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徳島県神山町「新たな公共交通 まちのクルマ Let’s」、町の費用負担が課題のようだが、クロスセクター効果も評価して欲しいな

2025-01-21 | 書記長社労士 公共交通


 昨年末のことになるが、交運労協ハイタク部会で、徳島県神山町に「新たな公共交通 まちのクルマ Let’s」について視察に行ってきた。
徳島空港から徳島バスのリムジンで徳島駅で、そこから同じく徳島バスの路線バス「佐那河内線(62系統)」で神山役場前まで。
運賃は1200円で、乗車時間は1時間ちょっとと、なかなかなバスの旅だ。
途中の、協立病院前、亀井病院前、佐那河内役場前の停留所は、道路端ではなく、敷地内に入ってそれぞれの正面玄関前にバス停が設置してあって、徳島バス、素晴らしい。


 神山町役場総務課のご担当者から「まちを将来世代につなぐ 高齢社会における公共交通と情報発信」についてご説明を受けた。

昭和47年、路線を廃止する徳島バスの代替手段として、町営バスの運行が始まり、大きく3路線(大中尾・勘場・名ヶ平線、焼山寺線、二ノ宮線)に分かれて1日24往復。
昭和49年度には町営バスの年間利用者数が約60,000人に達するなど賑わいを見せていたが、人口の減少に伴い、年々乗車率は低下の一途をたどる。
収支で見ると赤字が続き、平成12年には徳島バスの路線減でコースを増やしたこともあってそれ以降、赤字が大幅となり、結果、まちの大切な交通手段として、約50年間親しまれてきたが、令和5年3月31日をもって運行を終了した。
町営バスと並行して、高齢者タクシー助成を平成24年から令和4年まで実施したが(70歳以上・上限2000円で半額助成・60回の回数制限)、こちらもタクシーは高くて年金生活にはこたえる、病院に行く回数が多いとチケットが不足…などの声があった。



解決策として「まちのクルマLet's」を運行開始。
「まちのクルマLet’s」はタクシー会社3社をはじめ、役場内外の方々と多くの議論を重ね、車で移動することに不安を抱えている方や遠出をあきらめていた方々のことを最優先に考え、誕生した。

①乗車運賃(上限8,000円)の85%は町が助成し、個人負担は15%で乗車できる。
②神山町に住民票がある人が対象。利用に際しては、事前に利用登録が必要。マイナンバーカードで認証を行う。年齢、用途、回数の制限はない。
③予約は電話またはアプリ(さあ・くる)で、町内のタクシー会社(川又タクシー、寄井観光、つばめ観光)に依頼。
④タクシーを利用して町外へ行く場合、発着地のいずれかが神山町内に限る。

検討の前提としては
❶住民ファースト ⇒ 役所や事業者の都合は後回し
❷タクシー事業者の経営維持 ⇒ これまで町営バスの運行を委託してきた
❸財政支出の費用対効果の向上 ⇒ 費用を抑えるとろくなことにならない、お金が住民にちゃんと届くように

タクシー(道路運送法第4条)⇒町内からどこにでも・誰でも
自家用有償旅客運送(道路運送法第72条の2・公共ライドシェア)⇒町内のみ・住民のみ
タクシー車両と自家用有償旅客運送車両の併用で運行(準特定地域なのでタクシーの増車ができなかったので)、ソフトメーターアプリを開発した。
個人負担の15%はバス運賃並みに抑えるために設定した。

実績として「16,214回/年」と従来の町営バスとタクシー助成事業に比較して1.8倍で、対人口の利用者数は17%。
しかし、町の財政支出は78,873,000円と、以前より2.5倍の費用増。
今後、国への要望活動、企業版ふるさと納税、他地域の展開などを考えていきたい。



 ご説明をいただいて、「クロスセクター効果について検証されたことはありますか」との質問に対して、まだ1年なのでこれから検証していきたいとのこと、「公共交通確保維持改善事業として助成を受けられるメニューはないのだろうか」との質問に対して、いまのところ見当たらないとのこと。
素晴らしい事例なので私たちとしても国に働き掛けていきたいとお話しし、視察を終了した。
その後、役場の前の(有)寄井観光さんのタクシーに宿まで乗車。
運転者さんとの会話でも「以前はお遍路さんを対象としたバス運行していたがコロナでだめになった。廃業も考えていたところ、『まちのクルマLet’s』がスタート、現在は経営がたいへん楽になり、かつ住民の皆さんにも喜んでもらえて遣り甲斐になっている」とのこと。
ただ、「運賃の80%が町負担で、財政的に継続的に運行が可能かどうかは心配だ」とも話されていた。


 前にも書いたが、この視察自体、「この度は、神山町への視察を検討いただきまして、誠にありがとうございます。令和6年度の視察については、多くの方々から申し込みがあり、現在新規の申し込みを見合わせております。大変申し訳ございませんが、再開の目処が立つまでしばらくお待ちください。(R6.6.1)」って町役場のHPに書かれていて諦めかけてたら、うちの局長の神山町出身のお母さんの伝手で受け入れてもらえることになったってこと、ほんまにありがたいし、この視察が有意義やったことがうれしい🤣
さて、この経験を、どう運動に展開させるかだ。

※ 地域公共交通のクロスセクター効果とは、地域公共交通を廃止した時に追加的に必要となる多様な行政部門の分野別代替費用と、運行に対して行政が負担している財政支出を比較することにより把握できる地域公共交通の多面的な効果のこと。
地域公共交通赤字=廃止でいいの?
地域公共交通が廃止になったら、医療送迎やスクールバスが必要となり、現在の補助金より行政コストが増加するかもしれないということ。



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