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⚠️ ウクライナ大統領が「国連改革」を訴える → 国連の何が問題なの? 202204

2022-04-03 01:07:00 | 気になる モノ・コト

ウクライナ大統領が「国連改革」を訴える → 国連の何が問題なの?
EDuA より220403  一色 清


 日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、リモートで国会演説をするウクライナのゼレンスキー大統領=2022年3月23日、国会内、上田幸一撮影)

⚫︎安全保障理事会の「拒否権」の背景
 ウクライナのゼレンスキー大統領は3月23日、日本の国会議員に向けてオンラインで演説しました。大統領はその中で、戦争を止める力を持たない国際連合を改革する必要性を訴えました。日本向けの演説で国連改革に触れたのは、日本が同じ考えを持っていることを大統領が知っていたためだと思われます。その4日後、林芳正外務大臣はオンラインで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合で「国連改革を早急に実現することの必要性」を訴えました。

 ゼレンスキー大統領や林外務大臣がいう国連改革とは、国連安全保障理事会の改革のことです。安保理は、経済社会理事会などと並ぶ国連の重要な機関です。安保理は世界の平和と安全を維持することを使命としています。

 国際連合は第2次世界大戦が終わった1945年にできました。現在、世界193カ国が加盟していますが、安保理の理事国は15カ国です。ずっと理事を務める常任理事国はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国で、残る10カ国は選挙で選ばれて任期2年で交代する非常任理事国です。安保理で物事を決めるには9カ国以上の賛成が必要です。その9カ国には常任理事国5カ国が含まれていなければなりません。
 つまり5カ国のうち1カ国でも反対すれば物事を決めることができません。これが常任理事国の「拒否権」といわれるものです。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻では、ロシア軍の即時撤退を求める決議案がすぐに安保理にかけられましたが、ロシアが拒否権を行使し、廃案になりました。
 ただ、アメリカが主導して国連総会の緊急特別会合を要請し、193カ国で構成される国連総会で同様の決議案が141カ国の賛成で採択されました。採択されたからといってロシア軍が撤退することはありませんが、ロシアが国際社会で孤立していることを示すことはできました。

 安保理は本来、経済制裁や武力行使をする権限を持っています。しかし、5カ国が拒否権を持っているため、5カ国やその関係国がかかわっている紛争に対しては、そうした権限を使うことはほぼ不可能になっています。

 世界の警察としての役割を国連が果たそうと思えば、侵略した国の軍隊を国連軍が追い返さないといけませんが、そうした武力行使をする国連軍が結成されたことはこれまでありません。
 1950年の朝鮮戦争では、北朝鮮の武力攻撃をはね返すために国連軍という名の軍隊が戦いましたが、その実態はほぼアメリカ軍でした。
 また、90年の湾岸戦争では、クウェートに攻めこんで占領したイラク軍を追い返すために、アメリカを中心とした多国籍軍が出動しました。このときも国連が統率する国連軍をつくることはできず、多国籍軍と名乗るしかありませんでした。

 5カ国だけに拒否権が与えられているのは、第2次世界大戦で勝った連合国が主導して国連をつくったためです。
 国連の英語名は「UNITED NATIONS」で、英語では連合国と同じです。おもにドイツと戦ったのがイギリス、フランス、ソ連(今のロシアなど)で、おもに日本と戦ったのがアメリカ、中国です。当然のことながら、敗戦国のドイツや日本は常任理事国に入っていません。
 また、アメリカは第1次世界大戦後にできた国際連盟に入っておらず、ソ連も途中で国際連盟から除名されていました。新設される国際連合にも積極的でなかったこの2大国をひきいれるために拒否権を設けたという説もあります。

⚫︎SDGs、地球温暖化対策でも役割
 安保理の改革の必要性を訴える国は少なくないのですが、実現は簡単ではありません。常任理事国が持つ拒否権をなくせば、まとまる決議は増えるでしょうが、拒否権をなくすには国連憲章を変えなければならず、それには常任理事国の同意が必要になります。常任理事国がみずから持つ強い権限を捨てるとは思えず、実現性は限りなく小さいと思われます。

 現実味のある改革としては、理事国の数を現在の15カ国から増やすことです。1965年に非常任理事国が4カ国増やされ10カ国になりましたが、それから57年たっています。65年当時の国連加盟国数は120カ国足らずでしたが、今は193カ国になっていますので、増やす道理はあります。
 常任理事国を今の5カ国から増やそうという考えもあります。理事国や常任理事国を増やすことによって拒否権を使う心理的ハードルは上がるかもしれませんが、拒否権があるかぎり、本質的な改革とはならないでしょう。
 ちなみに日本はこれまで11回も非常任理事国になっており、2023~24年の非常任理事国を選ぶ選挙にも立候補することを表明しています。

 ロシアのウクライナ侵攻を止めることができない国連にもどかしい気持ちを持つ人は少なくないでしょうが、「国連なんていらない」と思うのは、国連を過少評価していると思います。世界の平和や環境や人権の問題に国連が大きな役割を果たしていることも知っておく必要があります。

 ロシアによるウクライナ侵攻のような大きな戦争とは別に、世界のあちこちで紛争は起きています。国連はそうした紛争に平和維持軍を派遣して、平和と安定に寄与しています。
 また、軍縮への取り組みにも力を入れていて、核兵器の削減、化学兵器の廃棄、生物兵器の禁止などにも力を注いでいます。

「持続可能な開発目標(SDGs)」は国連の大きな仕事です。貧困を終わらせ、地球を守り、繁栄を確保するための17の目標を15年につくりました。
 そして目標年の30年に向かって世界各国で取り組みが加速しています。

 地球温暖化という深刻な環境問題にストップをかけるための大きな枠組みをつくっているのも国連です。気候変動に関するパリ協定は、各国が出す温室効果ガスを削減させることにつながりつつあります。

 問題は安保理です。安保理の議場前の壁には、ピカソが描いた「ゲルニカ」のタペストリーが飾られています。ゲルニカはピカソの傑作とされている絵画です。描いているのは、スペイン内戦中の1937年、ナチス・ドイツとファシスト政権のイタリアによって無差別爆撃された北部の町ゲルニカの様子です。ピカソは、当時フランスであった万国博覧会のスペイン館に展示するために、高さ3.49メートル、幅7.77メートルの巨大な絵を描きました。苦しむ人々や動物が描かれ、反戦の強いメッセージが伝わってくる作品です。本物はスペイン・マドリードの美術館にあります。
 このタペストリーを国連が飾っているのは、明確な戦争反対の意思表示です。そうしたメッセージに実効性が加われば国連の存在感はさらに高まるのですが、今のところ改革の妙案はなさそうです。

(ジャーナリスト/一色 清)

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