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⚠️ ロシア、米国、中国、そして日本…ウクライナ戦争で大ダメージを受けた「世界経済」その深刻さ 202204

2022-04-26 23:23:00 | なるほど  ふぅ〜ん

ロシア、米国、中国、そして日本…ウクライナ戦争で大ダメージを受けた「世界経済」その深刻さ
 現代ビジネス より220426  町田 徹


⚫︎IMFの「世界経済見通し」を読み解く
 ロシア軍のウクライナ侵攻から2ヵ月あまりが経過し、世界経済への深刻な影響が浮き彫りになってきた。

 国連の専門機関のひとつ国際通貨基金(IMF)が最新の「世界経済見通し」を公表し、今年の世界全体の成長率の予測を3.6%増と、ロシア軍侵攻前の前回予測(今年1月公表)に比べていきなり0.8ポイントも下方修正したのである。

 下方修正の理由は、戦争が天然ガスや原油、石炭といった化石燃料や鉱物資源、小麦、トウモロコシといった穀物などの価格高騰に拍車をかけていることに加えて、西側諸国によるロシアに対する厳しい経済制裁が世界の貿易を冷え込ませる懸念があることだ。

 戦争や制裁が経済の足を引っ張ることは初めからわかっていたとはいえ、権威あるIMFがこれほど深刻な予測を打ち出したことには目を見張らざるを得ない。日本経済にも深刻な影響があるという。

 そこで、今回は、今さら聞けないIMFという国際機関の何たるかと、今回の予測の中身を詳しくご紹介したい。

⚫︎IMFの3つの使命
 IMFは、1929年の世界恐慌の反省から、1945年12月に設立された国際機関だ。本部は、アメリカの首都ワシントンにあり、筆者も新聞社の特派員時代にカバーした経験がある。
 日本がIMFに加盟したのは1952年8月のこと。53番目の加盟国だった。現在、加盟国は190となっている。

 IMFには主に3つの使命がある。

第一は、外貨不足で対外的な支払いが困難に陥った加盟国に対し、加盟各国からの出資を財源に貸し付けを行い、危機克服の手助けすることだ。

第二は、世界全体、各地域、各国の経済と金融の情勢をモニターし、加盟国に経済政策に関して助言する「サーベイランス」を遂行することである。このサーベイランスへの協力は、IMF協定上、加盟国の義務とされている。

第三は、加盟国の要請に基づいて、必要に応じ、加盟国に対して、マクロ経済・財政・金融などの専門家を派遣。政策遂行能力を高める技術的な支援を実施することにある。

 IMFの大きな特色は、その投票制度にある。国連総会のように1国が1票を持つのではなく、各国の出資割当額「クォータ」を基本に投票権が割り当てられる仕組みになっているのだ。現在の投票権は、トップ米国が17.40%、2位日本が6.46%、3位中国が6.39%、4位ドイツが5.58%、5位イギリスが4.23%となっている。

 IMFは通常、毎年4月と10月に「IMFC(IMF国際通貨金融委員会)」を、10月には世界銀行と合同の「年次総会」を開催することになっている。IMFの「世界経済見通し」はこれらの会議の討議のための資料だ。この年2回のほかに、毎年1月と7月にもアップデートを公表している。

⚫︎コロナ、インフレ、そこに「地政学リスク」まで…
 今回の「IMFの世界経済見通し」の内容を詳しく紹介する前に、このところの「見通し」の見直しぶりを振り返っておく。

 IMFは去年7月の改定で、世界全体の今年の成長率予測をその3ヵ月前より0.5ポイント高い年4.9%に引き上げた。そして、去年10月の改定でも、「年4.9%」という水準を変えなかった。これは、新型コロナウイルスに対する世界的なワクチンの普及などを背景に、世界経済が回復軌道を辿り続けるとみていたからである。

 ところが、今年1月公表分の「世界経済見通し」は、風向きが変わる節目となった。去年(2021年)については、コロナ危機からの急ピッチの回復で5.9%とIMF統計の歴史上、最大の伸びを記録したと推計したものの、今年(2022年)については4.4%と、その3ヵ月前、つまり去年10月の予測よりも0.5ポイントも下方修正したからである。

 この時点での下方修正の最大の根拠は,米国で長引く様相を呈していた高インフレだった。また,下振れ要因は他にもあるとして,中国のゼロコロナ政策の行方を懸念していたほか,新たな変異型ウイルスの脅威も指摘。さらに『ある種の地政学リスク』として、台湾やウクライナの情勢が緊迫すれば、東アジアや東ヨーロッパの経済下振れもあり得るとしていた。

 今回の大幅な下方修正の根拠は、その地政学リスクの現実化だ。今回の「見通し」は、「戦争が経済の回復を抑制する」とロシア軍のウクライナ侵攻が経済の先行きに影を落としている点を強調した。まだ新型コロナ危機から立ち直っていない中で、新たな危機が重なることになったというのである。

 戦争をきっかけに、エネルギー、資源、穀物の価格高騰に拍車がかかっており、各地でインフレが深刻化しかねないほか、ロシアへの経済制裁のブーメラン効果で各国の貿易も落ち込むとの懸念を示している。

 冒頭でも触れたが、今回の改定では、世界全体の今年の実質成長率見通しを3.6%と、前回1月の予測から一気に0.8ポイントも引き下げたのである。
 この結果、世界経済の成長率は2021年の6.1%から大きく減速して、2022年と2023年はともに3.6%になる見込みという。それぞれ、今年1月の予測から0.8%ポイントと0.2%ポイント下方に改定された形なのだ。IMFは今回、加盟190カ国中、実に143カ国について今年の成長予測を引き下げたのだ。

 2023年より先の中期的見通しについては、世界経済の成長率がおよそ3.3%近辺の水準に低下すると予測した。
 また、物価に関しても、「戦争が主な要因で一次産品が値上がりし、上昇圧力は広範囲に広がっている。これを受け、2022年の物価上昇率予測は先進国が5.7%、新興国と発展途上国が8.7%となる。1月時点の予測からそれぞれ1.8、2.8ポイント上方改定された」と強調した。

⚫︎ユーロ圏の経済はボロボロ
 次に、各地域や国の状況を見ていこう。
深刻さで類を見ないのは、やはり攻め込まれて戦場と化しているウクライナだ。ウクライナは去年の実質成長率が3.4%とされているものの、今年は実に35%のマイナスに落ち込むという。
 多くの国民が、国内あるいは国外への避難を余儀なくされており、生産や消費といった経済活動はマヒ状態なので当たり前と言えるが、経済破綻と言わざるを得ない状況だ。

 一方、攻め込んだロシアも悲惨だ。ロシアは去年の成長率が4.7%とされており、前回の予測では、今年2.8%のプラス成長を見込んでいたが、今回は11.3ポイントの下方修正となり、マイナス8.5%に沈むと予測した。
 西側の厳しい制裁により輸出が落ち込んでいるうえ、多くの外資系企業が撤退や営業停止に踏み切っており、大幅な減速が避けられないというのである。

 戦争当事国以外で減速が目立つのは,エネルギーの多くをロシアに依存していたユーロ圏だ。
 なかでもドイツは、3ヵ月前の予測と比べて、1.7ポイント減の2.1%と下振れが目立つ。イタリアも同じく1.5ポイント減の2.3%にとどまるとされた。ドイツの場合、ウクライナからの部品供給が滞り、自動車大手のフォルクスワーゲンが製造を停止するなど、サプライチェーンに大きな影響も出ているのだ。
 こうした状況を反映して、ユーロ圏全体は1.1ポイント減2.8%にとどまる見通しだ。また、英国も1ポイント減の3.7%の成長に落ち込む予測になっている。

⚫︎アジアもダメージ、でも米国だけが一人勝ち
 アジアに目を移そう。日本は、もともと欧米諸国に比べてコロナ危機の克服が遅れていた。3ヵ月前の予測と比較すると、今回の下方修正幅は0.9ポイントと欧州諸国に比べて大きくない。しかし、見込まれる今年の成長率は2.4%とユーロ圏より低めになっている。

 中国は、今回の見通しで、ウクライナで進行中の戦争に次ぐ、リスク・ファクターとして注目されている。
「ゼロコロナ」政策による都市封鎖(ロックダウン)が経済の減速を招いているとして、今年の成長率は4.4%と、去年の8.1%成長に比べて大きく鈍化する見通しだ。
 さらに、このところ中国は、感染拡大がなかなか収まらず、厳しいロックダウンと経済活動の停滞の長期化が伝えられており、さらなる下振れ余地があるという。

 最後に米国だ。下方修正幅はマイナス0.3ポイントと小さい。そして、先進国としては他に例を見ない3.7%と高い成長が見込まれている。
 そもそも米国は産油国であり、ロシアに対する経済制裁の影響をほとんど受けることがない。そのうえ、コロナ危機からの回復も進んでいる。「一人勝ち」状態と言える状況にあるわけだ。
 ただ、その米国は、消費者物価が3月におよそ40年ぶりの高い伸び率になっており、連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを速める方針を掲げている。このことが、世界経済にとってのもう一つの大きなリスク・ファクターだ。

 回復力が乏しい新興国や途上国は利上げに踏み切れず、マネーの海外逃避が急速に進んで、デフォルト(債務不履行)の危機に瀕する懸念が高まっているからである。
 すでに、スリランカが4月18日、IMFに支援を要請したが、この種の危機が多発するとの懸念を示している。IMFは、今回も「世界経済見通し」と並ぶ注目のレポート「国際金融安定性報告書」を公表、その中で「戦争があらゆる経路を通して金融システムの強靭性を試す中、金融安定性のリスクが高まっている」と警鐘を鳴らしている。

 最後に、IMFが国際社会の課題として、「人道危機に対応し、経済のさらなる細分化・ブロック化を阻止し、世界的な流動性を保ち、過剰債務の問題を管理し、気候変動に立ち向かい、コロナ禍に終止符を打つための多国間での努力が必須となる」と国際協力の必要性を訴えたことに触れておきたい。

 筆者も、IMFの指摘が世界経済の立て直しに向けた正しい処方箋であることを否定する気はない。

 しかし、ロシアや中国に対する西側を中心とした国際社会の信頼は大きく傷ついている。
信頼を回復して国際的な経済システムの安定性を再構築することは到底、一朝一夕にできることではない。歴史的な試練になると覚悟を決めて、じっくり取り組む必要があることも浮き彫りになっているのだ。

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