Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

春の読書ガイド 科学の基礎の復習

2008-04-27 | Education
 最近は,高校のカリキュラムや指導方針が変わったり大学の入試システムが色々と多様化したりしているので,大学のある専攻分野に必須な学科分野について,高校までに十分に履修していなくても,入学できてしまって,大学に入学してから学生本人が苦労するということも少なからずあるらしい.
 また,高校のとににはちゃんと勉強したはずのある分野が,実は文科省によって昔よりも縮小されたカリキュラムになっていたために,大学で必要としている基礎的な概念の一部を習っていなかったということもあるようだ.

 例えば,殆どの「工学部」の専攻分野では,物理,特に,古典的な力学,熱,電磁儀学,エネルギー等の知識が不可欠であるし,何らかのエネルギーに関する専攻分野では,化学の知識も必要である.
 また,環境に関連する専攻分野では,化学だけでなく,生物の知識も必要であろう.1-2年の一般教養レベルの科目では特に,基本的な概念の一部の理解が不十分でも,ちゃんと出席していればなんとか単位は取得できたかもしれないが,専門科目となると,そうはいかない場合も多い.

 大学での各専攻分野で学ぶために必要な,物理,化学,生物等の知識は,いわゆる「一発勝負」の試験のための数式等の「暗記」にたよるようなものではなくて,むしろ,個々の現象や反応あるいは法則等についての,概念の積み重ねとそれらに対する,自分なりの総合的なイメージや直感的な理解であると思う.


 その意味で,何らかの理工系分野で学んでいる大学生諸君,あるいは理工系ではないが,何らか技術/科学と連携するような学際的な分野で学んでいる大学生諸君で,高校時代の,物理,化学,生物等についての理解に不安がある場合には,早い時期に,概念レベルから自学自習し,復習をすると先の勉強がとても楽になるはずだ.


 以下に挙げる,講談社のブルーバックスのシリーズは,どれも比較的新しい本で,コンパクトによくまとまっている.

新しい高校物理の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)
山本 明利,左巻 健男
講談社

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新しい高校化学の教科書
左巻 健男
講談社

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新しい高校生物の教科書 (ブルーバックス)
栃内 新,左巻 健男
講談社

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 ※知人の東大の先生が,このblogをご自身のblogの中で紹介して「地学がないのは問題だあ」とのコメントがありましたが,実はちゃんと「地学」もあります.地球物理,地球環境系の分野を専攻の諸君はこちがも参考にどうぞ.(2008/4/30 追記)
新しい高校地学の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)
杵島 正洋,松本 直記,左巻 健男
講談社

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 また,上記のような高校レベルの解説書をみても,まだ理解しずらい部分がある場合には,中学レベルの解説書に立ち返ってみるのも良いだろう.

 
発展コラム式中学理科の教科書 第1分野 (1) (ブルーバックス 1591)

講談社

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発展コラム式中学理科の教科書 第2分野 (2) (ブルーバックス 1592)

講談社

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 この2冊はイラストや図表が豊富で,読み物としても面白い.





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講義 流体力学 2008-2

2008-04-27 | Mech Eng
 第2回目の講義の概要は以下のとおり.

 偉人 アルキメデス
 流体の物性
 流体と個体
 圧力と圧縮性
 力と質量
 密度と比重
 小テスト
 春の読書

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[偉人 アルキメデス]
 今後の講義の中で,流体力学の歴史上の偉人についても,解説することにした.
 第一回目は,浮力に関する「アルキメデスの原理」で知られる,アルキメデスを紹介した.
 興味のある人は,是非,以下の参考サイトをよくみなおしてほしい.

 http://ja.wikipedia.org/wiki/アルキメデス
 http://ja.wikipedia.org/wiki/アルキメデスの原理
 http://www.koshigaya.bunkyo.ac.jp/shiraish/sansuu00/15/shiryou15.htm
 http://www.cs.drexel.edu/~crorres/Archimedes/contents.html

 特に,最後のサイトは,イラスト等も豊富でとても勉強になる.(ただし,英文)

 
[流体の物性]
 液体の物性について,教科書 pp.11-21 の範囲の内容について解説した.

 欠席した者は,特に教科書の上記の部分を十分に自習するように.


 [流体と固体]
 物質の3つの形態はそれぞれ,

 固体 (solid, Solide, Solide, 固体)
 液体 (liquid, Flüssigkeit, Liquide, 液体)
 気体 (gas, Gas, Gaz, 燃气)

 ※上記の表記は,日本語 (英,ドイツ語, フランス語, 中国語[簡体])

 概ね 流体 == 液体 + 気体
 
 普通は,流体とは思われないものでも流れている場合がある.例: マントル


 [圧力と圧縮性]

  圧力の定義,単位を復習しておこう.
  空気は意外に重い,海水はとても重い.
  大気圧や,海の深度に応じた圧力について,復習しよう.
  流体の「圧縮性」と,音速とは密接な関係がある.
  色々な物質の音速について,調べておこう.

 [力と質量]

  運動方程式を復習しておこう.

 [密度と比重]

  密度の定義を復習しておこう.


 [小テスト]

  出席票のかわりに,力学の初歩についての小テストを行った.
  1 力と仕事
  2 エネルギー(位置エネルギー,運動エネルギー,機械的エネルギー)
  3 運動量,力積
  4 角度の変化のある運動量(三角関数による成分の分解)

  今後も,基礎的な事項を確認する小テストを行うので,各自自分で,再度問題を確認して復習しておくこと.


  物理(特に力学)や数学の基礎的な復習が必要な者は,「学習支援センター」 を積極的に活用するように.

  物理が不得意な者は,改めて,高校の物理から復習すると良いだろう.



 [春の読書]

 以下はGW向けの推薦図書である.
 流体現象の理解には,直感的なイメージが非常に重要である.
 様々な流体現象について,非常に直感的に解説している.家庭でできる簡単な実験の例も豊富で楽しめる.

流れのふしぎ (ブルーバックス)

講談社

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 必須の宿題ではないが,出席,小テスト,宿題等,期末試験の得点等の不足が心配な者は,「流れの不思議」を購入して通読し,以下のレポートを提出すれば,普段点として加点する.

 「流れの不思議」についてのレポート
 流れの不思議を読んで,その概要と印象に残ったこと等を800文字程度レポート(A4ワープロ横書き)にまとめ,5/8 講義開始時に提出すること.

 レポートのスタイルは以下のとおり.

  学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
  レポートの題目
  まえがきの文
  本文
   概要
   印象に残ったこと
   その他
  あとがきの文


 [次回]
  5/1 は,講義があります.

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