半藤一利著「あの戦争と日本人」
幕末から敗戦までを綴った。小説ではない、どう分類するのがいいのか。
回顧的に書かれているわけでなく、批判が入っている。
曰く、日露戦争に勝利したことで日本人が大国の仲間入りをした、そういう錯覚に陥り
敗戦まで来てしまった。
同じアジア圏でありながら他の国を見下す人間になってしまった。
現代でもそういう風潮がある、とも。
日露戦争で言うと二〇三高地の奪取。ここに全精力を傾けて乃木希典は戦った。
奪取に成功して旅順港を見るとすでにロシア艦隊はほぼ壊滅していた。
何のことはない、別な場所からでかい大砲で攻撃した結果であると。
日本海でバルチック艦隊をせん滅した東郷平八郎について。かれは津軽海峡を越えてくると
見ていた。しかし、部下が対馬海峡を来ると進言。それを取り入れた結果の勝利。
日本人特有の習性。こうあって欲しくないと思うと、いや、そうはならないという思い込みがあるという。
かつて、第三セクタばやりで雨後の筍のように出て来た時代があった。
言ってしまえば悲しいかな「武士の商法」だが。
計画立案段階で利益を出すためには年間入場者数がxx人。
少なくなることは考えない。それが、それくらいは来るだろう、いや来るに違いない。
絶対来る。だからxx年後にはこれだけの黒字になり、万々歳。ってな調子だ。
いまでもそういう傾向は連綿と受け継がれている。そういう気がする。
だいぶ読み進んだ。示唆に富む部分も少なくない。ということはこの作者と考え方が違わないということか?
あと一つあった。今年の話だったと思うが、何かの集会で自民党の芸人上がりの国会議員が、
と言ってもまだ若いが。「八紘一宇」と言ったそうだ。
戦時中に使われた言葉だが、果たして意味を解って言ったものかどうか。