「年をとって物覚えが…」は間違い!“1日10分”勉強法で脳に刺激を【脳内科医が解説】
ダイヤモンドOnline より 231125 加藤俊徳
「歳を重ねると、新しいことが覚えられない……」そんな考えに囚われている中高年も多いだろう。しかし、最新の脳科学研究で“脳は年齢とともに成熟する”という事実が判明したという。
ただし、成熟した脳を使うにはコツが必要となる。本稿は、加藤俊徳『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。
🧠中年の脳は高いポテンシャルを秘めている!
学生時代、あまり勉強をしてこなかった、勉強が得意でなかった、勉強がちっとも面白くなかった、という思い出がありますか?
もしくは「学生時代に勉強をサボったことを深く後悔している。今だったら大学の授業、しっかり聞くのに……。どうしてあのとき真面目に授業を受けなかったのだろう」と、大人になってから、学びたい欲が湧いてきたという人も少なくないはず。
実は、これ、脳科学的に当たり前の現象なのです。
私は、かねてから脳の成人式は30歳と言ってきました。
脳が構造上、「大人になった」という状態になるのは30歳頃だからです。
もちろん個人差はありますが、学生時代の脳と30代からの脳とでは、脳の働き方が変わります。
脳のことをよく知らないと、若いとき、つまり20代くらいまでの脳のほうが、イキイキしていて、脳としてもよく働き、だから物覚えもよかったんだと思ってしまいますよね。
しかし、これは間違い。
脳の働きから言えば、大人になってからのほうが断然よく働きますし、記憶力、判断力、決断力など、あらゆる面から見ても、“学生脳”より“大人脳”のほうがレベルが上。
大前提として脳科学的には、20代までの学生脳は、器官として未熟で未発達。
脳が持っている本来の力をちっとも発揮できない状態だったのです。
脳力を体力にたとえてみましょう。
子どものときと今を比べて、どちらが体力があったでしょうか?
子どものときですよね。
私自身、学生時代は運動に打ち込んだのですが、学生時代のほうが圧倒的に体力がありました。どんなに動いても疲れにくいし、ちょっと休んだだけで回復できる身体を持っていました。
しかし、たしかに体力はありましたが、できることは限られていなかったでしょうか。
体力が有り余る5歳児も、時速100㎞の球を投げることはできません。
陸上でもテニスでも野球でもサッカーでも、プロアスリートは体力があった高校時代よりも、大人になってから全盛期を迎えます。
自分史上一番の記録が生まれるのは、体力があった若い頃よりも、大人になってからです。
脳力も体力と全く一緒。
若いときのほうが、たしかに元気だったかもしれませんが、本当の脳力を発できるのは、大人になってから。
頭がよくなるチャンスは、大人になってからのほうが多いのです。
脳が成人を迎える30歳を境に、脳の機能はどんどん成長していくため、本来の脳の力を発揮できるようになります。
そういうわけで、学生脳と大人脳を比較すると、大人脳に軍配が上がります。
もし、冒頭のように「昔は勉強したいなんてちっとも思わなかったけれど、今は学び直したいなぁ」と思っているならば、それは、あなたの脳がしっかりと成熟している証しです。
学びたいという意欲は脳にとって最高のご馳走。
この機会を逃さず、今のあなたの脳が喜んで働くようになる勉強法を身につければ、まさに鬼に金棒です。
「そうはいっても、実際に物覚えは悪くなっている!加齢の影響はあるでしょ」と考える人もいるでしょう。
これは大人の脳の使い方をしていないために、記憶力が下がったと勘違いしているのです。
脳科学的にはっきりわかっていることですが、記憶力は加齢によって下がりません。
「物覚えが悪くなった」と感じる原因は、すでに大人脳の仕組みになっているのに、まだ学生脳と同じ脳の使い方をしているから。
ルールが変わったのに,古いルールのまま一生懸命頑張っても,結果はついてきませんよね。
まずは私たちが、大人の取り扱い説明書をしっかり理解する必要があります。
新しい取り扱い説明書通りに脳を使うことで、この先の人生において、どんどん学びを深めていったり、新しい分野の知識を学んだりすることさえも容易にできるようになりますよ。
🧠大人脳は10分の勉強を 12日間続けるのがコツ
脳の本来の性質は怠け者なので、視覚系と聴覚系の引き寄せる磁石の力も、うっかりするとすぐに弱まってしまいます。
何か一つのことを勉強するときは、常にそのことが頭の片隅にある状態が理想的。
親密度が高い状態を維持しておかないと、視覚系&聴覚系の怠け癖によって、情報を感知する力が著しくダウンしてしまいます。
言い換えると、連続性のあることに対して、脳はとてもよく働きます。
平日は時間がないからと、週末にまとめて2時間勉強をするという方もいるでしょう。
それ自体を否定はしませんが、1週間のうちその2時間しか勉強に取り組まないのであれば、その勉強法は本当にもったいない、というのが本音です。
翌日か翌々日あたりまでは親密度がそれなりに高い状態が続き、勉強した内容がチラリと頭をかすめることもあるでしょう。
『 人が常に新しいものを買い求めるのは、脳の仕組みが原因だった 人が新しいものを求めるのは、単に感情的なものではなく、脳が私たちをその方向へ促すからだ。この特性は、先史時代では生命維持において有効だったが、現在では過剰な消費の原因になっている。』
🧠中年の脳は高いポテンシャルを秘めている!
学生時代、あまり勉強をしてこなかった、勉強が得意でなかった、勉強がちっとも面白くなかった、という思い出がありますか?
もしくは「学生時代に勉強をサボったことを深く後悔している。今だったら大学の授業、しっかり聞くのに……。どうしてあのとき真面目に授業を受けなかったのだろう」と、大人になってから、学びたい欲が湧いてきたという人も少なくないはず。
実は、これ、脳科学的に当たり前の現象なのです。
私は、かねてから脳の成人式は30歳と言ってきました。
脳が構造上、「大人になった」という状態になるのは30歳頃だからです。
もちろん個人差はありますが、学生時代の脳と30代からの脳とでは、脳の働き方が変わります。
脳のことをよく知らないと、若いとき、つまり20代くらいまでの脳のほうが、イキイキしていて、脳としてもよく働き、だから物覚えもよかったんだと思ってしまいますよね。
しかし、これは間違い。
脳の働きから言えば、大人になってからのほうが断然よく働きますし、記憶力、判断力、決断力など、あらゆる面から見ても、“学生脳”より“大人脳”のほうがレベルが上。
大前提として脳科学的には、20代までの学生脳は、器官として未熟で未発達。
脳が持っている本来の力をちっとも発揮できない状態だったのです。
脳力を体力にたとえてみましょう。
子どものときと今を比べて、どちらが体力があったでしょうか?
子どものときですよね。
私自身、学生時代は運動に打ち込んだのですが、学生時代のほうが圧倒的に体力がありました。どんなに動いても疲れにくいし、ちょっと休んだだけで回復できる身体を持っていました。
しかし、たしかに体力はありましたが、できることは限られていなかったでしょうか。
体力が有り余る5歳児も、時速100㎞の球を投げることはできません。
陸上でもテニスでも野球でもサッカーでも、プロアスリートは体力があった高校時代よりも、大人になってから全盛期を迎えます。
自分史上一番の記録が生まれるのは、体力があった若い頃よりも、大人になってからです。
脳力も体力と全く一緒。
若いときのほうが、たしかに元気だったかもしれませんが、本当の脳力を発できるのは、大人になってから。
頭がよくなるチャンスは、大人になってからのほうが多いのです。
脳が成人を迎える30歳を境に、脳の機能はどんどん成長していくため、本来の脳の力を発揮できるようになります。
そういうわけで、学生脳と大人脳を比較すると、大人脳に軍配が上がります。
もし、冒頭のように「昔は勉強したいなんてちっとも思わなかったけれど、今は学び直したいなぁ」と思っているならば、それは、あなたの脳がしっかりと成熟している証しです。
学びたいという意欲は脳にとって最高のご馳走。
この機会を逃さず、今のあなたの脳が喜んで働くようになる勉強法を身につければ、まさに鬼に金棒です。
「そうはいっても、実際に物覚えは悪くなっている!加齢の影響はあるでしょ」と考える人もいるでしょう。
これは大人の脳の使い方をしていないために、記憶力が下がったと勘違いしているのです。
脳科学的にはっきりわかっていることですが、記憶力は加齢によって下がりません。
「物覚えが悪くなった」と感じる原因は、すでに大人脳の仕組みになっているのに、まだ学生脳と同じ脳の使い方をしているから。
ルールが変わったのに,古いルールのまま一生懸命頑張っても,結果はついてきませんよね。
まずは私たちが、大人の取り扱い説明書をしっかり理解する必要があります。
新しい取り扱い説明書通りに脳を使うことで、この先の人生において、どんどん学びを深めていったり、新しい分野の知識を学んだりすることさえも容易にできるようになりますよ。
🧠大人脳は10分の勉強を 12日間続けるのがコツ
脳の本来の性質は怠け者なので、視覚系と聴覚系の引き寄せる磁石の力も、うっかりするとすぐに弱まってしまいます。
何か一つのことを勉強するときは、常にそのことが頭の片隅にある状態が理想的。
親密度が高い状態を維持しておかないと、視覚系&聴覚系の怠け癖によって、情報を感知する力が著しくダウンしてしまいます。
言い換えると、連続性のあることに対して、脳はとてもよく働きます。
平日は時間がないからと、週末にまとめて2時間勉強をするという方もいるでしょう。
それ自体を否定はしませんが、1週間のうちその2時間しか勉強に取り組まないのであれば、その勉強法は本当にもったいない、というのが本音です。
翌日か翌々日あたりまでは親密度がそれなりに高い状態が続き、勉強した内容がチラリと頭をかすめることもあるでしょう。
『 人が常に新しいものを買い求めるのは、脳の仕組みが原因だった 人が新しいものを求めるのは、単に感情的なものではなく、脳が私たちをその方向へ促すからだ。この特性は、先史時代では生命維持において有効だったが、現在では過剰な消費の原因になっている。』
しかし、3日も経てば日常に忙殺されて勉強の記憶が薄れていくのが自然の摂理で、おのずと、視覚系&聴覚系の情報感知能力も弱まり、エビングハウスの忘却曲線のように2時間かけて覚えたものも長期記憶に入れてもらえず、ほとんど忘れてしまうというカラクリです。
こうなると、次の週末には先週末に学んだことの記憶を掘り起こすところから始めなくてはならないですし、平日に知識を蓄えたり新しいひらめきを得たりする機会もないままで、なかなか勉強の効率が上がりません。
そうならないための対策として、いくつかの方法が考えられます。
もっともおすすめしたいのは、まとめて勉強するのではなく、1日10分でいいから毎日コツコツ型の勉強法に変えていくことです。
2時間(120分間)の勉強よりも10分間の勉強を12日間続けたほうが脳科学的にはかなり効率のいい勉強法なのです。
毎日、コツコツと勉強することの目的は、学びたいことを常に頭の片隅に置いた状態にして親密な関係を築いていくことにあります。
好きな人や好きな物、推しているアーティストがいたりすると、仕事中や移動中になんの脈絡もなくそのことを考えているときがありますよね。
勉強ともその距離感を作りたいのです。
つまり、勉強と脳の間に連続性を作りたいのです。
どれほど激務の人であっても、1日10分くらいの時間なら捻出できるはずです。それが、自分にとってプラスになると判断して取り組んでいる勉強ならば、なおのこと。
1日わずか10分とはいえ、脳の連続性を維持する上ではこれほど適した方法はありません。
毎日、海馬に情報を送り続けるわけですから、海馬はこの情報は重要だと判断しますし、そうなれば、学んだことが記憶に残りやすくなります。
📗『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)加藤俊徳 著
その上、視覚系&聴覚系の情報収集力も上がり、勉強している以外の時間にふと目にした情報を取り込んだり、そのことについて考える時間も増えたりします。
誰もが経験したことがあると思いますが、全く違う作業をしているときに「あ、そういえば、あれってこういうことかな」と、勉強によって仕入れた点と点の知識が線でつながる瞬間があると思います。
この現象が起きるのも、脳の連続性があればこそ。
脳科学的に、自分が無意識の状態でも脳は連続性のあるものにきちんと反応し、それを攻略するように各脳番地が働いてくれているのです。
1日10分のコツコツ型勉強法は、脳が勝手に働くようなプログラムを組むことにつながって、効率よく学びを深めていけます。