ホセ・ムヒカ 日本人に伝えたい本当のメッセージ 萩一晶

2016年にホセ・ムヒカが初来日した時はブームになり、日本でも沢山のメディアに取り上げられた。

「世界で一番貧しい大統領」はあらゆるマスコミに追いかけられて「貧しくても幸福」というメッ

セージしか伝わらなかった感がある。本人の柔らかい印象もあって幸福論を語る気のいいおじさん

というイメージ。しかしホセ・ムヒカは活動家であり、政治家なのだ。本書には活動家ホセ・ムヒ

カの記録が綴られているが、若くしてゲリラ組織に身を投じ、地下活動を始める。そして4度の逮捕、

13年間牢収監される（10年間は独房）ことになる。


驚くのはここからで非合法活動をしていたホセ・ムヒカは、やがて釈放され選挙で当選し、下院議員

になり、上院議員、農牧水産大臣をへて、大統領ににまで上り詰める。武装ゲリラから大統領になっ

たという話は聞いたことが無い。大統領になったムヒカ氏は貧困の撲滅に力を注ぎ、教育の充実を図

る。


現在各国で頻繁に取り上げられるのは国民の幸福度です。経済も勿論重要ですが経済大国が国民の幸

福度が高いわけではありません。本文中に世界幸福度ランキングで日本は53位とありました。日本の

政治家にムヒカ氏の行動を見て、発言を聴いてほしい。


ホセ・ムヒカ 日本人に伝えたい本当のメッセージ　　　　　　萩一晶　　　　朝日新書