創業100年超「老舗企業」が初めて4万社上回る 1000年超の会社の数は?
ITMedia onlain より 221012
⚫︎仕事に役立つ調査データ:
消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
創業100年を超える「老舗企業」が全国で初めて4万社を超えたことが、帝国データバンクの調査で明らかになった。企業総数に占める老舗企業の比率を表す「出現率」を都道府県別にみると、京都府が5.15%でトップとなった。
「老舗企業」が全国で初めて4万社を超えた。老舗企業の出現率が最も高かった京都府
帝国データバンクが把握する2022年8月時点で創業100年を超える老舗企業は、4万409社に上った。
23年に100周年を迎える企業は約2000社あり、さらに増加が見込まれるという。
また、全体に占める老舗企業の出現率は2.54%だった。
2022年8月時点で創業100年を超える老舗企業の数・出現率(プレスリリースより,以下同)
約4万社の創業時期を元号別にみると、江戸時代以前の1603年以前に創業した企業は152社あった。
そのうち、日本最古の企業として有名な「金剛組」(578年創業、大阪府)を筆頭に、「業歴1000年企業」は9社に上った。江戸時代に創業した企業が3345社、明治時代が2万2122社、大正時代が1万4790社だった。
⚫︎創業時期を元号別にみた老舗企業数
全国の老舗企業の出現率を都道府県別にみると、京都府が全国で唯一5%を超えてトップ。古くから都があり歴史的建造物が多くあったことや、第二次世界大戦中の被害が比較的小さかったことが原因として考えられるという。
⚫︎老舗企業、なぜ日本海側に多い?
2位は山形県(4.98%)、3位は新潟県(4.81%)、4位は福井県(4.51%)となり、日本海側の地域が上位に並んだ。
この理由について帝国データバンクは「いずれの地域も江戸時代中期から明治30年代にかけて、海運の要で北海道から大阪を結んでいた『北前船』の寄港地が多く、商業が栄えていたことが影響していると考えられる」と説明している。
一方で、九州エリアでは軒並み老舗企業の出現率が低く、沖縄県は0.15%にとどまった。
⚫︎都道府県別にみた老舗企業の出現率
老舗企業を業種別にみると、「貸事務所」が1245社で最多となった。次いで、「清酒製造」(893社)、「旅館」(738社)、「酒小売(687社)」――と続いた。
⚫︎日本はなぜ「老舗大国」
世界的に見ても、日本が「老舗大国」と言われるほど老舗企業が多いのはなぜか。帝国データバンクは、理由の1つとして「ファミリービジネスの定着による経営の安定」を挙げる。現代表の就任経緯が「同族継承」の割合をみると、全体では40.4%となったのに対して、老舗企業では77.3%で8割近くに達し、全体を大きく上回った。
⚫︎就任経緯が「同族継承」の割合
老舗企業の中で売上高が判明している企業を分析した。その結果、約半数の44.9%が「1億円未満」だった。規模は小さくても着実に長く事業を続けているケースが大半を占める結果となった。
老舗企業を売上高別にみた割合
老舗企業の中には、業種を変化させながら事業継続する企業も多いという。
帝国データバンクが老舗企業を対象に実施した「100年経営企業アンケート調査」(5月10日発表)では、創業事業から異なる、あるいは応用・派生した事業へと変化している企業は、半数に上ることが判明。
今後取り組みたいこととしては「新製品・商品・サービスの開始」が38.0%でトップだったという。