28mmレンズ一本とモノクロフィルムを20本持
って・・・。
四、五日、どこか知らない街に行きたい。
別に遠くへ行かなくともいいのだ。
しかし家庭の事情もあるし飼い猫ハナ様のお世話も
あるのでそうはいかない。
それにこの暑い時に一人旅なぞ考えただけでもぞっ
としない。
一人旅はやはり冬だ。
昔は海が大好きだったけれど、今はなぜか海を見る
のが切なくてならなくて、嫌いではないがあまり見
たくはない。
私の写真は街歩き散歩写真なので、写真スポットな
ぞと言うのにも興味がない。
どこかの街で、とぼとぼ歩きながらチョンチョンと
シャッターを切っていく。
なので大都会へ行っても面白くないし田舎の田園風
景はあれは全てお百姓さんの「作り物」なのであま
り興味もない。
都会でもない、田舎でもない、何のことのない路地
を歩き回ってはシャッターを切る。
港なんかもいいけれど、海よりやはり街なのです。
それも廃れていく街。
かつて賑わっていたところが荒廃して、商店街なら
シャッター街のような所や、廃れた団地のような風
景ばかり撮っているのです。
独りと言うのは寂しいものですが、そんな写真を撮
る時は自分の中の寂しさもエッセンスとして必要な
のです。
まだまだ夏の始まりですが、冬の日本海なんてのも
結構なものです。
何にも撮らなくてもいい、シャッターは黙ったまま。
それでも写真旅なのです。
ま、当分、まず叶いそうにありませんけれどもね。