我が家のあるさんかく山の北側、松節という集落に、弘法大師を祀った御堂があります。周りには民家も少なくひっそりとしていますが、かつては月に一度の縁日に出店がでる程人が集まっていたという所です。そして今でも毎月旧暦の21日に、金束のおばあちゃん達は歩いてお参りに行くという話を聞いて、一度はお参りしてみたいと思っていました。
ちょうど昨日は旧暦の21日にあたり、お隣のおばあちゃんに誘ってもらって、お参りの機会を得る事が出来ました。
金束の松郷集落の入り口に車を置かせてもらって、昔の街道を歩いていく事にしました。雨の日はタイヤが滑って車で登れない程の急な坂道ですが、ここはかつて江戸へ抜ける本街道だった道です。
坂道を上り切ると大山林道と合流する花立峠へでます。写真では光ってしまってますが、ここからの眺めは長狭平野の向こうに太平洋を望める絶景です。そしてここが安房と上総の国境。北へ下ると富津市です。
大師堂まで来ると、立派な幟旗がひるがえっていました。
ここが本堂。
賽銭箱に彫られた紋がかっこいい!
中では松節集落の人達がだるまストーブを焚いて語らっていました。参拝客が来るとお茶を出してもてなしてくれます。歩いてたどり着いた労をねぎらってもらった様で、とってもうれしい!
そしてここでサプライズ!この日お当番で接待してくれたご夫妻は、なんとこのブログの愛読者だった事が判明!いや~、どこで出会いがあるか分かりませんね。読んでますか~?今後もよろしくお願いします。
失礼して中を拝観させていただきました。右より弘法大師、不動明王、興教大師。大師堂なのに真ん中はお不動様でした。この地域は本当に不動信仰が盛んです。
最後に、こちらは車を置かせてもらった金束・松郷集落の大師様。山の上にあった御堂から集落の集会場に移されて祀られています。旧暦21日はこの様にあちこちで大師様の縁日が開かれているそうです。今では参拝客もほとんど来ず、やめてしまった集落もあるそうですが、こういった縁日は僕等の参加している「あわのわ」や「awnova」に似ていると思いました。
いわゆる移住組や新住民と呼ばれる人達は、この地で暮らす同じ様なライフスタイルの価値観を共有できるネットワークを広げるために、自分たちで作り上げたコミュニティカフェ&マーケットという集まりを続けて来ていますが、元々の地縁血縁を中心とした昔からのコミュニティにおいての意識共有は、こういった信仰行事を要に続いてきたのでしょう。まさに縁がつながる「縁日」な訳です。
この地縁血縁を中心としたコミュニティの中心は今や70代。そしてライフスタイルの価値観を中心にした新しいコミュニティの中心は30代。あいだ40年がそのまま戦後訪れた高度成長期、サラリーマン社会という事でしょう。物質的豊かさを求めて、元々生活と共にあったコミュニティを企業に献上しちゃった訳ですね。
いずれにしても、この地域では昔からのコミュニティもまだ充分に機能していて、そこから学べる事も多くあると感じています。今までいろいろな信仰行事に参加して素敵に思うのは、そのテンポ感かな。連綿と変わらぬ自然と同調した時間感覚。ついつい忘れてしまいがちです。