11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス法。
(定義)
第二条この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの
〇「特定受託事業者」は、労基法上の労働者を含まないが、「特定受託事業者」は、労組法上の労働者を含む。
⇒ 労組法上の労働者と判断される者には、フリーランス法が重畳的に適用される。
⇒ 形式的に業務委託契約を締結している場合であっても、実質的に見て労基法上の労働者と判断されるならば、フリーランス法は適用されない。
〇「特定受託事業者」は、下請法・独占禁止法の対象となる事業者に該当する。
⇒発注企業側(「業務委託事業者」、「特定業務委託事業者」)の範囲は下請法より広く、事業者が自らの事業のために他の事業者に委託する行為全てが含まれる。
〇「特定受託事業者」なのか労基法上の労働者なのかの区別は、具体的事情をもとに事後的に判断される。
⇒労働法との関係では、労働者を「特定受託事業者」と誤分類することに伴うリスクに注意が必要。
⇒事後的に当該就労者が労基法上の労働者と判断された場合、労働関係法令違反を問われるリスクが残る。
〇「労働者性」が拡大する可能性、「労働者性」の判断が将来的に変化する可能性。
☆就労者の利用形態(雇用かフリーランスか)を、基本に立ち戻って考えることが、経営上の観点から重要。
・労働契約の基本構造=使用者がビジネス全体を設計し、その収益をすべて使用者に帰属させる。
⇒就労者は指揮命令を受けて就労し対価(賃金)を得る一方でビジネスから生じる収益を得ることが出来ずビジネスの全体像についても関与しえない。
・いわゆる業務委託は、まさにビジネスの一部を就労者に委託するもの。
⇒委託先に対して「指揮命令」することが許されず、就労者には委託された部分のビジネスから生じる収益が帰属し、同時にその失敗のリスクも負担する。
➡就労者との契約形態を決める際には、契約構造の基本的な違いを理解することが重要。
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