先日、テレビで偶然に、BS世界のドキュメンタリー<シリーズ 調査報道>
『甘いチョコレート 苦い現実』という番組を見ました。イギリスBBCのリポーターが、カカオ豆の二大生産国である西アフリカのコートジボワールとガーナを訪れて、児童労働の実態を告発するという番組です。
ガーナの農園では、ブルキナファソから売られてきた12歳の少年を取材。ブルキナファソから多くの子どもたちが売られてきて、賃金を貰えずに危険な労働に従事している様子を報告しています。また、コートジボワールでは、児童労働が使われている農園で生産されたカカオ豆を調達し、それがいかにして流通ルートにのっていくかを検証していました。大手の業者では書類の提出を求められて断られるのですが、小規模な業者は出所を問わずにあっさり買い取るのです。そしてその豆が、世界最大手の商社に買い取られて流通ルートに乗っていく・・・。その実態を映像でまざまざと見せつけられると、さすがに衝撃的です。
また、番組は「フェアトレード商品」に対する疑念も示していました。フェアトレード商品といえども、児童労働と完全に無縁ではない、と。あらためて検索してみると、フェアトレード商品に対する賛否の意見はネット上で数多く見つけられます。興味のある人は一度調べて見て下さい。例えば、
「フェアトレード情報室」さんのこの記事などが参考になります。
カカオ豆は、生産に児童労働が数多くかかわっていることが知られている商品の一つですが、他にも子どもたちの手によって生産されている可能性が高い商品はいくつもあります。こちらのサイトでは、
「買う前に一考したい、児童労働や強制労働によって作られている可能性の高い13品」というタイトルで、カカオの他、カーペットやコーヒー、ダイヤモンド、米などを生産国名と共に列挙しています。
この記事の情報源は、今月発表された米国労働省(U.S. Department of Labor)の最新報告「
児童労働や強制労働によって生産された商品の一覧(List of Goods Produced by Child Labor or Forced Labor)」です。英語ですが、ほとんどは国名と商品名のリストなので英語の苦手な方でも理解出来ると思います。写真も多く載せられているので、参考までにご一読を。
児童労働撲滅の取り組みが世界的に広がっているにもかかわらず、まだまだ多くの国で児童労働が蔓延し、商品が広く流通しています。この報告書の結論には:
「Progress has been made, in many parts of the world, but much remains to be done」
(世界の多くの場所で進展が見られるが、やるべきことはまだ多い)
と書かれています。が最後は:
「(the economic downturn) offers the opportunity to implement the policy measures
that work for people, for recovery and for sustainable development.」
(経済の停滞期にある今こそ、国民のため、回復のため、そして持続的な成長のための
政策を実施するチャンスなのだ!)
と結んでいます。
私たちも、引き続き児童労働に関する日本国内での認識を高める努力を続けながら、児童労働撲滅に向けた世界の取り組みに積極的に関わっていかなければなりません。