会社を定年退職して絵を描くことを趣味として習い始めて、もう15年近くになろうとしています。
絵をただ描く事だけでなく、いろんな絵画団体にも入り、人との繋がりも増えました。私は先ず水彩画を習い始めて、並行してデッサン教室、植物画、水墨画、日本画といろんな経験をしました。その為に器用貧乏と言われることもありますが、幅広い絵の世界を楽しんでいます。
今まで、ずっと通して描いているのが水彩画と日本画です。
その違いは何だろう。そして、美術の専門的な教育を受けたことが無い私にとって「日本画とは何か?」と聞かれるのが一番困惑する質問です。今回は私の描いた3枚の絵を通して、素人の私なりに整理してみました。
1枚目は水彩画教室で描いたモデルさんのデッサンです。後で着彩する事を念頭に置いて描きました。(F-6号)
モデルさんの細かな描写をするのが遠慮されるので、だんだん私の頭の中で美化していくことになります。
この絵に水彩絵の具で彩色したのが次の写真です。人物の形、皮膚の陰影など観察して写実的に描きました。着彩で顔の表情がデッサンと変わったのは私の未熟さです。
次に、この絵を元に日本画を製作しました。使ったのは和紙、岩絵の具です。
この作品はグループの小品展に出すためで、F-4の大きさに縮小して描いています。
人物の輪郭は線描きにしていて、皮膚の陰影は極力抑えて立体感を強調しないようにしています。岩絵の具の混色は抑えて(比重が異なる場合があり分離することが多い)5回~8回の塗り重ねで色を出します。
水彩画の場合はチューブからパレットに出してすぐに混色して塗ることで早く完成しますが、日本画は岩絵の具を膠(にかわ)で溶いて、色を塗り重ねるという行程があり、乾いてから何度も塗るという繰り返しの時間を取りますので、完成までかなりの日数を費やすことになります。
日本画を描く場合、絵の全体の表現は「清楚」にと心掛けしています。
洋画と日本画の違いは、人種の違いもあり「肉食系と草食系」の違いなのかも知れないと、私的には思えるのです。
日本画 「憩い」 F-6 (和紙に岩絵の具)