ドクトール隆の日常日記(秋田県大館市 伊藤内科医院)

日常診療とプライベイトに思う・・・

注目!喫煙とアデイポネクチン!

2009年06月11日 08時35分29秒 | Weblog
 メタボリック症候群の基本的病態は内蔵蓄積型肥満とそれによるインスリン抵抗性にある。しかし、実際にはIGT(境界型)や軽症DM(糖尿病)では反応性の高インスリン血症をきたす症例が多く散見され、これが比較的早期より動脈硬化(大血管)を来す一因と考えられている。また血中アデイポネクチンの低下(著明)を示す症例では喫煙との関連が注目されている。当院でも半年前から軽症DM(IGTも含む)でのPWV(脈波伝播速度)と血中総アデイポネクチンを定期に測定してその変動を検討しているが、興味深いデータが集積している。その一部を紹介すると軽症DM(IGTも含む)では約40%にアデイポの低下が認められ、特に喫煙者(ヘビー・スモーカー)では有意に低下が認められ、また異常な動脈硬化の進展例が存在することが解った。しかし、喫煙していてもインスリン抵抗性改善薬であるアクトス治療症例では2~3倍増加が認められた。一方非喫煙者で正常アデイポネクチンを示す症例でも動脈硬化が進行している例があり、これはアデイポネクチン抵抗性の存在を示唆している可能性があると考えられる。しかし、残念ながら一般臨床ではこれを測定することは不可能であります。最後に高インスリン血症がアデイポネクチン抵抗性の主原因になるという論文報告もあり、注目しております。
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