マルキストは優越感に溺れた...日本で「共産主義」が流行った真の理由
PHP Online 衆知 より 230331 倉山満(憲政史家)
日本のインテリ層を魅了した「マルクス主義」。一体なぜこの島国で流行することになったのか。
マルクス理論の土台になったというイギリスの歴史を見てみると、日本との共通点が浮かび上がる。日本人が押さえたい「経済の常道」を憲政史家の倉山満氏が、やさしく解説する。
※本稿は、倉山満著『これからの時代に生き残るための経済学』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。
⚫︎「結果の平等」を説いたマルクスの正しさ
なぜマルクスが受けたのか? 共産主義思想など、狂気です。しかし、狂気にも受ける理由があるのです。
アダム・スミスおよびその流れをくむ自由主義・資本主義とカール・マルクスの共産主義を比較するにあたって、「機会の平等」か「結果の平等」かという言葉が用いられます。
アダム・スミスは「機会の平等」を重視し、それに対して、マルクスはその偽善性を徹底的について、「結果の平等」を説きました。
マルクスに言わせれば、どんな国や社会にも階級があり、人は生まれながらに不平等です。大金持ちの子として生まれれば、衣食住に不自由しないばかりでなく、よい家庭教師をつけてもらい、よい中等学校に通い、よい大学に入る。そういったエリートコースが用意されている。
イギリスのオックスフォードやケンブリッジ大学では、勉強ができるのは当たり前で、学生はスポーツにいそしんで体を鍛えています。おそらく本物のイギリスのエリートが喧嘩をしたら、肉体労働者に勝つでしょう。むしろ、あらゆる面で勝たねばならないぐらいの勢いで、普段から鍛錬しているわけです。
すべてにおいて優れている特権階級に対して、読み書き計算といった基礎学力も身につけることなく、小さいうちから働かされて毎日16時間の重労働。いったい人生、どうやって逆転するのか。その階級差は未来永劫なくならず、あるいは世代を経るごとに、その差は開いていくのではないか。
まったく、その通りです。相手の矛盾をつくときのマルクスの分析は、正しすぎて恐ろしいほどです。
⚫︎イギリスには一見当てはまる分析
たしかに当時のイギリスの労働環境はひどかった。マルクスの代表作『資本論』から、1867年の記述です。
現在行われている1850年の工場法は平日平均10時間労働を許している。すなわち、週初5日については、朝の6時から夕の6時まで12時間であるが、その中から朝食のために半時間、昼食のために一時間が法定で引去られて、10時間半の労働時間が残り、また土曜日については、朝の6時から午後2時まで8時間で、それから朝食のために半時間が引去られる。残るのは60労働時間、週初の5日に10時間半、最後の週日に7時間半である。
📗カール・マルクス『資本論』第2巻(岩波文庫、1969年)107頁
この工場法では、平たくまとめて1日12時間労働(朝食・昼食時間を含む)を勝ち取ったわけですが、今から考えると長時間労働ですし、しかも、これがしばしば守られなかったといいます。
困ったことに、マルクスの理論はイギリスの歴史を見ながら作ったものなので、一見イギリスには当てはまるように見えます。そして、イギリスに似た島国日本にも。日本で共産主義が流行った一因はここにあります。
⚫︎インテリを魅了する無駄な難解さ
日本の場合、マルクスの理論に当てはめて分析していくと、結構当たってしまうことがあります。たとえば鎌倉幕府の御恩と奉公などは、ヨーロッパ中世の騎士の忠誠心にかなり対応します。まぐれ当たりでも、重なれば説得力が生まれます。
マルキストが突きつける現実への矛盾は、確かにその通りでした。そして、「本当だ! そうか、これは全人類に通じる法則なのだ」と感じる人がいっぱい出てきていしまい、日本はマルクス主義者が威張り散らす国になってしまいました。
しかも使っている用語が無駄に難解で訳がわからないので、インテリを魅了するのです。普通の人は暇じゃないのでそんな用語なんか勉強しないのですが、マルキストのインテリはそういう用語を使いこなせることで自分たちは大衆とは違うエリートなのだと優越感に浸れる。
いちいち、「労働価値説」なんていまどき使い物にならない説を勉強する気にならないし、「ブルジョア」「自然必然性」「社会的有機体」「私有」「科学的」「生産」「歴史的条件」そして「資本主義」などの言葉に、マルクス特有の意味があるので、小馬鹿にしようものなら「君はわかってないねえ、勉強不足だよ」と偉い先生に上から目線で説教されるので、「信仰」は強化継承されていく訳です。
そんなマルクス主義を一言でまとめると、次のようになります。
世界中の政府を暴力革命で転覆し、地球上の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる!
何か異論がありますか? 世界中の共産主義者からの反論をお待ちします。何人いるか知りませんが。
※本稿は、倉山満著『これからの時代に生き残るための経済学』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。
⚫︎「結果の平等」を説いたマルクスの正しさ
なぜマルクスが受けたのか? 共産主義思想など、狂気です。しかし、狂気にも受ける理由があるのです。
アダム・スミスおよびその流れをくむ自由主義・資本主義とカール・マルクスの共産主義を比較するにあたって、「機会の平等」か「結果の平等」かという言葉が用いられます。
アダム・スミスは「機会の平等」を重視し、それに対して、マルクスはその偽善性を徹底的について、「結果の平等」を説きました。
マルクスに言わせれば、どんな国や社会にも階級があり、人は生まれながらに不平等です。大金持ちの子として生まれれば、衣食住に不自由しないばかりでなく、よい家庭教師をつけてもらい、よい中等学校に通い、よい大学に入る。そういったエリートコースが用意されている。
イギリスのオックスフォードやケンブリッジ大学では、勉強ができるのは当たり前で、学生はスポーツにいそしんで体を鍛えています。おそらく本物のイギリスのエリートが喧嘩をしたら、肉体労働者に勝つでしょう。むしろ、あらゆる面で勝たねばならないぐらいの勢いで、普段から鍛錬しているわけです。
すべてにおいて優れている特権階級に対して、読み書き計算といった基礎学力も身につけることなく、小さいうちから働かされて毎日16時間の重労働。いったい人生、どうやって逆転するのか。その階級差は未来永劫なくならず、あるいは世代を経るごとに、その差は開いていくのではないか。
まったく、その通りです。相手の矛盾をつくときのマルクスの分析は、正しすぎて恐ろしいほどです。
⚫︎イギリスには一見当てはまる分析
たしかに当時のイギリスの労働環境はひどかった。マルクスの代表作『資本論』から、1867年の記述です。
現在行われている1850年の工場法は平日平均10時間労働を許している。すなわち、週初5日については、朝の6時から夕の6時まで12時間であるが、その中から朝食のために半時間、昼食のために一時間が法定で引去られて、10時間半の労働時間が残り、また土曜日については、朝の6時から午後2時まで8時間で、それから朝食のために半時間が引去られる。残るのは60労働時間、週初の5日に10時間半、最後の週日に7時間半である。
📗カール・マルクス『資本論』第2巻(岩波文庫、1969年)107頁
この工場法では、平たくまとめて1日12時間労働(朝食・昼食時間を含む)を勝ち取ったわけですが、今から考えると長時間労働ですし、しかも、これがしばしば守られなかったといいます。
困ったことに、マルクスの理論はイギリスの歴史を見ながら作ったものなので、一見イギリスには当てはまるように見えます。そして、イギリスに似た島国日本にも。日本で共産主義が流行った一因はここにあります。
⚫︎インテリを魅了する無駄な難解さ
日本の場合、マルクスの理論に当てはめて分析していくと、結構当たってしまうことがあります。たとえば鎌倉幕府の御恩と奉公などは、ヨーロッパ中世の騎士の忠誠心にかなり対応します。まぐれ当たりでも、重なれば説得力が生まれます。
マルキストが突きつける現実への矛盾は、確かにその通りでした。そして、「本当だ! そうか、これは全人類に通じる法則なのだ」と感じる人がいっぱい出てきていしまい、日本はマルクス主義者が威張り散らす国になってしまいました。
しかも使っている用語が無駄に難解で訳がわからないので、インテリを魅了するのです。普通の人は暇じゃないのでそんな用語なんか勉強しないのですが、マルキストのインテリはそういう用語を使いこなせることで自分たちは大衆とは違うエリートなのだと優越感に浸れる。
いちいち、「労働価値説」なんていまどき使い物にならない説を勉強する気にならないし、「ブルジョア」「自然必然性」「社会的有機体」「私有」「科学的」「生産」「歴史的条件」そして「資本主義」などの言葉に、マルクス特有の意味があるので、小馬鹿にしようものなら「君はわかってないねえ、勉強不足だよ」と偉い先生に上から目線で説教されるので、「信仰」は強化継承されていく訳です。
そんなマルクス主義を一言でまとめると、次のようになります。
世界中の政府を暴力革命で転覆し、地球上の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる!
何か異論がありますか? 世界中の共産主義者からの反論をお待ちします。何人いるか知りませんが。
👄全く怖いマルクス主義。 ヒトラー、スターリン、毛沢東 ー>20世紀の極悪人
生き様も?!主義者の内部抗争の凄い事は世界を見ても、本邦を見ても早くから暴力的