現役マッサージ師が教える! 登山で起こる「体のトラブル」予防法
BRAVO MOUNTAIN編集部 221111 より
⚫︎平地に比べ高低差のある道を歩く登山では想像以上に体に負担がかかる
10月〜11月にかけては、初心者が低山の登山を楽しむのに適した時期である。しかし、初めての登山ではトラブルが起こる可能性も非常に高い。
今回は、初めての登山で起こりやすい「体のトラブル」について、あん摩マッサージ指圧師の国家資格をもつ筆者が、その予防法をご紹介する。これから登山を始める方や、登山初心者の方には、ぜひとも目を通していただきたい内容である。
■あん摩マッサージ指圧師
「あん摩マッサージ指圧師」とは、国指定の専門学校等において3年以上の過程を踏んだ後、国家試験に合格することで得られる資格。街の治療院などを営んだり、アスリートのトレーナーとして働くなど、体の専門家として業務は多岐にわたる。
■登山で起こりやすい体のトラブル
初の登山で起こりやすいトラブルは、以下の3つ。
・筋肉がつる
・脱水症状を起こす
・膝の痛み
登山の中断も余儀なくされるのがトラブルである。これらのトラブルに対しての予防法を紹介する。
●筋肉がつる
この時期の登山で筋肉がつる原因は「疲労と冷え」である。日常生活での運動量が少ない人が筋肉を酷使すると、急な疲れに筋肉が耐えきれず、筋肉をつることになる。同時に、冷えによる血流の低下もそれを助長する原因の一つである。
即効性がある予防法としては、登山前・登山中の定期的なストレッチ・セルフマッサージ。レッグウォーマーなどを使用した冷え対策だ。まずは、登山において疲労が溜まりやすい筋肉のストレッチを紹介する。
初めに、登山において疲労が溜まりやすい筋肉である「大腿四頭筋」ストレッチを紹介する。大腿四頭筋は股関節から膝にかけて付いている筋肉。
大腿四頭筋のストレッチ。股関節から膝にかけて、太ももの前が伸びていれば良い
方法は簡単。立ったまま片方の脚を軽く後ろに曲げ、足の甲を手に置き、太ももの前を伸ばすように手で足の甲を引いていく。
片方の足に体重を預け、筋肉の力を抜いた状態で行う。股関節から膝にかけて満遍なくマッサージしていく。座れる場所がある場合は、座って行うとより楽にできる。
⚫︎ふくらはぎを温めるのにオススメのレッグウォーマー(画像https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1130358)
レッグウォーマーは、ふくらはぎ全体が覆えるようなものをオススメする。ふくらはぎなど体の抹消部分を温めることで、全身の血液循環もよくなるので、この時期の登山には、ぜひとも活用して欲しい。
●脱水症状を起こす
暑さが通り過ぎたとはいえ、脱水症状を起こす可能性も少なくない。予防法として重要なのは水分補給。おすすめは、糖質やナトリウムのバランスがよく、素早い吸収が期待できるスポーツドリンクである。
一方で、避けるべきなのは、コーヒーや緑茶などカフェインを多く含む飲料。水分補給に向いているように感じるが、利尿効果により尿の排出を促進してしまうため、体の水分が失われ、脱水症状を起こす原因となる。
脱水症状を起こすと、めまいや立ちくらみなどが起こる。登山中断とならないためにも、摂取する飲料には気をつけよう。
●膝の痛み
初の登山で、膝の痛みに苦しむ方も少なくない。下山では、勢いをつけすぎないよう制御する力が自然と働くため、膝に大きな負担がかかる。
このような膝の痛みに対する予防法として重要なのは「筋肉がつる」の項目でもお伝えした「大腿四頭筋」のストレッチとセルフマッサージを試して欲しい。登山前、登山中に関わらず、少し疲れが溜まったと感じたタイミングで行うことで、筋肉の疲労を少し緩和することができる。
もう一つの対策としてオススメなのが、ストックの使用。ストックは下山の際、膝にかかる体重を緩和することができる。膝に少しでも不安を感じている場合は、ストックを使用して欲しい。
■まとめ
登山でのトラブルは、命に関わることもあるほど、危険なモノである。楽しく安全に登山を楽しむために、体のトラブルを防ぐための予防法を覚えておいて欲しい。