ドクトール隆の日常日記(秋田県大館市 伊藤内科医院)

日常診療とプライベイトに思う・・・

"家族性多発性のう胞腎"について

2018年03月20日 08時09分58秒 | 診療&トピツクス
 最近、会社健診にて蛋白尿(2+)のみで、精査のため当院受診した患者があり、
腹部エコー検査にて上記診断名と思われる症例を経験した。実は同様の症例を数件
経験していたのだが、有効な治療法がないため、生活指導のみで経過をみる場合が
多かった。最近ではその治療薬サクスカ(トリバプタン)が登場しており、その改善
治療薬として保険収載となっている。サムスカは腎髄質内集合管のバゾプレッシン
受容体V2を阻害することで利尿効果を発揮する。結果、腎のう胞の縮小化期待出来
るのである。ただし、その強力な利尿効果のため、頻尿と脱水が必須で、特に高ナト
リウム血症に注意が必要である。ですから、治療中は十分な水補給(2~3L前後)が重
要となる!さて、家族性多発性のう胞腎は常染色体性優勢遺伝で40歳前後から高血
圧や腎障害などを合併して、70歳までに半数以上が透析対象になる進行性の病気で、
その間、心血管イベントリスクも増大して、重篤な合併庄や死亡を来す危険がある。
ですから、放置ぜずに高血圧のコントロールやメタボ改善、更にはサムスカの積極的
治療が重要となる!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする