衝撃的な内容だった。日本の学生生活に馴染めない16歳の女子がアメリカに渡り、進級の為に担当の先
生に与えられた課題がディベート。テーマは「天皇の戦争責任」である。しかし日本の学校では第二次
世界大戦前までに時間がかかり、戦争そのものは簡単な記述で終わり、天皇の戦争責任という重要な問
題に触れることはない。
主人公のマリは基本的な事実の積み重ねから、戦争当時の天皇、軍部の責任を考察し、天皇の責任を認
める立場に立ち、ディベートに臨む。その段階でアメリカが関与した戦争についても知ることになり、
戦争の過程を理解し、次の戦争に工夫を加えるアメリカ政府の変化を感じ、戦争の本質を徐々に理解し
ていく事になる。日本では過去の歴史に学ばない事が多い。今までを見れば同じ愚を繰り返しているこ
とに気づかされる。
クライマックスのディベートの場面は本当に息詰まる。協力者も得ながらマリは奮闘するが、自身の立
場も不安定で筋道を示すことが困難だ。アメリカ人に責められる事柄は多く、窮地に立つのは私たち日
本人に突き付けられた課題の多さを実感させる。それでも聡明なマリは自らの考察を元に突き進む。
最後にマリは天皇とは「器」であるということに思い至る。単純に独裁者とは特定できないということ
だ。責任を問うのも難しい。私たちは過去をもう一度調査しキチンと知り総括することが必要だ。文庫
で500ページを超える大作だが、沢山の人に読んでほしい本だ。
東京プリズン 赤坂真理 河出文庫
生に与えられた課題がディベート。テーマは「天皇の戦争責任」である。しかし日本の学校では第二次
世界大戦前までに時間がかかり、戦争そのものは簡単な記述で終わり、天皇の戦争責任という重要な問
題に触れることはない。
主人公のマリは基本的な事実の積み重ねから、戦争当時の天皇、軍部の責任を考察し、天皇の責任を認
める立場に立ち、ディベートに臨む。その段階でアメリカが関与した戦争についても知ることになり、
戦争の過程を理解し、次の戦争に工夫を加えるアメリカ政府の変化を感じ、戦争の本質を徐々に理解し
ていく事になる。日本では過去の歴史に学ばない事が多い。今までを見れば同じ愚を繰り返しているこ
とに気づかされる。
クライマックスのディベートの場面は本当に息詰まる。協力者も得ながらマリは奮闘するが、自身の立
場も不安定で筋道を示すことが困難だ。アメリカ人に責められる事柄は多く、窮地に立つのは私たち日
本人に突き付けられた課題の多さを実感させる。それでも聡明なマリは自らの考察を元に突き進む。
最後にマリは天皇とは「器」であるということに思い至る。単純に独裁者とは特定できないということ
だ。責任を問うのも難しい。私たちは過去をもう一度調査しキチンと知り総括することが必要だ。文庫
で500ページを超える大作だが、沢山の人に読んでほしい本だ。
東京プリズン 赤坂真理 河出文庫