今年の果樹の作物は遅れ気味でありながら
幸水梨は凍霜の被害が大きく
例年のような忙しさはなく終わりを迎えます
仲間でやっている選果作業も
高齢と天候不順に悩まされ
一年々の戦いになってきました
それでも顔を合わせると楽しく
みんな元気の源になっているようです
ベランダに蝉がひっくり返ってひと夏の短い命を閉じていた
この姿も珍しくなってきました
身近な昆虫でありながらその生態は明らかではなく
不思議な分かりそうで分からない蝉
もう25年ほど前になるのかな
息子が小三の夏休みの一研究で
梨の樹に蝉の抜け殻が葉や枝に佃煮にできそうなくらいあったので
一本の樹を決めて毎日収集して数える研究をしました
梨の樹のもとには這い出してきた穴もたくさん見られ
梨を収穫していても蝉の声の賑やかさも半端ないものでした
顔にはぶつかるし
飛び立つときは必ず小便をかけられました
抜け殻のピークは8月の5日頃から始まり
お盆過ぎるとたちまち減っていきました
多い時は一本の樹で数十匹の命が誕生していたと思います
7年土の中にいて
自然界に出ると7日間くらいの命だとか
その間は鳴いて繁殖活動を終えれば死を迎えるという
蝉の一生はプログラムされたその通りを生き抜く
みんな同じ決められた一生を送っているんですね
そして同じようにひと夏の短い命を終えるときを迎えると
脚が縮まり 硬直しだすと
体を支えることが出来なくなりひっくり返り
ジーっと終わりを待つ
たまに知らない頃はひっくり返ってしまったと
飛べるようにひっくり返してあげても
どうもそれは余計なお世話でした
今では蝉の抜け殻はほとんど梨の園では見られません
これを儚いというのか
悲哀を感じていいのか
自然の摂理が狂ってきてしまったのか
それよりも自分の役目を精一杯生き抜いていること
姿で何かを語ってくれているのかもしれない
蝉の声も段々と静かになり
夏も終わりだな・・・
せめて大好きな土の上に戻してあげよう