宮下昌也の近況報告    MASAYA MIYASHITA 's News

美術家・宮下昌也の展覧会、ライブペインティングなどの活動情報と
南房総、鴨川の日々の生活から最新情報を掲載しています。

きらめ樹スパーク@アートガーデン・コヅカ

2010-06-28 | アートガーデン・コヅカ
先週の土曜日にアートガーデン・コヅカで、NPO法人「森の蘇り」が皮むき間伐を全国に広める活動の一環として、全国9カ所で同時開催されたワークショップ「きらめ樹スパーク」が行われました。。


「森の蘇り」の支援グループ「オノココロ」のメンバーが、密度管理の計算をするために50㎡の結界を作っているところ。この中に生えている杉の木の直径を測り、皮を剥く木を割り出します。今回11本生えている木のうち8本の皮を剥くことにしました。


20名を越える参加者が森に入ります。これだけの人が入るだけで、生態系は変化します。


レクチャーの後、命を頂く感謝と、精霊達への挨拶を込めてお酒と塩とお米を捧げます。


さて、皮むきの開始。まずノコギリでぐるりと皮を切り、竹と槌を使って皮を剥いて行きます。


ある程度剥けたらそこから引っ張る!


うまく剥ける木、あまり剥けない木があるけれど、この瞬間はとっても楽しい!ちびっ子も大喜び!健康な木はうまく剥けるけど、すでに枯れかかっている水を吸い上げてない木は剥けない様です。


きれいに剥けるとこんな感じ。きらめいてますね~!美しいです!でも、生きたまま皮を剥いだ状態は生々しい印象も受けました。
この水が滴る様な輝きは、本当に短い間で、1時間もすると乾いて来てしまいます。薪割りした時の木の断面の輝きや、取れたての野菜の輝きがすぐに無くなってしまうのと似ています。これが、命の輝きです。

このワークショップを通して「きらめ樹」が普段森に触れる機会の無い人達が自然を体験し、森林の現状を考える機会を得るためにとても有効であることを感じました。いくら知識を詰め込んでも、実際に触れなければ一本一本の木、ひとつひとつの場所全てが違うことを理解することは難しい。
そしてこの間伐方法が、この土地に合ったものかどうかが実証されて行くのはこれからのこと。まずは8月のコヅカ・アートフェスティバルで、「オノココロ」のメンバーによって、皮むきを実施した場所でこの日の様子の写真展が開かれます。そして、1~2年後に伐倒して木達が材となった時、この日の作業がひとつの環になるのです。

天竜川ツアー:ライブペインティングwith大村和生編

2010-06-23 | ライブペインティング
パヤカを後にし伊那谷に戻り、次はアートハウスで大村和生さん(カズさん)とのライブペインティング。このライブペインティングの前にはカズさんの暮らす高遠町の芝平(シピラ)へ、ライブペインティングの後はゲスト出演でかっこいいハーモニカを聴かせてくれた水島ぜんべさんの暮らす飯田市上村へお邪魔することになるのですが、ここでまさかのデジカメの故障!貴重な場面も沢山あったのにぃぃぃ!
.......しょうがないのでこの後の画像は、web上で引っ張って来たものを載せます。


カズさんの暮らす芝平はこんな所です。標高1200mもあり、南房総とは植生が全然違う。家の周りでは春ゼミが鳴いていました。
カズさんは日本蜜蜂を飼っていて、ちょうどライブの朝、分蜂が始まって貴重な巣分かれの瞬間に立ち会うことが出来ました。分蜂が始まるとカズさんは蜂が集まる木の前で群れを捕まえる瞬間を待って動かないので、それにつきあって朝ご飯は外で食べました。なんだかお産の時みたい。新しい群れが生まれるのを今か今かと待ち、無事新しい巣箱に女王蜂が入ったのを確認すると、家族で拍手!
こんな感じで、コラボレーションするのにまず生活の場の共有から始まってライブ会場に向かいました。


その日のライブで描けた絵がこれです。カズさんの唄と僕の絵には共通するモチーフが多く、初めて聴いたときから同じ世界を視ている確信があり、今回家にお邪魔してその生活ぶりに触れたことで、とてもリラックスした展開のライブになりました。カズさんの5歳の息子の一新君には「今日は蜂の絵描いたらいいんじゃないですかぁ~.....。」と朝から言われていたのですが、どうだったでしょう?

そしてライブの翌日は、ゲスト出演してくれた水島ぜんべさん宅へ......。


ぜんべさんの暮らす上村下栗集落はこんな所。標高800~1100mの間に集落が広がり傾斜角30度という、日本のチロルの異名がある山岳地帯。伊那谷を巡っていると、僕の暮らす南房総の山なんて全然平らじゃん!と思えて来ました。


ぜんべさんはこの山村で木工を生業として、地域に深く関わって暮らしていました。上村が飯田市に合併する前は村議会議員をやっていたこともあるそうで、伝統的な霜月祭でも重要な役回りを担っているようでした。きっと凝り性なのでしょう、蕎麦打ちの腕前も玄人はだし。この日も、ジャニス・ジョップリンやデッドのDVDを見ながらサクサクと蕎麦を打ってごちそうしてくれました。

この様に沢山の人々のご好意に支えられ、天竜川ツアーは無事終了しました。全ての人のお名前をブログに列挙することは出来ませんが、本当にありがとうございました。行く先々で、素敵な出会いと再会と、繋がるご縁を感じる2週間でした。
次の時代の豊かさを創るアートの潮流は、人と自然の接する所で着実に育まれ、天竜川はそんな人々を繋ぐまさに“龍脈”なのでした。

天竜川ツアー:パヤカ-芽生えvol.3編

2010-06-22 | ライブペインティング
駒ヶ根の後は再び浜松まで戻り、パヤカの展覧会最後のライブペインティング。


パヤカのボス、トオルさん。お店を経営し、数々のイベントを企画し、自らもミュージシャンとして飛び回っているパワフルガイ。
この日は「7世代先の子供達のことを考えて、今を生きよ!」というネイティブアメリカンの教えにインスパイアされ、長距離を歩くという初源的な行為によって、刹那的な物質至上主義社会を抜け出し、未来を生きる答えを見つけようと長野から名古屋、浜松を通って東京の高尾まで1ヶ月以上のウォークを続けている「7 generations walk(セブン ジェネレーションズ ウォーク)」とのジョイントを企画してくれました。7gwalkを主宰している山俊尚さんは、以前アートガーデン・コヅカを訪れたこともあり、彼らの歩いた軌跡をブログで拝見すると、安曇野ではシャンティクティやチャーリーさん、民ちゃん、伊那谷では大村カズさんやサブニュマなど知り合いの名前が続々.....。ご縁を感じます。
彼らの活動を応援しているパヤカで、彼らの演奏やトーク、そしてパヤカ楽団の演奏と共にペインティングするという素晴らしいイベント。しかもこの日はパヤカ9周年の日!


ちょっと失礼して、パヤカの裏方を激写。まったりムードのパヤカもスタッフのしっかりした仕事ぶりに支えられています。


店内の特設ステージでリハーサル中のパヤカ楽団。


パーカッションとコラを操るHOZU。展覧会中の3回のライブペインティングでは必ず彼の音がありました。


HOZUの奥さんのカズちゃん。トランキュランの名前で活躍中の素晴らしいアーティスト。いつ産まれてもおかしくない臨月の妊婦さんだけど、ライブに参加してカホン叩いてました。

その後イベントがスタートしますが、その様子はこちらで。
http://blog.7gwalk.org/?day=20100610

こちらのパヤカギャラリーでも。
http://www.payaka.com/gallery/gallery.html


素敵なフィナーレを迎え、翌朝7gwalkの面々を送り出し、パヤカでの1ヶ月を越える展覧会は終了しました。パヤカに関わる人達との交流からは沢山の影響を受けました。感謝、感謝、感謝です!
そして、この展覧会を通して2点の絵画と1点の版画がパヤカに所蔵されました。絵画はどちらもポストカードの原画で、とても愛着のある作品なので、いい所にお嫁に行ったなぁと嬉しく思っています。また10月に静岡方面に行く予定があるので、この中部地方のキースポット、旅人のジャンクションにぜひ立ち寄りたいと思っています。

天竜川ツアー:くらふてぃあ・杜の市編

2010-06-20 | ライブペインティング
今年も来ました!杜の市!300を越えるクラフトマンが集まる日本有数のクラフト市として、今年で14回を迎えます。菅の台会場でのライブペインティングを続けて10年目。毎年この日が来るのを本当に楽しみにしてます。


まずは晴天の空に映える駒ヶ岳にご挨拶。今年もよろしくお願いします。


今年は念願かなって、ここで描き上げた過去三年間の作品を野外ステージに展示できました。竹馬の芸を披露してるのは、去年より格段に腕を上げた大道芸人の田中健太君。でも、本人の弁では「まだまだ....。」だそうだ。この姿で彼が会場内を歩くだけで杜の市が只のクラフト市で無くなってしまいます。


そしてすっかりムードメーカーになった伊那谷のアフリカンリズム&ダンスチーム、サブニュマ。


こちら夜の交流会のステージ。演奏しているのはサブニュマの中心メンバーで結成している、アフリカの楽器を使ったオリジナル楽曲バンド、サバカン。一番右飛び入りでウクレレを弾いているのは、万華鏡作家のユウスケ。


サブニュマ&サバカンのボス、タケちゃん。今や伊那谷のキーパーソン。


2日目早朝の駒が池会場の風景。池のまわりにぐるっとブースが並んでいい感じだけど、イベントオープン中はず~っとライブペインティングしているので、こんな時間にしか見に来れない.....。ここでしか出会えない作家物が沢山並んでいるのに、ゆっくり見て回れないのが、毎年の悩みの種。


他の追従を許さない質の高い芸を披露するバルーンパフォーマー、ゴンベエさん。持ち芸の幅の広さ、毎年新しい技を披露するその研鑽ぶりには頭が下がります。この会場で芸を披露しているパフォーマーは少しずつ入れ替わり、妖しくもコミカルな舞踏で人々を引きつけていた舞踏家・本木幸治さんが、昨年の12月に鬼籍に入られて、僕とゴンベエさんが一番古株になってしまいました。彼は僕のことを「杜の市のヌシ」と呼びますが、伊那谷でずっと活躍しているゴンベエさんこそが本当の“ヌシ”です。


さて、こちらが今年描き上げた絵です。撮影は昨年に引き続きお世話になった佐伯familyの家の納屋の前で。今年もいい絵が描けたなぁ~、と自負しています。駒ヶ根で描いたここ3年間の絵はどれもポストカードになっていますが、この絵もポストカード候補です。駒ヶ根でのパフォーマンスは、杜の市の実行委員で木工家でミュージシャンのぜんべさんのお陰で実現しています。繰り返し言っていることですが、ライブペインティングは一人で描いているのではないのです。沢山のお陰様が、この絵には詰まっています。

天竜川ツアー:アートハウス編

2010-06-19 | 展覧会
翌朝7時には出発するつもりが、朝起きたら8時過ぎ。あわてて浜松を立ち、国道152号線、秋葉街道を天竜川沿いに北上。


大きな大きな天竜川。この雄大さは、南房総では味わえないなぁ.....。


静岡から長野に入る峠には、こんな看板が。長野県と静岡県の境界に当るこの兵越峠は、今も明確な境界線が確定していないと言うことになっていて、毎年10月の最終日曜日には、信州軍と遠州軍が「国境」をかけて綱引きで対決する「峠の国盗り綱引き合戦」が行なわれているそうだ。3本勝負の綱引きで勝った方が領土を相手側に1m広げられるらしい。なんか楽しそう。国境なんて決めるならこの程度の争いでいいよ。


飯田市街で1時間も道に迷ったりして予定より3時間も遅れてアートハウスに到着。ごめんなさい~、って感じで到着しましたが土地勘も無いからと気づかってもらって、その後1日がかりで搬入をすませました。


アートハウスはもう27年も営業している老舗のギャラリーカフェ。住宅街の中でわかりにくい場所にあるのに、地元の人に話すとたいていの人は知っていました。来るお客さんはみんな展覧会慣れしていて、「今度はなあに.....」という感じでフランクに展覧会を楽しんでいる、伊那谷アートシーンの要の様な所。オーナー京子さんは料理上手で、ちょっと懐かしい感じのカフェメニューは食事系も充実。いろいろ食べさせてもらいましたが、一番印象に残ったのは厚切りトーストの真ん中をくりぬいてマカロニグラタンが入っている「ブレッドグラタン」かなぁ......。


今回のツアーは、この展覧会を軸にいろいろな人々と交流して行く事になるのでした。

宮下昌也と巡る悠久の旅