死ぬための教養/嵐山光三郎/新潮社/2003
「死」というテーマの、エッセイ本。文章文体的には、アングラサイト二階堂ドットコムのノリなので、この本は遊び感覚の本と勘違いする方がおられるかもしれないが、深く読み込んでいくと究極的視点で突き詰めた末に、各界の著名人の生きざま、死にざまを例に見解を述べている。
タイトルにある「教養」とは、「死」を人生の最終到達点、「死」が人生を完成させると考えると、「教養」が「死」=人生において重要な意味を持つことがわかる。
空海の「入定」、三島由紀夫の自決、川端康成の自死を取り上げていることから、著者は、「死」とはその人の持つ「教養」と無関係ではない。(ことを言いたいようだ)
ヘルマン・ヘッセ、井伏鱒二、実の父に関するエピソードも説得力がある。
また、本の最後に、「いかにして悠々と死んでいくことが出来るか。いかにして安心し自分の死を受容することが出来るか。自分を救済しうるのは、使いふるした神様や仏様ではなく、自分自身の教養のみである」と著者は述べている。
「教養」とは「周囲から賢い人であると評価されたり、他人に見せびらかす目的での、蓄積すべき知識」ではないことは確かなようだ。
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