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無視、尾行、ゴミの不法投棄……田舎暮らしで村八分にされた夫婦のおぞましい証言
一部引用
「異議」を許さぬムラ社会
田舎暮らしにおいて、“それ”は突然やってくる。前兆や前触れはない。
有力者の1人が“無視”を始めると、伝染病のように蔓延し、集落に拡散する。
まさに村八分の圧力だ。移住家族は孤独に追い詰められ、田舎暮らしを諦めざるを得なくなる。
4月、不動産屋に先導された田舎暮らし希望者が、空き家を求めてベンツやアウディで山へと上がってくる。
それは「また犠牲者がやって来た」ことを意味するのだ。
甲信越地方の、西日本寄りに位置する集落。千葉県船橋市から茅野さん(仮名、以下同)夫婦が移住したのは2007年の秋だった。
東京の大手金融機関に勤めていた夫ならば、移住先での再就職もあるだろう。まだ子供もいなかったこともあり、旅行で知った温泉のある集落に越した。
だが、移住先で子供が産まれ、小学校に上がる今年、東京に引っ越した。理由は、集落で同世代の女性たちからことごとく無視され始めたからだ。妻の康子さん(35)が振り返る。
「移住して10年目を迎えようとした頃でした。きっかけは些細なことだったんです。
いや、それもあくまで私が『きっかけだろう』と思うだけで、本当のところはわかりません。
何しろ、無視されるんですから。
口をきかない、目も合わせない。これでは相手の本音や心の内は何も分かりません。
でも多分、夏祭りの運営をめぐって、私が意見を言った直後から、様子がなんだかおかしくなったのは間違いないはずなんです……」
康子さんは、毎年、自分だけが持たされ続けたビールケースの運搬に嫌気が差し、「それぞれの分担をきちんと決めてやるのはどうでしょうか」と提案したという。
「そもそも地元の若い人は、女衆だけでなく男衆がいる会合でも、年長者に対して絶対に意見を言いません。
それ以前に、年長者の前では言葉さえまともに発しません。その結果、地域の会合はいつも何も決まらないまま、
年寄りが意味不明なことを一人で自慢気にしゃべり倒して何時間も費やした挙げ句、『じゃ、例年通りで』で終わりです。
何が例年通りなのかさえ、わからないままですよ。それで、うちだけじゃなく集落の新参者へ、一方的に色々と負担を押しつけておしまいです」
たまに、長老組が若い者に話しかけるかと思うと、それは大概、“嫌がらせ”に見えたという。夫の尚さん(48)が言う。
「私がいた集落では、その土地出身の者であっても、若い者には負担や厄介ごとを押しつけるだけで、役職などには就かせないんです。
でも、あるとき珍しく、長老格が若い人を指名して『役職にどうだ』と言い出した。
いよいよ権限を譲る気になったのか、珍しいな、と思っていたら、あとで指名された人が『あの野郎、オレに嫌がらせをしてきやがって』と怒り始めたんです。
年寄りが役職を譲るときは、権限を渡さず、無駄な雑用を増やさせる。つまり嫌がらせも同然だということなんです」