高齢者の健康の指標となる“部屋”「必需品がベッドの半径1m以内」は危険
Newsポストセブン より 220204
⚫︎長生きする人とそうでない人の住環境の違いとは?
健康な生活を送るための1つのバロメーターとなるのが、家の中の状況だという。介護の現場で働く人たちに話を聞くと、元気な高齢者の部屋と状態が悪い高齢者の部屋では、それぞれ特徴があるというのだ。20年以上介護に携わるベテランケアマネジャーはこんな指摘をする。
「早死にする人の部屋」危険度チェックリスト
「まず住環境でいうと、100才を超える人は一戸建てに住んでいることが多い。一方で、早く亡くなってしまう人はアパートやマンションを借りて住んでいることが多い。これは、立地などに関係なくほとんどの場合で該当しています」
なかでも、介護が必要になる人に多く見られるのが、整理整頓ができていない部屋だ。看護師で心理カウンセラーの大軒愛美さんが言う。
「顕著なのが、定期処方の薬が袋に入ったまま、その辺にポンと置いてあったり、飲みかけのペットボトルがあちこちに散らばっている。本や新聞が乱雑に積んであるのも目立ちます。日常生活に必要なものが、ベッドの半径1m以内に無作為に置いてある部屋は危険信号です」
前出のケアマネジャーも続ける。
「ものが多い、少ないというより、元気な人は、新聞や爪切りなど身の回りのものを置く“定位置”を決めている。高齢になっても『ちゃんとしよう』という意識がある」
健康な生活を送るための1つのバロメーターとなるのが、家の中の状況だという。介護の現場で働く人たちに話を聞くと、元気な高齢者の部屋と状態が悪い高齢者の部屋では、それぞれ特徴があるというのだ。20年以上介護に携わるベテランケアマネジャーはこんな指摘をする。
「早死にする人の部屋」危険度チェックリスト
「まず住環境でいうと、100才を超える人は一戸建てに住んでいることが多い。一方で、早く亡くなってしまう人はアパートやマンションを借りて住んでいることが多い。これは、立地などに関係なくほとんどの場合で該当しています」
なかでも、介護が必要になる人に多く見られるのが、整理整頓ができていない部屋だ。看護師で心理カウンセラーの大軒愛美さんが言う。
「顕著なのが、定期処方の薬が袋に入ったまま、その辺にポンと置いてあったり、飲みかけのペットボトルがあちこちに散らばっている。本や新聞が乱雑に積んであるのも目立ちます。日常生活に必要なものが、ベッドの半径1m以内に無作為に置いてある部屋は危険信号です」
前出のケアマネジャーも続ける。
「ものが多い、少ないというより、元気な人は、新聞や爪切りなど身の回りのものを置く“定位置”を決めている。高齢になっても『ちゃんとしよう』という意識がある」
ただし、「整理」と「片づけ」は似て非なるものであることも理解しておきたい。社会福祉士でケアマネジャーの中村雅彦さんが言う。
「介護を受ける人にとって、家の中にものがたくさんあることは必ずしもマイナスではないんです。たとえば部屋の入り口に段ボールが積み上げてあったり、使っていない棚があったとしても、足元がふらつく人にとっては“掴まる場所”として機能していることもある。車いすを利用している場合などは別ですが、部屋の中はガランとしすぎない方がいい。
実際に、歩行器を使っている人の家で、その娘が帰省した際に部屋中をきれいに片づけてしまい、つかまるところがなくなって転倒したことがありました」
同様に、よかれと思ってやりがちなのが「バリアフリー化」だが、これも考えもの。
「バリアフリーにする目的は、運動機能が低下した人が動きやすい環境にすることです。
しかし、まだ運動機能が高い人がバリアフリーでフラットになった部屋で暮らすと運動負荷が小さくなり、フレイル(心身の脆弱化)を起こしやすくなる。
居住環境と体の機能がマッチしていることが長生きの秘訣です」(中村さん・以下同)
ただし、床にものが散らかった状態は避けるべき。コンセントの配線や座布団、こたつ布団などは足を引っかけて転倒する危険がある。
「部屋の床が冷たいとスリッパを履きますが、これもNG。スリッパで足がもつれて転倒し、骨折した人を何人も見ました。デイサービスでは、スリッパを履かなくていいように床暖房にしています。できれば自宅の部屋では、靴下で生活しましょう」
⚫︎悪臭は「無関心」のあらわれ
部屋に入った瞬間の「におい」も判断基準になる。
「換気が面倒になって窓を開けず、体臭や食べ物などあらゆるにおいがこもっている部屋がある。そうした部屋がある家は、家族の介護意識が希薄なことが多い。介護が必要な高齢者を1階の部屋に押し込めて、自分たちはにおいを避けるように2階で暮らしていたりする。トイレに行けない高齢者がペットボトルに用を足すこともあり、ますます悪臭になります」(大軒さん・以下同)
⚫︎ 早死にする人と長生きする人の部屋では「ある」ものと「ない」ものが分かれる。
「健康状態が悪い人の部屋には、リクライニングできる介護用ベッドがないことが多い。レンタルの手間や費用を嫌がる家族が多いんです。
逆に、元気な人の部屋はテレビがなく周囲の人とのコミュニケーションが盛んです。家族の写真や孫の描いた絵が飾られていることも多く、『孫のために長生きするよ』と前向きになれる部屋になっています」
コロナ禍でなかなか足を運べないかもしれないが、親の住まいを訪れたら、必ず確認すべきが「カレンダー」だ。カレンダーが更新されていなかったり、季節感がない部屋は危険サイン。冷蔵庫に刺身などの生ものがいくつも入っている場合も、認知症状の異変かもしれない。部屋で過ごす時間がどんどん長くなるいま、長生きしたくなる部屋に整えることが、いちばんの健康法だ。
※女性セブン2022年2月10日号
コロナ禍でなかなか足を運べないかもしれないが、親の住まいを訪れたら、必ず確認すべきが「カレンダー」だ。カレンダーが更新されていなかったり、季節感がない部屋は危険サイン。冷蔵庫に刺身などの生ものがいくつも入っている場合も、認知症状の異変かもしれない。部屋で過ごす時間がどんどん長くなるいま、長生きしたくなる部屋に整えることが、いちばんの健康法だ。
※女性セブン2022年2月10日号