先日、ドイツから訪日したドイツ社民党の国会議員お二人と意見交換した際に、社民党が最低賃金法案の提案を検討しているというお話を聞いて「衝撃を受けた!」ことをお伝えしました(こちらを参照)。これまで基本的に産業別の労使交渉&協定において賃金や労働条件を規定してきたドイツで、使用者による協約逃れが横行し始め、いよいよ法律による最低賃金の制定が必要になってきていることに驚いたわけですね。
そして、そのような流れを裏付けるニュースがドイツから飛び込んできました。労働政策研究・研修機構(JILPT)の海外労働情報で伝えられたニュースなのですが、ドイツ小売業連盟(HDE)が、1月24日に、統一サービス産業労働組合(ヴェルディ)と締結している小売業に関するすべての賃金協約および包括協約の解約を同労組に告知したというのです。
詳しくは記事を読んでいただきたいと思いますが、これはもう近年に例のない異例事態で、当然ながらヴェルティ側は猛反発していて、大規模のストライキも辞さない構えを見せているとか。経営側は間違いなく、賃金&労働条件の切り下げを目論んでいるわけで、それによって全土で270万人の労働者に影響が出るというのですから、労働側の対応も想像に難くありません。そして恐らく、他の産業の経営者組織もこの小売業界における動きを注目しているでしょうから、今後のドイツの労働者、そして労働運動にとっても大変大きな意味を持つ労使紛争になるのではないでしょうか。
今後の成り行きを注視していきたいと思います。