大学卒業時点で55歳で隠居することを決めていた。
当時は、定年が55歳から60歳まで延長される流れにあった。
性格的に、つい突き詰めてやってしまうタイプなので、どこかで手を抜かないと寿命を縮める結果になってしまうことを予期していた。
受験時代にかなり猛勉強し、一時的に燃え尽きた経験を振り返り、同じ失敗をしないために、早期隠居は早死にしないための絶対条件だった。
当時は、いいなと思った女性の中で脈がありそうな人が何人か居た。どの人も頭が良い人だった。
頭が良い人は、ともすれば先が読める、伴侶に求めることを自分の頭の中で数値化する傾向にある、つまり、彼女たちは伴侶となる人を出世するかしないかについて誰よりも敏感、(相手の性格よりも)出世して役員になりそうな人を選ぶ傾向にあり、「早期隠居は役員になることを就職時点から放棄すること」を意味した。
早期隠居することは、頭が良すぎる人の人生設計と相容れない結果となり、当然離婚要求が出される結果となることを予想した。
頭が良すぎる人、真面目過ぎる人とはうまく行かない可能性が強かったのである。
私は、人生設計上の選択を迫られた。
当時は、早期退職、Fire生活という言葉は一般的ではなく、私は「早期隠居」という言葉で婚約時点で婚約相手に55歳で隠居したいとする希望を3度伝えた。
婚約相手は、その中で、私がもし不遇の時代を迎えても気にすることがない、経済的に落ち込んでもガツガツすることがなさそうな人であった。幸いにして、婚約相手から反対の意思は示されなかった。
しかし、その年齢になると、家内は婚約時代に聞いた話を覚えていないというのである。
正直そのことには参ったが、何とか乗り切り、結果として、自分の人生設計に最も適合した人を、選んだような気がしている。
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