⚠️衝撃!全国の半数以上が「過疎自治体」になった
RadiChubu より 220414
4月1日、政府が「過疎自治体が増え、全国の市町村に占める割合が50%を超えた」と発表しました。 過疎法という法律があり、これに基づいて過疎自治体が認定されます。過疎自治体に認定されるとどう変わるのでしょうか。 4月11日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』ではCBC論説室の石塚元章特別解説委員に話を聞きました。
⚫︎過疎法とは?
まず、過疎法とはなんでしょうか?
石塚「最初にできたのは1970年です。その前、1960年代から『過疎』という言葉がキーワードとして登場しました。
“疎”とはまばらです。“過疎”はまばら過ぎることです。
1960年代は高度経済成長があって、都市部に人口が密集する。過密なところができると過疎なところができる。これを何とかしないといけないとできたのが過疎法です」
ー認定条件
過疎自治体の認定条件はどういうものでしょう?
石塚「法律で基準が決まっています。まず人口の問題と財政の問題です。
人口の減少率、どれくらい短い期間に減っているかということを見ます。
もうひとつは財政力です。使いたいお金と入ってくるお金、これがちゃんとやっていけますかというものです。
この二つを見て、なおかつそこに高齢化率、若者が減っているか増えているかなどのデータを見て、それに当てはまったら過疎自治体となります」
⚫︎半数以上が過疎自治体
今年、全国の自治体約1,700のうち約半分の885が過疎自治体になったそうです。
石塚「自治体の単純な数で言うと、初めて50%を超えた。過疎法ができた1970年は20%くらいだった。
もうひとつ怖いのは、自治体の数では5割を超えていますが、そこに住んでいる人口を見ると、実は9%くらいです。これはいかに都会に人が集まったかです。
もうひとつ面積でいうと、過疎自治体の面積を足すと日本の64%です」
多田「つまり面積でいうと64%のところに全国の人口の9%が住んでいる。本当に都市部に人口が集中しているということですね」
⚫︎過疎債の発行
過疎自治体に認定されると何が変わるのでしょう?
石塚「一番大きなのは過疎債という債権を発行できる。これは借金ですから、元利返済しないといけないですが、その時7割を国がやってくれます。
そのお金で過疎を解決するのに使ってくださいということですが、これがうまくいっているかどうか。
これを何に使うかというと、これまでの例で多いのが箱ものです。ホールを作ったり、施設を作ったり。これで人が定住してくれるだろう。ところがそんなに甘くない。
それどころか維持をしないといけないし、そのうち建物は老朽化します。これは自治体の負担です。
それで定住者が増えたところもありますが、そういかないところが圧倒的に多いです」
⚫︎産業構造の変化
石塚「それと、この法律以前に、押し止められない時代の流れがあります。
まず産業構造がどんどん変化しています。ものづくりだけという時代は何百人を雇う工場を地方に持ってくる。地元の従業員が働ける、他のスタッフも必要だった。
だが、必ずしもそういう時代ではなくなった。工場をどんと地方に持っていくという産業構造でもなくなった。
よくインターネットでつながるから、地方で頭を使う仕事ができますよという。10人くらい来るけど、大規模な雇用は発生しない。これは産業構造の変化です」
⚫︎人口減少と東京集中
さらに根本的な問題もあります。
石塚「そもそも日本は人口減少です。都市圏でも、大阪府とか、関東圏の周辺にいくと、過疎自治体が生まれています。その背景は人口減少です。
もうひとつは都市集中、特に東京への一極集中です。
地方で働きましょうといっても、毎日東京の華やかさを見せられて、若い人に地方にいろとどこまで言えるか、そういう時代背景もあります」
多田「この50年間、過疎は進むばかりという現実ですよね」
過疎自治体と聞くと、生活がとても不便な田舎の風景を思い浮かべますが、実は意外と身近な存在のようです。
(みず)