リチウムイオン電池充電 大幅短縮 岡山大グループ 高性能化技術開発
山陽新聞社 より 220305 寺西貴志准教授
岡山大の寺西貴志准教授(材料科学)らは、電気自動車(EV)などに搭載され、需要が拡大しているリチウムイオン電池の充電時間を大幅に短縮する技術を開発した。チタン酸バリウムをナノ(10億分の1)サイズの立方体の形にして電極に焼き付ける手法で、電池の高性能化につながる成果という。
正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充放電するリチウムイオン電池はスマートフォンなどにも使われる。調査会社・富士経済(東京)によると、世界市場は2020年見込みで約4兆7千億円。EVの普及などで、24年には約9兆5千億円まで成長する見込みという。
寺西准教授らは、市販のコイン型リチウムイオン電池(直径2センチ)の正極に、立方体(1辺20~30ナノメートル)にしたチタン酸バリウムを600度で焼き付けるなどして付着させた。3・3~4・5ボルトの電圧をかけて充電したところ、容量の8割の充電時間が12分から3分に短縮したという。
グループは21年までに、チタン酸バリウムがリチウムイオンを引き寄せ、電気の発生効率を高める効果があることを確認。今回の実験を着想した。寺西准教授は「大型電池でも検証し、性能アップに貢献したい」と話している。
研究成果は昨年12月、ドイツ科学誌オンライン版に掲載された。