鳩山内閣総理大臣は 施政方針演説で「いのちを守りたい」と何度も言われました。
又 先月、大事な尊敬できる先生が 「癌」でお亡くなりになりました。
私は「癌」と「いのち」と言う言葉に 今は特に敏感になっております。
そんな折 ある中学校の校長が 生徒たちに 津軽地方に伝わる「雁風呂」の民話を話されました。
私は その民話は知りませんでした。「癌」と「雁」ですが 興味深く聞きました。
『雁は遠くシベリアから海を渡る時に 木の枝を口にくわえて飛び 疲れると枝を海に落として その上で羽をやすめるといいます。 秋、津軽半島までたどり着けば、疲れ力尽きて溺れ死ぬ心配は もうありません。だから必要のなくなった小枝を津軽の海辺に落とし、翼を連ねて さらに日本列島を南下します。そして日本で越冬し、早春に津軽に戻るのです。その時、自分の落とした枝を見つけ、また、これをくわえて北に帰るのだそうです。群れが去ったあと 海辺に残った枝の数は、日本で死んだ雁を意味します。外ヶ浜の村人たちは、この枝を拾い集め、それで風呂をたいて、死んだ雁を供養したのだといいます。
心優しくあわれ深い伝説です。
津軽には、藩所有の森林への立ち入りが許されず、日々の薪にも苦労した人々がいたといいます。だから海辺に流れついた小枝は、海水を吸ってもちもよく、またとない自然の恵みでもあったのでしょう。
春の兆しの頃、厳しい冬を耐え抜いた村人たちは、北へ帰る雁の鳴き声を聞き、手を合わせながら、命の替わりとなった枝を拾い集めたのでしょう。
そうした厳しさと貧しさに耐える強い心があればこそ、このような悲しくも美しい民話を生み出したのだと思います。
「大切な命」について学ぶということは、そうした厳しさにも、きちんと対峙する強い気持ちと優しい心を育むことだと思います。』と結ばれておりました。