前回の記事でお知らせした、特養の嘱託医からの話です。施設からの連絡で先生の医院へと出向き、3年間も母の様子を診て貰っているにも拘わらず、お会いしたのはこの日が初めてでした。
とても清潔感のある医院で、そして先生は60代と思しき優しそうな方。時系列に母の様子を詳しく説明してくださり、7月10日頃から、遂に口が閉じなくなってしまったことも。
口が閉じなくなると、食べ物を嚥下するのが難しくなる。先生の見解としては、これはもう老いによる自然な状態で、上半身にむくみのある母には、栄養剤を点滴で補おうとしても、身体が受け付けず注射針の所から液が逆流してくるのだそうです。
「例えばですが、この状態で呼吸が止まってしまった場合、心臓マッサージを施すのを希望されますか?」
「いいえ、それは結構です。今の状態で心臓マッサージなどすれば、母は苦痛を感じるしかないでしょうし、そのまま逝かせてあげたいと思っています。これは元気だった頃の母の望みでもあり、兄妹3人全員の総意です」と言いました。
「ところで先生、通常今のような状態で、人はどれくらい生きられるものなのでしょう。勿論個人差があることは分かっていますし、難しい質問かもしれないのですが」
「えぇ、早い方だと1週間くらいでお亡くなりになる方もいらっしゃいます。しかしかずえさんの場合、既に口が閉じなくなって2週間になろうとしています。そしてね、人間とは凄いもので、そのような状態を身体が受け入れて、それに順応しようとする場合があるんです。そうなると数か月間生きられる方もいらっしゃいます」
「それからね、呼吸が苦しそうになった時には、酸素吸入は行います。これは医師としてやらなければならない処置ですから。ただ、苦痛を感じられるようなことがあれば、それは必ず取り除きます。老いによって、静かに命を閉じようとしているのを、無理やり引き戻すことはしない。そういうお考えだと捉えて宜しいですか?」
「はい、くれぐれも痛かったり苦しかったりするのだけはないように、注視してくださると有難いです」
「私もね、かずえさんの立場であれば、もう心臓マッサージなんてして欲しくないと思います。94歳までお元気だったのは本当に凄いことです。ただ、ご家族によっては、どうしても生きていて欲しい。必ず助けてくださいと仰る方もいらっしゃるんです。ご家族の意思確認をさせて頂くのは、とても大切なことなので、今日はわざわざこちらまで出向いて頂いた訳です。暑い中、申し訳なかったですね」
そうか、そんな風に思う家族もいるんだな。でももしも私だったら、娘たちにそんな選択をして欲しくはないなぁ。そして先生も大変だなぁと思いました。でもこの先生で良かった。きっと母の最期を看取ってくださるのはこの方なのだ。
医師との面談が終わった後、娘たちと合流し、約束通り「焼き肉屋さん」に行きました。こんな時に乾杯するのも何だけど、サンバくんは、いつもするのに今日はしないの?って、事情を説明するのもなんだしね。
最初に出て来たお肉は、話すのと食べるのに夢中で、撮影するのを忘れました。でも沢山注文したから、お肉の写真はまだ出ますよ。
「そうかー。まま、大変だったね。出来たら一緒に話しを聞きたかったな。行けなくてごめんね」
「ううん、いいのいいの。だけどもしかしたら、思った以上にお婆ちゃんとのお別れは、早いかもしれないね」
「だけどね、まま考えたの。ピンピンコロリが理想的って言うじゃない?ままもずっとそう思ってたし。でもそれは、死ぬ本人にとって、ってことで、残された家族のことを考えたら、決して理想的じゃないんじゃないかって」
「その点お婆ちゃんってさ、正に人として、最高の人生の終わらせ方をしようとしてるんじゃないの?って思ったのよ」
「そうだよね。家族にこれだけ覚悟する時間を与えてくれて、お別れもちゃんと出来て、痛くも苦しくもない。凄いよ、完璧じゃん、お婆ちゃん!居なくなるのは凄く淋しいけど・・・ね、人は皆いつか必ず、死ぬんだもん ねぇまま、今度の日曜日、面会できないか明日施設に聞いてくれない?私、日曜日しか会いに行けないから」
「うん、ありがとう。明日問い合わせてみるよ。こういう時だから、融通利かせてくれるといいんだけどね」と言って、翌日電話を掛けました。嘱託医との面談の結果とお礼を申し上げ、幸い28日の日曜日に面会予約が取れました。娘たちと一緒に行って来ようと思います。マスクをすれば、サンバくんも一緒に施設に入れるらしいので、良かったです。
母がこういう状態になったことで、色んなことを考えました。子供の頃、母は私にとって「何でも知っている凄い人」だった。それが大人になるにつれ、段々とそうじゃなくなった。私が人生最大のピンチに陥った時、支えて貰うことは出来なくて、恨んだこともあった。だけど人生の終盤には、その身をもって私に大切なことを教えてくれる、やっぱり凄い人になりました。
母が最期の時を迎えるまで、皆様も心穏やかに見守ってくださると、とても嬉しいです。
とても清潔感のある医院で、そして先生は60代と思しき優しそうな方。時系列に母の様子を詳しく説明してくださり、7月10日頃から、遂に口が閉じなくなってしまったことも。
口が閉じなくなると、食べ物を嚥下するのが難しくなる。先生の見解としては、これはもう老いによる自然な状態で、上半身にむくみのある母には、栄養剤を点滴で補おうとしても、身体が受け付けず注射針の所から液が逆流してくるのだそうです。
「例えばですが、この状態で呼吸が止まってしまった場合、心臓マッサージを施すのを希望されますか?」
「いいえ、それは結構です。今の状態で心臓マッサージなどすれば、母は苦痛を感じるしかないでしょうし、そのまま逝かせてあげたいと思っています。これは元気だった頃の母の望みでもあり、兄妹3人全員の総意です」と言いました。
「ところで先生、通常今のような状態で、人はどれくらい生きられるものなのでしょう。勿論個人差があることは分かっていますし、難しい質問かもしれないのですが」
「えぇ、早い方だと1週間くらいでお亡くなりになる方もいらっしゃいます。しかしかずえさんの場合、既に口が閉じなくなって2週間になろうとしています。そしてね、人間とは凄いもので、そのような状態を身体が受け入れて、それに順応しようとする場合があるんです。そうなると数か月間生きられる方もいらっしゃいます」
「それからね、呼吸が苦しそうになった時には、酸素吸入は行います。これは医師としてやらなければならない処置ですから。ただ、苦痛を感じられるようなことがあれば、それは必ず取り除きます。老いによって、静かに命を閉じようとしているのを、無理やり引き戻すことはしない。そういうお考えだと捉えて宜しいですか?」
「はい、くれぐれも痛かったり苦しかったりするのだけはないように、注視してくださると有難いです」
「私もね、かずえさんの立場であれば、もう心臓マッサージなんてして欲しくないと思います。94歳までお元気だったのは本当に凄いことです。ただ、ご家族によっては、どうしても生きていて欲しい。必ず助けてくださいと仰る方もいらっしゃるんです。ご家族の意思確認をさせて頂くのは、とても大切なことなので、今日はわざわざこちらまで出向いて頂いた訳です。暑い中、申し訳なかったですね」
そうか、そんな風に思う家族もいるんだな。でももしも私だったら、娘たちにそんな選択をして欲しくはないなぁ。そして先生も大変だなぁと思いました。でもこの先生で良かった。きっと母の最期を看取ってくださるのはこの方なのだ。
医師との面談が終わった後、娘たちと合流し、約束通り「焼き肉屋さん」に行きました。こんな時に乾杯するのも何だけど、サンバくんは、いつもするのに今日はしないの?って、事情を説明するのもなんだしね。
最初に出て来たお肉は、話すのと食べるのに夢中で、撮影するのを忘れました。でも沢山注文したから、お肉の写真はまだ出ますよ。
「そうかー。まま、大変だったね。出来たら一緒に話しを聞きたかったな。行けなくてごめんね」
「ううん、いいのいいの。だけどもしかしたら、思った以上にお婆ちゃんとのお別れは、早いかもしれないね」
「だけどね、まま考えたの。ピンピンコロリが理想的って言うじゃない?ままもずっとそう思ってたし。でもそれは、死ぬ本人にとって、ってことで、残された家族のことを考えたら、決して理想的じゃないんじゃないかって」
「その点お婆ちゃんってさ、正に人として、最高の人生の終わらせ方をしようとしてるんじゃないの?って思ったのよ」
「そうだよね。家族にこれだけ覚悟する時間を与えてくれて、お別れもちゃんと出来て、痛くも苦しくもない。凄いよ、完璧じゃん、お婆ちゃん!居なくなるのは凄く淋しいけど・・・ね、人は皆いつか必ず、死ぬんだもん ねぇまま、今度の日曜日、面会できないか明日施設に聞いてくれない?私、日曜日しか会いに行けないから」
「うん、ありがとう。明日問い合わせてみるよ。こういう時だから、融通利かせてくれるといいんだけどね」と言って、翌日電話を掛けました。嘱託医との面談の結果とお礼を申し上げ、幸い28日の日曜日に面会予約が取れました。娘たちと一緒に行って来ようと思います。マスクをすれば、サンバくんも一緒に施設に入れるらしいので、良かったです。
母がこういう状態になったことで、色んなことを考えました。子供の頃、母は私にとって「何でも知っている凄い人」だった。それが大人になるにつれ、段々とそうじゃなくなった。私が人生最大のピンチに陥った時、支えて貰うことは出来なくて、恨んだこともあった。だけど人生の終盤には、その身をもって私に大切なことを教えてくれる、やっぱり凄い人になりました。
母が最期の時を迎えるまで、皆様も心穏やかに見守ってくださると、とても嬉しいです。
ポチ、ありがとうございました~
ホームページでウチの子グッズ販売中!
私の母も99歳ですので、あとひとつ納得しながら読ませて頂きました。
本当に本当に別れは寂しいですけれども、お母様が穏やかでいらっしゃいますように、ご家族の皆様のためにもお祈り致します。
状態・ママの想いが同じだったので
そうだったなぁ~って読ませていただき
ました。
それぞれのご家族によって考え方も
違うから先生も大変ですね。
どうぞお母様が心穏やかに過ごせます様に。日曜日お気をつけてママ&娘さん
&サンバ君~三人揃って元気なお顔を
見せてあげてください💛
色んな考え方があるだろうけれど、私達も父の時、ままと同じ事を主治医にお願いしました。頑張って生きて来た人に、まだ生きろと苦痛を伴う処置を施すことに矛盾を感じたからです。
かずえさんもきっと「それでええんよ」って言われると思います。
日曜日、おねえちゃんとサンバくんと、かずえさんに会いに行かれるんですね。きっと今のサンバくんの年齢だと記憶に残ると思います。ひぃおばあちゃまの今を記憶に残すことは、これからのサンバくんに大きな宝となるはずです。
暑いので、気を付けて行ってきてくださいね。
かずえさんがお迎えの準備をされる中、
お医者さんともきちんと話せて
意志も伝えられて、それは本当に幸いなことですよね。
私も、わが家のおじさんのお父さんの終末期、
実は医師と話したのが私で。なぜか。
私、勝手に「苦しまないよう自然に」と
お願いして来ちゃったのを思い出しました。
自分だったらどうして欲しいかなって考えて
そう伝えたのですが、どうだったかなぁ。
あの世行ったら、おじさんのお父さんに
聞いてみたいなぁ。
かずえさんが、最期を迎えられる日まで
どこも痛くなく怖くなく苦しくないよう、
お祈り致します。
ままん、日曜日も、
かずえさんといっぱいお話して来てくださいね。
依頼した後に延命装置を外すことは出来ない、いつまでか命が持つまで課金されますよとのこと。
言葉を選ばずに書きますが、自然に亡くなるのが一番良いかと私も思います。
ただ現状で明日かもしれず来年かも知れずの危うい期間
いろんな想いはあるでしょうが、資産の確認をしておくギリギリの段階ですよ。
死後に動かせない動かしにくいものがあるのなら、いまのうちに始末をしておくべきなのです。
財産がないと思いながら何かあったりしますし
負の財産もあるかもしれません。
戸籍謄本や印鑑証明など3カ月に一度のペースで余分に取っておかれても良いかと思いますよ
死亡届のあとでは取れませんから。
っとイヤな話ばかりを書いていますが、なんとかこの夏を乗り越えられるのなら
年も越せると思うので、かずえさんの生命力に期待しています。
応援しています。
母は、ちゃんとしていたときに、往診の医師に
自分の最期の時の希望を述べてましたから、
延命措置は、やりませんでした。
お母様の最期を看取ってあげることが
出来たら良いですけど・・・
私も延命措置は望まないと家族に宣言していますし、
そんな終わり方を迎えることができたらと願っています。
ままさんも、どうぞお気を強く持たれてください。
お暑い中、ご自愛くださいませ。
初めまして、でしたでしょうか。
どこかでお見掛けしたお名前だとは
思うのですが・・・どこだったか・・・すみませんm(__)m
そうなんですね~。お母様、99歳ですか!(ё_ё)
それは本当に凄いです。
祈ってくださって、ありがとうございますm(__)m
きっとピエリナさんの祈りは、母の元に
届くことと思います(^-^ )
コメント、ありがとうございました!
そうだったんですね~。
じゃぁmikaさんのお母様も、最高の終わらせ方を
なさった方だったんですね~。
そうそう、人も百人いれば百通りと言うように
考え方は様々ですからね~。
絶縁したとは言っても、さすがに親の死に目に
無視することは出来ないので、兄たちと
連絡を取りましたが、みな同じ意見だったので
ホッとしました。ここで揉めると~大変ですから。
はい、日曜日は気をつけて行って参ります(^^ゞ
母が目を開けてくれることを祈りつつ・・・(^o^;)
そうか~。かあちゃんのお父様の時も
同じだったんだね~。
ま、これほど気が合うかあちゃんだから
そういう価値観も一緒だったね~。
「それでええんよ」で、お昼休み
思わず泣いちゃった。
だってーホントにかずえさん、そう言いそうだから(ToT)
うん、今回も土曜日の仕事終わりに家に来て
日曜日一緒に行って来ようと思ってるんだ~。
そうだよね。サンバくんの記憶に残ってくれると
私も凄く嬉しいよ。
何度も何度も面会に行ってくれたけど
小さい頃のことは覚えてないだろうからね。
今回初めて施設の中に入るから
余計に印象に残るかも・・・だね(^-^ )
ありがとうm(__)m娘の車で連れて行って貰うから
楽ちんだよ~(*^。^*)