gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/maidonanews/nation/maidonanews-13666245
一部引用
■見知らぬ男に襲われ…でも警察には行けなかった
両親は生まれてすぐ離婚し、祖母と養子縁組をした。大学進学を目指したものの経済的な事情が許さず、フリーターに。
日中は派遣、夜はスナックなどで働いていた。だが、ある夜、いつも通り仕事を終えた帰り道で、見知らぬ男に襲われた。
「警察に行こうかな、とも思ったけど、ツイッターとかでは(事情聴取で)酷い対応をされたという人もいっぱいいて、正直、良いイメージを持てなかった。
『そんな時間に出歩いてたのが悪い』とか言われそうだし、『キャバ嬢だから』とか言う人や、実際に後を付けられたという話もよく聞いていた。
だから、もうこれ以上嫌な思いをするぐらいなら…って。病院だってあれこれ聞かれるし…。被害に遭ったら何を最初にしなきゃいけない―とか知らなかったし、とにかく仕事して、忘れようと思ったんです」
だが7月、体の異変に気付いた。妊娠検査薬は「陽性」。「最近お腹が張るな、とは思っていたけど、元々生理不順で気付かなかった。
被害の日から計算したら、もう中絶もできない。産むしかない…って。でもコロナで仕事もなくなって、家もなくて、借金もあったからもう、『どうしよう』しかなかった」。
夜、「妊婦」「住む場所がない」と検索していて引っかかったのが、神戸市にある、望まぬ妊娠などに悩む女性のための相談窓口「小さないのちのドア」だった。
■病院に行くための現金1万円だけを持って
「とにかく24時間、話を聞いてくれる、と書いてあったから。どこにあるか、何をしてくれるかも分からなかったけど」と女性。手元には、病院を受診するための現金1万円だけ。
「事情を聴いて、とにかく『すぐ、いらっしゃい』と言いました。一刻も早くコンタクトを取らないと、と思った」。「小さないのちのドア」の代表理事、永原郁子さんは、そう振り返る。
女性は隣接するマナ助産院の一室で過ごすことになった。柔らかい布団で、女性は泥のように眠り、それから3〜4日、食事などの時間以外はずっと、眠っていたという。
その傍らで、永原さんらは提携する病院やソーシャルワーカーと連絡を取り、受診の日時を予約。
診察には保健師が付き添い、一緒に役所で母子手帳や助産制度、さらに生活保護の手続きをし、「小さないのちのドア」の顧問弁護士とともに借金の返済猶予手続きなどを進めた。