Dr. Jason's blog

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古くて新しいバイオエコシステム再考

2006-09-20 | Environment
 本書は、日本の湖や沼の自然環境、特に水中の植物(沈水植物)と、その周辺での人々の営みについて、丹念な調査をもとにまとめられたものである。
 筆者らは、単なる生態環境だけでなく、「モク採り」と呼ばれる沈水植物の採取について産業と文化の歴史として丹念に調べている。 
 湖や沼に沈水植物が沢山茂っていた時代の、湖沼の自然環境と人間とのかかわり合いを、「里山(さとやま)」に模して、「里湖(さとうみ)」ととらえ、そこから、50年前にはちゃんと維持されていた、沈水植物を媒介とした湖沼の環境保全システムを再考しようという意欲作。

 筆者は、在野の湖研究家、産業総合研究所の水環境の専門研究者、衛生公害研究所の研究者の混成チーム。

 [目次]
 1.湖沼における自然再生と50年前の水面下の世界
 2.中海-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 3.宍道湖-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 4.山陰地方の小規模な潟湖-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 5.全国の湖沼-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 6.沈水植物が繁茂していた頃の湖沼生態系と物質循環
 7.自然再生事業と「里湖」文化の今日的意義-結語にかえて
 付表:モク採り関連年表
 (肥料藻採集実態の湖沼間比較/社会の変化と湖沼環境の変化)

 水辺の自然環境に興味のあるかた、現在の河川や湖沼の水辺の環境管理や保全方針に疑問のある方に、広くオススメする一冊。

里湖モク採り物語-50年前の水面下の世界
平塚純一、山室真澄、石飛 裕 (著)
生物研究社

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コメント
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