東光展は具象洋画展で、個性豊かで親しみやすい絵が多く、毎年楽しみにしているファンも多い美術展です。
美術館に東光展80回記念展(巡回展)を見に行った折、会場を一回りして最後のコーナーにさしかかった時、
1人の婦人が絵を鑑賞されているのに出会いました。
横顔が、たった今見てきた田代晃三画伯(東光会の重鎮)の描かれた『振袖』という題の人物画の婦人に似ているのです。
躊躇いながら、「あの~」と声をかけました。 (一瞬、あまりにも唐突で失礼かと、後悔しました)
「田代画伯の絵のモデルさんですか?」
ニッコリしながら「そうです」という答えで 「もう絵をご覧になったのですね」。
私が「素晴らしい絵でした」と言うと、「もう画伯のモデルを始めてから17年になります」と嬉しそうに「今から絵を見に行くところで、
楽しみです」と言われました。
田代画伯の人物画は、精密な描写というのではなく、簡略化された対象の面と鮮やかな色使いが特徴ですが、絵を見た後、
実物のモデルさんに会うと、簡略していてもその特徴を驚くほど捉えていて、人物の雰囲気までも表現されている事が分かりました。
私が見たのは洋装の婦人で、横顔と言ってもほとんど後ろからの横顔なのに「あ、絵の婦人だ!」と分かっ程ですから。
そこに佇むのは、まさに、絵から抜き出てきた婦人その人でした。
絵は田代晃三画伯の 『 振袖 』
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