Dr. Jason's blog

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講義 流体力学 2008-7

2008-06-01 | Mech Eng
 流体力学の講義7回目,概要は以下のとおり.

 流れの基礎式のまとめ
  圧力と高さ
  浮力
  連続の式
  流体の加速度
  オイラーの式
  ベルヌーイの定理
  運動量の式

 
 「ベルヌーイの定理」のところまでは,前回までの講義の中で,流体力学の基礎式として,特に重要なものを,まとめて再度解説した.そのあと,先週の講義で,時間切れとなって説明できなかった,「運動量の式」について説明した.

 これらの,式とその概念は,流体力学において,最も基本的なものである.
 単に,式を覚えるだけでなく,その式の「意味」を説明できるように,十分に復習してもらいたい.

 講義のスライドは,殆ど教科書の内容にそっているが,以下,主なポイントと,スライドにあって教科書にはなかったぺージについて述べる.


 [圧力と高さ(深さ)]
 ある深さの流体の圧力 pは,
  p = ρgh  
 ここで,ρ: 流体の密度,  g : 重力加速度, h : 深さ
 密度が一定の場合には,圧力は,深さ(高さ)の関数.
 密度は流体の物質により,また,圧力,温度で変化する.

 代表的な流体の密度 (kg/m3, 1気圧,20度)
   ヘリウム     0.17
   空気       1.2
   二酸化炭素    1.7
   エチルアルコール 790
   水        998
   水銀      13600

 ※実用的には,様々な流体(物質)の,密度のおおまかなオーダーを把握しておくことが非常に重要である.


 [浮力]
 浮力 P の大きさは
  P = ρg V

 流体中に存在する物体が流体からるうける力は,物体の表面全体でつりあっている.
 もし,つりあっていなければ,
  物体がつぶれる
  物体が膨らむ
  物体が沈む
  物体が浮き上がる
  物体が傾く
 
 流体中の物体が,変形せず移動しないことが,物体が流体からうける力が釣り合っている==全体でバランスしているということ.
 ※流体力学では,力とエネルギーのバランスの概念が非常に重要である.

 [流体の加速度]
 ラグランジェとオイラーの方法
  川の流れの上のボートの運動に例えると,

  ラグランジェ的方法:
  ボートの上から,運動や時間を観察する

  オイラー的方法:
  岸の上から,運動や時間を観察する
  加速度は,時間による速度の変化だけでなく,場所による速度の変化に見える.
  ※特別な場合以外は,流れの場はオイラー的方法で取り扱うことが多い.

 [ベルヌーイの定理]
 流体のエネルギー保存法則
  ベルヌーイの定理 (Bernuilli's Theorem)
  1/2ρv2 + p + ρgz = const.

 ただし,以下の条件が成り立つ場合.
  1. 非粘性非圧縮流体
  2. 定常流れ
  3. 流線上

 液体のエネルギー保存則
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー+位置エネルギー
 
 気体のエネルギー保存則
 低速流れ
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー
 高速流れ
   全エネルギー = 運動エネルギー + 圧力のエネルギー + 熱エネルギー


 [運動量の式]
 運動量保存の法則 pp.111-117

  流体の運動量保存の法則

  (ρV2 - ρV1) x Q = F

  流体の単位体積当りの運動量の変化: 密度ρの流体が 速度V1からV2へ
  検査領域への流量: Q

 運動量保存の法則の適用例 
  流体の運動量保存の法則の適用例として良く知られている装置は,
   ジェットエンジン
   ロケットエンジン

   例えば,ジェットエンジンは,後方への運動量を空気に与え,逆にエンジンが前方への運動量を得る.
   ジェットタービンで強制的に空気を吸い込み,
   燃焼により体積を膨張させ燃焼ガスの排出速度を増し,
   後方への運動量を拡大する.(反力でエンジンは前方へ)
 


[参考文献]

講義の終わりに紹介した,教科書の理解を補足する入門参考書.
イラストがわかりやすく,現象や方程式のイメージや意味がつかみやすい.

トコトンやさしい流体力学の本 (B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ)

久保田 浪之介

日刊工業新聞社

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上記と同様の,図解が豊富な入門参考書.
量は多くないが,計算の例題もある.

図解入門 よくわかる最新流体工学の基本―見えない流れをイラストで学ぶ、流体工学・超入門 (How‐nual Visual Guide Book)

小峯 龍男

秀和システム

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以前から何度か推薦している,入門参考書.
様々な流体現象について,わかりやすい図解による解説や,家庭で簡単にできる実験などが,沢山含まれている.

流れのふしぎ (ブルーバックス)

講談社

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※運動量保存の法則の応用である,「ジェット推進」を確認する簡単な実験が p.114 にある.
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