流体力学の講義7回目,概要は以下のとおり.
流れの基礎式のまとめ
圧力と高さ
浮力
連続の式
流体の加速度
オイラーの式
ベルヌーイの定理
運動量の式
「ベルヌーイの定理」のところまでは,前回までの講義の中で,流体力学の基礎式として,特に重要なものを,まとめて再度解説した.そのあと,先週の講義で,時間切れとなって説明できなかった,「運動量の式」について説明した.
これらの,式とその概念は,流体力学において,最も基本的なものである.
単に,式を覚えるだけでなく,その式の「意味」を説明できるように,十分に復習してもらいたい.
講義のスライドは,殆ど教科書の内容にそっているが,以下,主なポイントと,スライドにあって教科書にはなかったぺージについて述べる.
[圧力と高さ(深さ)]
ある深さの流体の圧力 pは,
p = ρgh
ここで,ρ: 流体の密度, g : 重力加速度, h : 深さ
密度が一定の場合には,圧力は,深さ(高さ)の関数.
密度は流体の物質により,また,圧力,温度で変化する.
代表的な流体の密度 (kg/m3, 1気圧,20度)
ヘリウム 0.17
空気 1.2
二酸化炭素 1.7
エチルアルコール 790
水 998
水銀 13600
※実用的には,様々な流体(物質)の,密度のおおまかなオーダーを把握しておくことが非常に重要である.
[浮力]
浮力 P の大きさは
P = ρg V
流体中に存在する物体が流体からるうける力は,物体の表面全体でつりあっている.
もし,つりあっていなければ,
物体がつぶれる
物体が膨らむ
物体が沈む
物体が浮き上がる
物体が傾く
流体中の物体が,変形せず移動しないことが,物体が流体からうける力が釣り合っている==全体でバランスしているということ.
※流体力学では,力とエネルギーのバランスの概念が非常に重要である.
[流体の加速度]
ラグランジェとオイラーの方法
川の流れの上のボートの運動に例えると,
ラグランジェ的方法:
ボートの上から,運動や時間を観察する
オイラー的方法:
岸の上から,運動や時間を観察する
加速度は,時間による速度の変化だけでなく,場所による速度の変化に見える.
※特別な場合以外は,流れの場はオイラー的方法で取り扱うことが多い.
[ベルヌーイの定理]
流体のエネルギー保存法則
ベルヌーイの定理 (Bernuilli's Theorem)
1/2ρv2 + p + ρgz = const.
ただし,以下の条件が成り立つ場合.
1. 非粘性非圧縮流体
2. 定常流れ
3. 流線上
液体のエネルギー保存則
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー+位置エネルギー
気体のエネルギー保存則
低速流れ
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー
高速流れ
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー + 熱エネルギー
[運動量の式]
運動量保存の法則 pp.111-117
流体の運動量保存の法則
(ρV2 - ρV1) x Q = F
流体の単位体積当りの運動量の変化: 密度ρの流体が 速度V1からV2へ
検査領域への流量: Q
運動量保存の法則の適用例
流体の運動量保存の法則の適用例として良く知られている装置は,
ジェットエンジン
ロケットエンジン
例えば,ジェットエンジンは,後方への運動量を空気に与え,逆にエンジンが前方への運動量を得る.
ジェットタービンで強制的に空気を吸い込み,
燃焼により体積を膨張させ燃焼ガスの排出速度を増し,
後方への運動量を拡大する.(反力でエンジンは前方へ)
[参考文献]
講義の終わりに紹介した,教科書の理解を補足する入門参考書.
イラストがわかりやすく,現象や方程式のイメージや意味がつかみやすい.
上記と同様の,図解が豊富な入門参考書.
量は多くないが,計算の例題もある.
以前から何度か推薦している,入門参考書.
様々な流体現象について,わかりやすい図解による解説や,家庭で簡単にできる実験などが,沢山含まれている.
※運動量保存の法則の応用である,「ジェット推進」を確認する簡単な実験が p.114 にある.
流れの基礎式のまとめ
圧力と高さ
浮力
連続の式
流体の加速度
オイラーの式
ベルヌーイの定理
運動量の式
「ベルヌーイの定理」のところまでは,前回までの講義の中で,流体力学の基礎式として,特に重要なものを,まとめて再度解説した.そのあと,先週の講義で,時間切れとなって説明できなかった,「運動量の式」について説明した.
これらの,式とその概念は,流体力学において,最も基本的なものである.
単に,式を覚えるだけでなく,その式の「意味」を説明できるように,十分に復習してもらいたい.
講義のスライドは,殆ど教科書の内容にそっているが,以下,主なポイントと,スライドにあって教科書にはなかったぺージについて述べる.
[圧力と高さ(深さ)]
ある深さの流体の圧力 pは,
p = ρgh
ここで,ρ: 流体の密度, g : 重力加速度, h : 深さ
密度が一定の場合には,圧力は,深さ(高さ)の関数.
密度は流体の物質により,また,圧力,温度で変化する.
代表的な流体の密度 (kg/m3, 1気圧,20度)
ヘリウム 0.17
空気 1.2
二酸化炭素 1.7
エチルアルコール 790
水 998
水銀 13600
※実用的には,様々な流体(物質)の,密度のおおまかなオーダーを把握しておくことが非常に重要である.
[浮力]
浮力 P の大きさは
P = ρg V
流体中に存在する物体が流体からるうける力は,物体の表面全体でつりあっている.
もし,つりあっていなければ,
物体がつぶれる
物体が膨らむ
物体が沈む
物体が浮き上がる
物体が傾く
流体中の物体が,変形せず移動しないことが,物体が流体からうける力が釣り合っている==全体でバランスしているということ.
※流体力学では,力とエネルギーのバランスの概念が非常に重要である.
[流体の加速度]
ラグランジェとオイラーの方法
川の流れの上のボートの運動に例えると,
ラグランジェ的方法:
ボートの上から,運動や時間を観察する
オイラー的方法:
岸の上から,運動や時間を観察する
加速度は,時間による速度の変化だけでなく,場所による速度の変化に見える.
※特別な場合以外は,流れの場はオイラー的方法で取り扱うことが多い.
[ベルヌーイの定理]
流体のエネルギー保存法則
ベルヌーイの定理 (Bernuilli's Theorem)
1/2ρv2 + p + ρgz = const.
ただし,以下の条件が成り立つ場合.
1. 非粘性非圧縮流体
2. 定常流れ
3. 流線上
液体のエネルギー保存則
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー+位置エネルギー
気体のエネルギー保存則
低速流れ
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー
高速流れ
全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー + 熱エネルギー
[運動量の式]
運動量保存の法則 pp.111-117
流体の運動量保存の法則
(ρV2 - ρV1) x Q = F
流体の単位体積当りの運動量の変化: 密度ρの流体が 速度V1からV2へ
検査領域への流量: Q
運動量保存の法則の適用例
流体の運動量保存の法則の適用例として良く知られている装置は,
ジェットエンジン
ロケットエンジン
例えば,ジェットエンジンは,後方への運動量を空気に与え,逆にエンジンが前方への運動量を得る.
ジェットタービンで強制的に空気を吸い込み,
燃焼により体積を膨張させ燃焼ガスの排出速度を増し,
後方への運動量を拡大する.(反力でエンジンは前方へ)
[参考文献]
講義の終わりに紹介した,教科書の理解を補足する入門参考書.
イラストがわかりやすく,現象や方程式のイメージや意味がつかみやすい.
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上記と同様の,図解が豊富な入門参考書.
量は多くないが,計算の例題もある.
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以前から何度か推薦している,入門参考書.
様々な流体現象について,わかりやすい図解による解説や,家庭で簡単にできる実験などが,沢山含まれている.
流れのふしぎ (ブルーバックス) 講談社このアイテムの詳細を見る |
※運動量保存の法則の応用である,「ジェット推進」を確認する簡単な実験が p.114 にある.