利用を仕組んでいくという方法もあるかと思う、茨城県水戸市の取り組みのように「ふるさと納税」に絡ますのもありかも。
④については、既存の公共交通であるバス・タクシーとの教護を避けると言うことは重要な要素ではあるが、その間隙を補うエリア内輸送という超近距離輸送に特化は重要。
その上で、このエリアを複数設定して利用者は各々のエリア内利用に限り、運行するタクシーは複数エリアを網羅する形で運行するってのはどうだろうか。
⑤については、採算性も含めての持続可能性と効率性の関係があるが、解決できると思う。
「補助金無しの自立的な運営」を目指していると言うが、運行タクシーによる「見守りサービス」であったり、繰り返すが免許返納や車を使えない学生や高齢者の移動サービスの確保などの社会政策・自治政策・福祉政策的役割にも有効であって、クロスセクター効果も含めて、行政や地域住民、他の公共交通関係者も含めて地域で議論して欲しい。
さらに、遠隔点呼の視察。
実証実験を経て、4月1日より、使用する機器・システムの要件等を満たすことで、バス・タクシー事業者において、遠隔拠点間での点呼が可能となったのだが、タクシー会社として承認された2社のうちの1社である(株)駿河交通さん(
https://www.suruga-taxi.com/)の遠隔点呼システム(
東海電子(株)がセットアップしたもの)と、本社と営業所間でのデモを見学させてもらった。
遠隔点呼については、「遠隔点呼に使用する機器・システムが満たすべき要件」「遠隔点呼を実施する場所が満たすべき施設・環境要件」「運用上の遵守事項」といろいろハードルが高く、また設備投資もそれなりに必要なのだが、運転者不足、運行管理者不足、長時間労働の是正、人件費を含めた経営費用の削減などを考えると、今後、活用が進むと思っている。
初期の設備投資費用について、国土交通省からの補助金の新設拡充を、労働組合としても求めていく。