石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

雑感:神奈川行動を終えて~タクシー業界の今

2009-09-26 22:55:21 | 雑記
今日は、神奈川行動の雑感をお届けしようと思うのですが、これまでとちょっと趣向を変えて、行動中に気になった一つの課題について掘り下げてみようと思います。

その課題とは、タクシー業界の苦難と、乗務員の皆さんの厳しい労働環境についてです。

神奈川行動の2日目、情報労連加盟の飛鳥交通労組を訪問して三役と懇談した際に、委員長から「タクシー乗務員の労働条件を何とかして欲しい」というご意見をいただきました。「規制緩和による供給過剰」と、「不況下でタクシー業界が失業者の受け皿になっている」という現状で、「手取り月収が15万円に満たない乗務員も多く、家族持ちはとてもやっていけない」という切実なお話でした。

「働いても働いても食べていけない」というのは深刻です。そして、長時間労働による健康への悪影響と、さらに安全面への悪影響も懸念されます。なぜ、タクシー業界でこういう状況が生じているのか、乗務員の皆さんにまっとうな労働環境を保障するためには何をしなければならないのか、考える必要があります。

そこで、知識を深めるために、タクシー業界の現状についてちょっと調べてみました。長くなりますが、ご容赦を。


1)タクシー乗務員の給与および労働時間の状況について

 タクシー乗務員の平均年収は、1996年~97年頃までは大体、なだらかに上昇していましたが、1998年以降、急激に低下をしています。2008年は、平均で326万円。平均でこの数字ということは、年収300万円以下で働いておられる方々が相当数いらっしゃるということでしょう。
 年収低下と共に、全産業年収平均との格差が広がり、2008年では220万円前後にもなっています。労働時間は他の産業より長いにも関わらず、収入が低いわけですから、タクシー乗務員の労働条件はかなり厳しいと言わざるを得ません。
 ドライバーの平均年齢が年々、高くなっているのも、若いドライバーがなかなか居着かない(定着率の悪さ)ことが原因なのではないかと思います。

(参考)
 ・タクシー労働者と全産業労働者の賃金労働条件の推移


2)タクシー業界への法定最低賃金の適用について

 そこで疑問に思うのが、タクシー業界には法定最低賃金が適用されているのか否か、という点です。タクシー業界の賃金体系には、a) 完全歩合制、b) 基本(固定)給+歩合給、c) 固定給制があると思う(流しのタクシーで固定給というのはもはや存在しないのかも知れません)のですが、歩合制が絡む場合、最低賃金がどのように保障されるのか、という問題ですね。
 この問題については、厚生労働省のこの資料を読むとよく分かります。(タクシー運転手の最低賃金について:210710saiteichingin-taxidriver.pdf)。完全歩合給の場合でも、労働時間に基づく計算できちんと法定最低賃金を守らなければならないのです。
 ところが、ここ10年で、タクシー業界における最低賃金違反がうなぎ登りなのです。これを見て下さい(最低賃金法違反率が規制緩和後に急上昇)。規制緩和が始まった1997年以降、さらに、本格的な規制緩和が行われた2002年以降、違反が大幅に増加していることが分かります。
 今の日本の法定最低賃金は、生活保護給付額を下回る水準の県もあるぐらい、低水準に留まっていて、とても「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」という労働基準法第1条に合致しているとは思えませんが、その最低賃金すら守られていないタクシー業界の実態があるわけです。


3)労働条件悪化の原因について(規制緩和と景気の後退)

 ではなぜ、タクシー乗務員の労働条件がこれだけ悪化しているのでしょう? これは、二つの要因があるようです。
 まず、行き過ぎた規制緩和によるタクシー台数の大幅な増加です。決定的だったのは2002年の道路運送法の改正で、地区ごとの台数規制が撤廃され、新規参入も免許制から許可制に移行したのです。また、運賃も一定の枠内で自由に決められるようになりました。この改正によって、台数が大幅に増えて供給過剰になり、一台あたりの運送収入が激減すると同時に、一定の収入を確保する必要から労働時間が大幅に増加したわけです。(参考:タクシー規制緩和と労働市場
 そして、景気の後退が状況をさらに悪化させています。企業の景況感とタクシーの運送収入の間にはかなり強い相関関係があるようで、2007年以降の景気の落ち込みが稼働率を落ち込ませています(参考:090218kawano.pdf)。また、不景気で行き場を失った失業者がタクシー業界に入ってきて、さらに供給が過剰になっているという事情もあるようです。
 
4)事業者(タクシー会社)の対応について

 ではなぜ、タクシー会社は自分の首を絞めるような、不況下での供給過剰(台数増加)を進めるのでしょう?
 これはすばり、会社の収益を確保するためでしょうね。一台あたりの売り上げが減った分を埋め合わせるために、安易に台数を増やしているのです。それによって、個々の乗務員の売り上げがさらに悪化しようが、安全や健康面に影響が出ようが、サービスが低下しようがおかまいなしに・・・。そうでなければ、上述のような最低賃金違反の増大が起こるはずもありません。
 また、参入規制の緩和と、求職者の増大によって、あまりよろしくない事業者まで乗務員を確保できてしまったことも今のような事態を招いている一因でしょう。

5)今後とるべき対応について

 今年6月に、「タクシーの適正化および活性化法」が国会で成立し、10月1日に施行されることになりました。
 この活性化法によって、供給過剰で問題が生じている地域を国土交通相が「特定地域」に指定して、増車の際の届け出制を認可制に変えると同時に、新規参入に対する審査を厳格にすることができるようになります。また、地域の事業者が協調して減車することも可能にしつつ、運賃の認可基準を変えて安すぎる運賃設定をしにくくします。
 まだ完全ではないのかも知れませんが、状況改善に向けての一歩を踏み出したというところでしょうか。ただし、規制の再強化が、単に事業者の経営状況の改善に留まることなく、それが乗務員の皆さんの労働条件の改善(給与のみならず、労働時間や休暇制度などを含む総合生活改善)につながることを確保しなければなりません。
 そのためには、(1)乗務員(非正社員も含めて)が自由に労働組合を結成し、団体交渉および経営参加を通じて労働条件や人員政策が決定されるようにする、(2)行き過ぎた歩合制を是正して、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系に再構築する、(3)サービス向上を目指した人材育成に必要な施策を講じする、などの対応が必要だと思います。

 以上、タクシー業界の現状と乗務員の厳しい労働条件についてでした。今度、飛鳥交通労組の皆さんとお話をさせていただく時に、さらに現場の皆さんの声をお伺いしたいと思います。

その他の参考資料:
 ・値上げでは解決できない!タクシー業界の過当競争体質





神奈川行動の2日目(最終日)が終わりました

2009-09-25 23:13:01 | 活動レポート
今日は、神奈川行動の2日目でした。スタートは、JR井土ヶ谷駅。情報労連神奈川県協の廣内事務局長に一日、ご案内いただきました。ありがとうございました! 今日は朝から快晴で、とてもいい気分で行動できました。

まず、情報労連加盟の飛鳥交通労組へお邪魔し、三役にご挨拶方、短時間ではありましたが懇談させていただきました。玉城委員長からは、タクシー業界の現況と、組合員の皆さんの厳しい労働環境についてお話を伺いました。次にお邪魔するときには、組合員の皆さんにも直接お会いして、お話をお聞きしたいですね。(タクシー業界のお話は、週末の雑感で取り上げる予定です)
続いて、情報労連・通建連合加盟のコミューチュア労組神奈川分会へ。こちらでは、多田分会長はじめ、組合員の皆さんにもご挨拶させていただきました。その後、情報労連・通建連合加盟の和興労組神奈川支部に伺って、秋元支部長にご挨拶しました。
今度は横浜に移動して、NTT労組神奈川総支部・横浜西分会にお邪魔し、荒畑分会長と横井事務局長にご挨拶。お昼休みの時間を利用してしばし懇談させていただきました。
午後に入って、まず、情報労連・通建連合加盟の大明労組横浜支部へお邪魔し、長尾委員長にご挨拶するとともに、組合員の皆さんにもお会いさせていただきました。
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次に、NTT労組・NTT-WEマリン分会に伺って、松下分会長と藤井事務局長にご挨拶しました。しばし歓談しながら、海底線の歴史やマリンの現況などについてお話を伺いました。なかなか興味深いお話だったので、帰ってきてからNTT-WEマリンのウェッブサイトを訪れてみると、海底線豆知識というセクションが!ここで、海底線の歴史や、ケーブル敷設船、おもしろ逸話などの情報を得ることができます。面白いですよ。ぜひ読んで見て下さい!ちなみに、日本で最初の海底通信ケーブルは、1872年に、関門海峡で敷設されたのだそうです! また、最後に玄関前で、「海底電線敷設船乗組員の殉職碑」についてもご説明をいただきました。
続いて、情報労連加盟のナイスグループ労組にお邪魔して、杉野書記長と、岩田前書記長にご挨拶し、しばし懇談させていただきました。主に、住宅建築用資材販売・住宅販売を手がけるナイス社の事業についてお伺いしたのですが、業界全体がとても厳しい環境にある中で、住宅販売の方は少しずつ上向きにになってきているそうです。ただ、主力の木材・建材販売がまだ冷え込んでいるので、組合員の皆さんも一丸となって頑張っている、というお話でした。
感銘を受けたのは、「住まいは命を守るもの」というナイスの住まい作りのコンセプトですね。例えば、マンションに免震構造または「強耐震」構造を標準採用したり、建築基準法の躯体工事検査をすべてのフロアで実施したり、さらには建設現場にカメラを2~3台設置して、施工中の模様をインターネットでライブで監視できるサービスを提供したり! 日本の住環境には私もいろいろ考えるところがあるので、今後の取り組みにとても参考になりました。
そして今日の最後の訪問は、NTT労組神奈川総支部・横浜緑園分会で、坂本分会長はじめ、役員の皆さんにお集まりいただきました。お忙しい中、ありがとうございました!
以上で、2日間の神奈川行動が終了です。神奈川も広いので、とても2日間では回りきれません。今回は横浜と川崎中心になりましたが、次にお邪魔するときにはその他の地域にお邪魔させていただけると思います!



神奈川行動の初日が終わりました

2009-09-24 21:59:39 | 活動レポート
今週から、関東一円での行動が始まります。まず、今日と明日は、神奈川での行動で、今日は一日、横浜と川崎エリアで活動してきました。ご案内いただいたのは、NTT労組神奈川総支部の渡辺副委員長(午前)と西尾組織部長(午後)です。

まず、朝一番で、JR石川町へ。NTT労組の横浜みなと分会にお邪魔し、役員の皆さんとお会いしたのち、出勤してくる組合員の皆さんにご挨拶しました。今日は、シルバーウィークの谷間ということもあって、お休みの方々も多かったようです。みなと分会の宮川分会長も、本来はお休みのところ、わざわざ会いに来て下さったそうです。ありがとうございました!
続いて、連合神奈川へご挨拶に立ち寄った後、NTT労組・神奈川BAY分会、NTT労組・持株本部NTTソフトウェア分会、情報労連・テルウェル東日本グループ労組首都圏南分会、NTT労組・神奈川南分会、NTT労組・みなとみらい分会、NTT労組・ドコモ本部神奈川直轄分会、NTT労組・川崎分会、NTT労組・川崎北分会にお邪魔をして、役員の皆さんにご挨拶しました。
お時間を割いてお集まりいただいたそれぞれの分会役員の皆さんに感謝です!
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余談ですが、みなとみらい分会にお邪魔した際、瀬戸分会長に、分会事務室の窓から眼下に見えるNTTファシリティーズの「グリーンポテト」を見せていただきました。これ、なかなかの優れ物ですね。屋上でサツマイモを水気耕栽培するシステムなのですが、土を持ち込む必要がなくて、水や肥料も自動で供給するんだそうです。なんでも、屋上緑化がなかなか進まないのは、土が重くて、屋上がその重みに耐えられないケースが多いからなんだとか。その問題を解決したのがこの「グリーンポテト」なんですね。なんと言っても、サツマイモ収穫の楽しみまで与えてくれるのがいいです!今度、どこかで焼き芋にして食べさせて貰おうかな・・・。
明日も、神奈川で行動します!



書評「くたばれ竹中平蔵~さらに失われる十年~」

2009-09-23 21:22:11 | 書評
ネット上のどこかのブログで書評を読んで、刺激的なタイトルに誘われて読んでみました。

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筆者は、この10年、日本には多くの緊急(雇用、医療、年金、教育、地方などなど)の課題があったにも関わらず、1990年代後半からの自民党政治は全く何もして来なかった。特に、小泉・竹中は、「国民が欲していなかった」郵政の民営化をシングル・イシューに、800億円もの税金を浪費して総選挙を断行したと強く批判しています。

郵政民営化は全く必要なかったにも関わらず、それをごり押しした小泉・竹中。では何のための郵政民営化だったのか?という問いに、筆者は「郵政民営化の基本方針」とアメリカからの「年次改革要望書」の郵政事業改革に関する要望が酷似していることを指摘し、世界一の資金量を誇る郵政の弱体化と、郵政資金340兆円を狙った米国、そして日本と世界の金融資本のための民営化ではなかったのかと疑問を呈しています。郵政340兆円、さらに郵政が保有していた資産は、日本国民の資産で、国民のために使われるべきなのに、それが今、切り刻まれていると、筆者は嘆いています。

私が共感を持ったのは、本来、自民党(小泉・竹中)政権がやるべきは、郵政事業を国民生活の向上のために、政治の責任において最大限、発展させることだったはずで、民営化して民間に丸投げし、あとは利益を考えてお好きにどうぞと投げ出すことではなかったはずという筆者の指摘です。「郵政事業の公共性、ユニバーサルサービスは民営化によって明らかに低下」してしまって、それによってさらなる地方や高齢者の切り捨てが進行しているのです。

改めて、失われた十年に何が起きたのか、なぜそれが起きたのかを考えさせてくれる本でした。



今度は広島焼きそば!

2009-09-23 20:57:18 | ニュース
朝日新聞 2009年9月23日:「脇役焼きそば新名物に テッパンマンプロジェクト始動」
http://www.asahi.com/national/update/0918/OSK200909180147.html?ref=rss

おととい、B-1グランプリでの横手やきそばの活躍について書きましたが、今日の朝日新聞でこんな記事を見つけました。今度は「広島やきそば」です! 広島と言えばもちろん、「広島風お好み焼き」ですが、確かにお好み焼き屋さんの焼きそばって、美味しいですよね。これ、ひょっとして受けるかも。そのうち、お好み焼きvs焼きそばの広島対決!なんて話題になるかも。楽しみですね。