カリフォルニア在住の知人である八木博士の2006/2/12のblogに,スマートなデザインの家具等で有名なスウェーデンのIKEA社の紹介があった.
その中に以下のような記述がある.少し長いが引用する:
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コスト低減で思うこと
私は以前いた会社で、米国の大手化学メーカーとの合弁事業締結を担当したことがあったが、その時に米国企業は常に価格ダウンで競争力確保という戦略に固執していた。 私のいた会社は、高付加価値、高価格戦略を掲げていた。 米国の会社との議論は、高機能高価格は、非現実的であると認めれば、合弁をしようというところまできたが、当時のTOP判断で、そこまでの妥協ができずに、話は流れてしまった。 日本の会社の癖であるが、高機能高価格は日本のマーケットでのみ通用する特殊な論理であると思う。 だれでも、いらないお金は使いたくないのである。 ビルゲイツもずいぶん長いこと格安チケットで飛び回っていたという。それにしても、世界展開をしている起業の考え方に学ばされることは多いが、今年の、IKEAの日本での展開は注目に値する。
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この「高付加価値、高価格戦略」というのは,非常に多面的な意味を持つキーワードであると思う.
まず,日本のマーケットの歪さについて自覚が必要であろう.
日本では,中流の人々の経済力が中途半端に高いため,様々な日常品や日常的なサービスが世界的にみても非常に高い価格て提供されている.
しかし,日本では,それが世界的にみて多少高くても「買えてしまう」のである.
また,非専門家の人件費も,世界的にみて非常に高い.セブンイレブンやマクドナルドのアルバイトで,大学生が 10.00USD/H 稼げるのは,おそらく日本だけだ.
しかし,一方で,専門家によるサービスや専門家の人件費は,欧米ほど高くはない.
普段,日本の中にいると,これらのことには気がつかない.
この日本のマーケットの歪さとは全く別に,どのような業界にも,プロを相手にする製品やサービス,ハイエンドのユーザを相手にする製品やサービスというものがある.そのようなマーケットは,一般にはそれほど大きくはないが,確実に「ニッチ」な市場として存在していて,そこでは,高品質,高性能,高ブランド力等の高付加価値がバリューであり,価格競争力はあまり重要ではない.
例えば,日本の輸入車市場は,世界一多くの自動車メーカーを国内にもちながら,メルセデスやBMWの高級輸入車販売の台数が,より大衆的で大きな生産量をもつVWよりも多いという,特異なマーケットである.
日本では,中流の人々の一部も(他の国では収入のバランスから考えられないほどの範囲で),このような高付加価値マーケットのユーザ層を構成している.これは,他の先進国では存在しないユーザ層である.
これらのことを,はっきりと意識してマーケティングできているのは,そのほとんが日本の企業ではなく,主にブランド品,ハイエンド商品を日本に輸入販売している海外の企業である.
日本では,この二つの世界が,パラレルワールドのように,同時に存在しているのだ.
その中に以下のような記述がある.少し長いが引用する:
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コスト低減で思うこと
私は以前いた会社で、米国の大手化学メーカーとの合弁事業締結を担当したことがあったが、その時に米国企業は常に価格ダウンで競争力確保という戦略に固執していた。 私のいた会社は、高付加価値、高価格戦略を掲げていた。 米国の会社との議論は、高機能高価格は、非現実的であると認めれば、合弁をしようというところまできたが、当時のTOP判断で、そこまでの妥協ができずに、話は流れてしまった。 日本の会社の癖であるが、高機能高価格は日本のマーケットでのみ通用する特殊な論理であると思う。 だれでも、いらないお金は使いたくないのである。 ビルゲイツもずいぶん長いこと格安チケットで飛び回っていたという。それにしても、世界展開をしている起業の考え方に学ばされることは多いが、今年の、IKEAの日本での展開は注目に値する。
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この「高付加価値、高価格戦略」というのは,非常に多面的な意味を持つキーワードであると思う.
まず,日本のマーケットの歪さについて自覚が必要であろう.
日本では,中流の人々の経済力が中途半端に高いため,様々な日常品や日常的なサービスが世界的にみても非常に高い価格て提供されている.
しかし,日本では,それが世界的にみて多少高くても「買えてしまう」のである.
また,非専門家の人件費も,世界的にみて非常に高い.セブンイレブンやマクドナルドのアルバイトで,大学生が 10.00USD/H 稼げるのは,おそらく日本だけだ.
しかし,一方で,専門家によるサービスや専門家の人件費は,欧米ほど高くはない.
普段,日本の中にいると,これらのことには気がつかない.
この日本のマーケットの歪さとは全く別に,どのような業界にも,プロを相手にする製品やサービス,ハイエンドのユーザを相手にする製品やサービスというものがある.そのようなマーケットは,一般にはそれほど大きくはないが,確実に「ニッチ」な市場として存在していて,そこでは,高品質,高性能,高ブランド力等の高付加価値がバリューであり,価格競争力はあまり重要ではない.
例えば,日本の輸入車市場は,世界一多くの自動車メーカーを国内にもちながら,メルセデスやBMWの高級輸入車販売の台数が,より大衆的で大きな生産量をもつVWよりも多いという,特異なマーケットである.
日本では,中流の人々の一部も(他の国では収入のバランスから考えられないほどの範囲で),このような高付加価値マーケットのユーザ層を構成している.これは,他の先進国では存在しないユーザ層である.
これらのことを,はっきりと意識してマーケティングできているのは,そのほとんが日本の企業ではなく,主にブランド品,ハイエンド商品を日本に輸入販売している海外の企業である.
日本では,この二つの世界が,パラレルワールドのように,同時に存在しているのだ.