宮下昌也の近況報告    MASAYA MIYASHITA 's News

美術家・宮下昌也の展覧会、ライブペインティングなどの活動情報と
南房総、鴨川の日々の生活から最新情報を掲載しています。

野州麻紙工房訪問

2013-07-19 | 
駒ヶ根のくらふてぃあで知り合った野州麻紙工房の大森さんを訪ねる機会に恵まれました。ちょうど大麻について勉強会を行っている自然王国のミツオ君と千葉県内の有志神主さんグループが、収穫期を迎える大森さんの大麻畑の見学に行くというので、同行させてもらうことになったのでした。

栃木県鹿沼市の大森さんの農園は江戸時代から続く大麻農家。8代目の芳紀さんは代々続く家業である神社などに納める精麻作り以外に麻紙を制作したり、カフェを運営したり、麻農家の新しい可能性を模索されています。お父さんで7代目の由久さんは日本麻振興会の理事長を務めるなど、絶滅寸前の日本の大麻産業の存続に尽力されています。


到着後、まずはカフェで一休み。古材を使って建てたオシャレなカフェで、麻生地のピザで昼食。内装の壁紙も照明も全部麻紙。


カフェの奥は、芳紀さんが制作している様々な麻グッズのギャラリー。


芳紀さんの紙漉工房も見学させてもらいました。


その後、お父さんの由久さんの案内で、収穫した大麻の加工場を見学。左に吊るしてあるのが、大麻の茎を火入れしてから醗酵の過程を経て作られた精麻。主に神事に使用。奥に積んである緑色のが醗酵の過程が無い干麻。こちらは畳を縫う糸に加工されるそうです。


皮を剥いだあとの茎を乾燥させたオガラ。


麻畑にも案内してもらいました。道の両脇に普通に広がる大麻畑。この光景を見ると、この作物が麻薬扱いを受けて、法律で規制の対象になっているとはとても思えません。


人の背丈より遥かに高く育った麻畑に立っていると、何とも清々しい気を感じます。田んぼの稲の隣に大麻が揺れているこの土地の光景はまさに日本の原風景なのでしょう。


繊維を取るため密集させて育てた麻に対し、こちらは種を取るために枝をのばして育てられた麻。それぞれの栽培方法の違いから、加工技術、麻と日本文化の精神性まで、由久さんの話は生涯大麻を育て続けて来た人だから語れる説得力に満ちていました。

ヘンプブランドの仕事で描く機会は増えているけど、実際に生えている光景は中々見ることが出来ない麻。今度はスケッチブックを携えて、じっくり描きに訪れたいと思いました。



3度目のチェンマイ滞在

2012-12-03 | 
しばらくブログを更新しませんでしたが、アサバアートスクエアの個展が終わった2日後より10日間、チェンマイに行っていました。その様子を報告したいと思います。


行きの飛行機より富士山を望む。この日は快晴で日本列島上空を通過する間、大阪湾、淡路島、桜島から南西諸島の島々まで太平洋岸すべてが見渡せました。


たどり着いたパヤカチェンマイ。2月にオープンした時より植物達が成長し、緑に被われていました。ここに10日間滞在。チェンマイは結構な都会ですが、パヤカの植物達のおかげでずいぶん助かりました。朝はスズメの半分位の小さな小鳥やリス達が遊びに来ていました。


旅人のオアシス、宇宙が行き交う旅の宿パヤカチェンマイ。

3度目になるチェンマイ滞在の目的は、パヤカのヘンプブランドasanaのグラフィックデザイン用のイラスト制作。パヤカトールさんとはいつもイベント時に会うので、お互いアイデアがあっても話し合う時間が持てず、洋服作りの現場チェンマイでじっくり練り込もうという計画。


洋服の縫製工場の企画室で、出来上がったサンプルを手直しするパヤカトール。
服飾デザイナーモード全開で、イベントの時のミュージシャンやオーガナイザーといったトールさんの顔とはまた違った一面です。


縫製工場で仕上がり具合をチェック。
この後プリント工場も見学させてもらいました。こういった現場は中々入る機会が無く、今回洋服作りの行程にふれたことはグラフィックを起こす上でも参考になり、何よりどういった環境の中で作られているのか知ることで、asanaのブランドコンセプトをより理解することにつながりました。そしてトールさんとの毎晩に及ぶディスカッションの末、何枚ものイラスト描いて手渡して来ました。来年の春頃よりパヤカの服に登場します。オンラインショップをチェックしてくださいね!

毎日パヤカで絵を描く日々でしたが、合間をぬって今までに知り合ったチェンマイ在住の人々の家やショップを訪ねたり、興味ある場所を訪ねたり、お楽しみもいろいろありました。少しづつチェンマイの地理も理解できて来た感じです。


タイ人アーティスト・トアのギャラリーMATOOM ART SPACEの前で、奥さんの葉子さんと心月ちゃん。旧市街の中心地近くにあります。


チェンマイ大学の敷地内にあるランナー様式の古民家を集めたミュージアム。実はパヤカチェンマイの建物も100~150年経っている古民家なので、ここにある建物に作りが近い。


その近くのマーケット。


ちょっと奮発して行ったべジタリアンビュッフェ。タイはとにかく美味しいものいっぱい!


滞在中ちょうどロイカトーンという大きなお祭があり賑わっていました。


ロイカトーンは日本でいう灯籠流し。葉や花で作った灯籠を願いを込めて川に流します。灯籠は各家で作ったりしますが、ピン側沿いにはいろいろな形のカトーン(灯籠)が沢山売られたいました。


ロイカトーンの時のピン川の様子。川辺には沢山の灯籠が流れ、空にはコムローイが浮かび、打ち上げ花火や爆竹が夜通し鳴っています。


パヤカの庭でコムローイを上げる所。コムローイは紙で出来た小さな熱気球。ボール紙を蝋で固めた様な着火部に火をつけると、見る見るうちに熱気がたまって空に飛んでいきます。


これは他のサイトから引用した写真ですが、ピン側沿いはこんな光景。よくこれで火事が起きないな、とちょっと心配。今年の春は3・11の追悼のためこのコムローイを上げるイベントがあったそうです。


もう乾季に入る頃なのに度々雨もありました。日本のように湿度を含んだ空気のチェンマイも新鮮でした。おかげでチェンマイゲートの上にかかった虹にも遭遇。


帰りの飛行機より、夕日に照らされるベトナム東海岸。


いのちの祭り2012

2012-09-20 | 
金沢文庫芸術祭1DAYイベントの翌朝は4時起きで、ポール・ワーグナーさん、浅葉さん達とインディアンフルートサークルのジャッキーさんの車で富士山のふもとっぱらで開催されているいのちの祭り2012へ。
こういったイベントに創る側ではなくお客さんとして参加する事もなかなか無い機会で、今回はゆっくり会場を廻って楽しむことができました。とは言っても夕方には帰るスケジュールで広い会場全ては廻りきれませんでしたが、会場に入って早々に沢山の友人との再会、そして出会いもあり、帰る時にはお約束の虹も出て、短い時間にいくつもの感動があった一日でした。
1988年に始まり、現在全国で繰り広げられている “祭り” “フェス” “ギャザリング” の原点ともいえる「いのちの祭り」、12年に一度の大祭として、続いていく事を願っています。


会場に入ると朝一番にANBASSAの演奏が始まり、タケルの声が響き渡る。


それと同時に7ジェネレイションズウォークの面々が祈りを携えて、名古屋に向かってのウォーキングに出発する。


会場は広~いテント村。


素敵なお店がいっぱい。


こどもたちが楽しめるワークショップもいろいろ。


大きな大きなテントの周りをサンバ隊が行進する。左側の屈強な男たちは、女の人や子供たちを御神輿に担いで会場を練り歩いていました。


パヤカのテントで一休みさせてもらいました。お店裏のくつろぎスペースでまったりするパヤカガールズ。


ステージではいろいろな演目が繰り広げられていましたが、僕は会場を飾る沢山のアートを見て回るのに夢中でした。


ステージ脇の流木アート。


イェーイ!


レイブ系DJブース。夜はどんなになるんだろう?


今回楽しみにしていたアートギャラリー外観。


中は10人弱の作家の室内展示。4人は奥で公開制作。右手前の公開制作は伊藤清泉さん。


昨年11月に鬼籍に入られたカウンターカルチャー系画家の巨匠、故・アキノイサムさん。イサムさんは「いのちの祭り2000」の時、僕のテントに遊びに来てくれた嬉しい思い出があります。


今回一番注目の薬師丸郁夫さん。薬師丸さんの絵はフライヤーなどで前から気になっていたのですが、絵画作品を見たのは初めて。コラージュやデジタル処理に見える画面が実は全て油彩による手描きという、もの凄い画力。大リスペクトです!会場内にいたらしいご本人にお会い出来なかったのが心残りですが、これも何かのタイミング。


ポールさんと喜多郎のステージ。


東南アジアツアー:タイランド編~パヤカチェンマイオープニングイベントの巻

2012-03-12 | 
ついにパヤカチェンマイ店オープニングの日がやって来ました!


看板も完成。


開店するとお店は大盛況!


夕方、ライブを楽しみにお客さん達が続々と集まって来ます。3日間のライブイベントには、日本のオルタナ系ミュージシャンが、次々と登場。


一番手「かむあそうトライブス」の演奏で、ライブペインティングもスタート。
「かむあそうトライブス」は中部地方で話題沸騰中のアコースティックレゲエバンド。今年のコヅカ・アートフェスティバルにも来てもらう予定です。


知久寿焼さん。


そしてもちろん、「モーフの旅」。モーフとは彼らのセカンドアルバムにあたる絵本CDを現在制作中!ご期待下さい!


ラビラビ。ピコのパヤカチェンマイ仕様ドラムセットに注目。日本から持って来た(!)ウォーターボトルに、チェンマイで買ったバスドラ、そしてこのセット用に僕がペイントを施したピコがパヤカ敷地内で見つけた水道ポンプのカバー。


ラビラビの演奏の盛り上がりっぷりはこちらの動画でご覧下さい。


3日間、演奏の間はず~と描きっぱなしでした。


3日間のライブペインティングで完成した大作。実はこれはここに元々設置してあった古い看板をリメイク。パヤカチェンマイにこのままずっと展示されます。モチーフは事前にトールさんと相談して、お店のテーマとリンクした絵になっています。


1日目のライブで描いた朝。太陽と、海と、動物たち。


2日目に描いた夜。月と、星と、水晶。



3日目に描いたのは、朝と夜の間に広がる大地と虹、そして僕等の暮らすシャンバラ。

この3日に渡るオープニングイベントは、ミュージシャン達のサイトにもupされていますので、そちらもご覧下さい。

パヤカブログ
http://payakablog.exblog.jp/14769587/

モーフの旅ブログ
http://ryuji510.exblog.jp/15481548/

rabirabiブログ
http://nawafumi.jugem.jp/?eid=135

かむあそうトライブスブログ
http://peace-man13.jugem.jp/?eid=330

そんな感じで、7回に渡った東南アジアツアー報告を、この辺で終了させてもらいます。帰国して10日以上経ってもまだ身体の中にアジアの暖かい風を感じる程、濃い体験満載の日々でしたが、モーフの旅風に言えばそろそろ「さぁ、次の旅に出発だ~!」と言う訳で、まだ寒さの残る日本の春に着地しようと思います。
きっとまた時空を共有できる日が来るであろうことを夢見、各地でお世話になった多くの方に大きな感謝を捧げさせてください。
ありがとうございました! teremakasi ! koppun kah !



東南アジアツアー:タイランド編~パヤカチェンマイ オープンに向けて....の巻

2012-03-10 | 
パヤカチェンマイでは浜松からスタッフのほとんどが集結し、築100年位の建物を改造して、オープンに向けての準備が着々と進んでいました。


窓の格子を虹色にぬったり、ポップを作ったり、ペインティング作業をする女性スタッフ陣。


到着したときはちょうど店内の壁は全てペンキがぬり終わっていたので、早速壁画制作開始。


外ではタイの大工さんと男性スタッフの混成チームで、ステージ作り。
パヤカチェンマイには約2週間逗留しましたが、その間にオープンまでの店内の造作はもとより、ステージが出来上がり、そのまわりに木が植樹され、芝生が敷き詰められ、シャワールームが増築され.....、とオープン後も変化が止まることはありませんでした。僕もそのエネルギーの流れに乗って、店内に壁画を描き、窓や扉をペイントし、旅の間に描いた絵を展示し、3日間のライブペインティングで大きな絵を仕上げ、帰る直前にチェンマイ用Tシャツの図案を描き上げました。

浜松のパヤカも訪れる度に増改築がなされていていつも驚かされますが、パヤカトールさんのクリエイティビティはここでもとどまることを知らず、日々圧倒的でした。お店のオーナー、ミュージシャン、服飾デザイナー、と多彩な顔をもつトールさんですが、そのどれにも収まっていない彼の個性は、まさにアーティストと呼ぶ以外にないと思います。またスタッフ全員がイメージを共有し、より良い物を創り上げていく空気は、参加していて本当に楽しいです。


藤の絨毯が敷かれ、廃材で棚が作られ....。


パヤカの象徴「麻の葉紋」に、今回初登場の「麻の葉唐草」。


バリで作ったバティック1作目は、結局ここのカフェコーナーに設置されることに.....。


窓を開け締めすると種が発芽する様になっています。


商品もならび、入り口のドアの絵も出来上がり、後はオープンを待つばかり。



宮下昌也と巡る悠久の旅