今年の検診異常なし。ホッ!
(血圧96-48・・・これも指摘されませんでした。)
その時の待合室で
「姉ちゃん、どこ悪いの?」と隣の席の 中年の色黒の男性に声をかけられました。
「検診です。」とだけ答えた。
すると その男性は
「俺は 6年前に・・・・・」と病歴を話し始めた。
声こそ大きくないが シーンとしている待合室なので 私はちょっと迷惑ぽい顔をしながらも 首で相づちを打って聞いていた。(イヤ 聞いてあげた。)
病歴を具体的に話した後
「俺は農家の人間だ。 今は 昔のように米さえ作れば 冬は寝て暮らせた時代とは違う。
田、畑、ビニールハウス、それに畜産のブタ。
正月も暇がない。
俺は こんな歳になっても 働かなければならない。
サラリーマンならとっくに退職だよ。
俺も農家などしたくなかったけど 長男なら後を継ぐのが当たり前だったし 親からもそう言われてきた。
だけど今の息子たちは 嫌なら嫌と言えるんだから・・・
俺の息子も学校にいって東京で働いている。
『父ちゃんは、前掛け下げて豚の世話、息子はネクタイ下げて・・・』
ここまで黙って聞いていた私もつい笑ってしまいました。
私が笑ったせいか ますます話しに油がのってきた。
でも興味深かったので 今度は おじさんの顔を見ながら聞いた。
「今の農家の時給は256円だよ。最低賃金の1/3。
農家の高齢化も進み 60歳以上が7割。
70歳以上だと45%。39歳以下が9%しかいない。
75歳まで働くとしても あと5年経ったら半分の人は農家が出来なくなる。
10年、15年経ったら・・・だろう。
それに豚の飼料は主にトウモロコシだよ。
今 世界でトウモロコシの値段が2~3倍に跳ね上がり まして日本はアメリカから96%依存してる。
豚肉の値段2~3倍になっているか?
なってないだろう、なってないと言うことは 俺たちが犠牲になっているんだよ。
そして今の日本の食料自給率4割弱だよ。
あんた達 これからどうして食っていくの?
農家が無くなるんだよ。」
ここで私の名前が呼ばれてしまった。あ~もっと聞きたいよぅ!!
レントゲン室、採血室、と回って来ても もうそのおじさんとは会えなかった。
農家の人と話す機会など皆無に等しい私たちの世代に もっともっと話しかけて欲しかった。
今でも あのおじさんにお会いしたい気持ちでいっぱいです。