☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『アキレスと亀』(2008)

2013年07月21日 | 邦画(1990年以降)
『アキレスと亀』(2008)

北野武監督、樋口可南子さん、 柳憂怜さん、麻生久美子さん、中尾彬さん、
伊武雅刀さん、大杉漣さん、大森南朋さん出演。

14作目の長編映画となり、『TAKESHIS'』『監督・ばんざい!』に続く、芸術家としての自己を投影した三部作の最後の作品である。



【STORY】
夢を追い続ける売れない中年画家と、その夫を励ましながらともに夢を追う妻の20数年間をつづる人間ドラマ。
タイトルの『アキレスと亀』の元々の意味は、俊足であるはずの人間が鈍足の亀と競争しても勝てないことを証明する数式上の逆説(パラドックス)である。

【感想レビュー】
この作品、以前ながら観をしてしまっていて、なんと観た事を忘れておりました…。

観始めてすぐに気づき、今度はきちんと観る事に

たくさん絵が出てくるのですが、ニワトリの絵は特に可愛いです


時にハッと息を呑むブラックな表現や

そこはアッサリ描くんだ!?

…など、細かな予想をたくさん、たくさん裏切られて、それがまた心地よい良かったりしました


『ニーチェの馬』(2011)

2013年07月20日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ニーチェの馬』(2011)

タル・ベーラ監督、ボーク・エリカさん、デルジ・ヤーノシュさん出演。

監督が“最後の監督作”と公言して作り上げた作品。
美しいモノクロの長回し映像で捉えた1人の農夫とその娘の過酷な日常生活を通じて、人間の倫理と尊厳を問う。
ベルリン国際映画祭で審査員特別グランプリと国際批評家連盟賞を受賞。



【STORY】
初老の男(デルジ・ヤーノシュ)とその娘(ボーク・エリカ)、そして年老いた馬が暮らす、人里離れた荒野の中の一軒家。
唯一の収入源は馬と荷馬車だった。父は荷馬車仕事を、娘は家事を行なって日々を過ごす。暮らしぶりは貧しく、毎日は限りなく単調。熟練の動作と季節の変化、一日の時間によってリズムと決まりきった仕事が与えられるが、
その重荷が残酷に彼らにのしかかる…。
(Movie Walkerより抜粋)

【感想レビュー】
ようやく念願の作品を観れました!

『セイジ 陸の魚』と同時期に公開されていたのですが、西島さんお勧めという事で、ずっと気になっていたのです。


凄かったです!!


風の音

目を瞑って聴くと、さらに動きが伝わってきます。


劇中音楽

もうずっっっと、同じメロディーで、頭の中から離れません…。

どうしても音を耳が追ってしまうので、さらに忍耐を強いられました…。

ラヴェルのボレロみたいに…無限ループな感じです…

でも、作品にピッタリでした


モノクロのきめ細やかな映像美

あまりに美しかったので、素人の私でも画面の中の構図や配置が素晴らしいのが分かりました!

冒頭の、吹きさす強風の中を、ひたすら荷馬車で行くシーン!

下から馬を撮っているようで、凄い迫力がありました


とにかく、頑固なまでに長回しのシーンの連続で、観る者に忍耐を強いる作品です。


154分という長い時間を、作品と睨めっこするわけですから、この長回しの連続を観ているうちに、ここでの暮らしがいかに単調で、しかも過酷であるか…を伺い知る事になります。

そして、ずっと観ているうちに、思う事が変化していくのですが、それが良いのでしょうね。


とにかく、頑固なまでの長回しや荒れ狂う風の音がとっても素晴らしかったです







『トラス・オス・モンテス』(1976)

2013年07月19日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『トラス・オス・モンテス』(1976)

監督・録音・編集:アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ/撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
出演:トラス・オス・モンテスの住民たち

【STORY】
ポルトガル現代詩を代表するアントニオ・レイスが、マルガリーダ・コルデイロと共に作った初長篇。
川遊びなどにうち興じる子供たちの姿を中心に、遠い山奥のきらきらと輝く宝石のような日々を夢幻的な時間構成により浮かび上がらせる。
公開当時、フランスの批評家たちを驚嘆させ、後にペドロ・コスタ監督にも影響を与えたという伝説的フィルム。
(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
この日、3本目のポルトガル映画。

これは、1番分かりやすい作品でした。

遮る物がない、吹きっさらしの風の音。

スクリーンの奥、遠くの方まで広がる山々の景色。

古びた石造りの建物。

トラス・オス・モンテスに住む人々。


カメラは、そこに住む人々の生活を切り取り、まるでコラージュのように繋ぎ合わせていく。

ラスト3、40分に差し掛かってようやく、メッセージのような、ナレーションが入る。

国境も遠いが、都はもっと遠い。

彼らは、都よりもまだ国境を身近に感じる、と。

王がどれだけ代わっても、トラス・オス・モンテスの人々の生活は何一つ変わらない、と。

彼らにとっては、何もかもが遠い遠い話しなのだ、と。

生きていくのは大変なのだ、と。


美しい自然に囲まれた、彼らの質素な暮らしぶり。

何か、心に落ちていく物がありました







『自分に見合った顔』(2004)

2013年07月18日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『自分に見合った顔』(2004)
(日本初公開)

ミゲル・ゴメス監督、ジョゼ・アイロザさん、グラシンダ・ナヴェさん、カルロト・コッタさん出演。

【STORY】
30歳までは神から授かった顔、その後は自分に見合った顔になる――。
グリム童話「白雪姫」をモチーフのひとつに、30歳の誕生日を迎えたフランシスコの身にふりかかる奇想天外な出来事を、大胆な二部構成で描き出す。最新作『熱波』によって、一躍世界の注目の的となったミゲル・ゴメスの記念すべき長編デビュー作。
(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
『熱波』を観て、映画館を移動して「ポルトガル映画の巨匠たち」へ。

上映が短期間という事もあって、とっても熱気がありました

『熱波』で、ミゲル・ゴメス監督の不思議な温度を感じたので、続けて作品を観れるのはラッキーでした


開始早々、とってもチャーミングで大きな子どもみたいな男が出てくるではないですか

一つ一つの仕草は愛らしく、発想も可愛くて、劇場内はクスクスどころか笑い声も起こるほど!

あぁ、『熱波』に感じた要素は無いんだな…と安心して観始めたのですが…それも束の間!!

愛されるキャラクターで、分かりやすいコメディタッチの、でも、うっかり感動しちゃうタイプの作品かなと思ったのに、その男が、はしかを患ったところから、あれよあれよとまた、隔たりを感じずにはいられなくなったのです!!


けれども、作品はまたしても饒舌に、そして決して不親切な感じでもなく…。

こういう感じは、味わった事がないので、何とも不思議な感覚でした。

共感を呼ぼうとするワケでもなく、かといって批判を覚悟した表現…というワケでもなさそう。。

ただ、でもなんだか爽やかにそこに在る感じなのです…。


受け入れるも何も、そこに在るのだから、在るんです…よね(?)

よく分からなくなってきました。

でも、味わった事のない感覚を味わえたので、満足でした









『熱波』(2012)

2013年07月18日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『熱波』(2012)

ミゲル・ゴメス監督、テレサ・マドゥルガピラールさん、ラウラ・ソヴェラウさん(アウロラ)、アナ・モレイラさん(若きアウロラ)、カルロト・コッタさん(若きヴェントゥーラ)、エンリケ・エスピリト・サントさん(ヴェントゥーラ)出演。

さまざまな映画祭で賞を受賞した『私たちの好きな八月』のポルトガルの俊英ミゲル・ゴメスが手掛けた、ノスタルジックな愛の物語。

【STORY】
現代のリスボンと1960年代の植民地時代のアフリカを舞台に、壮大な喪失のエピソードを2部構成でつづっていく。モノクロの映像で激動の過去と共に描かれる。
敬虔なクリスチャンであるピラール(テレサ・マドゥルガ)は、退職後はカトリックの社会活動団体に所属し、少しでも世界を良くしようと努力している。リスボンに住む彼女は、80代の隣人アウロラ(ラウラ・ソヴェラウ)のわがままに振り回されていた。そんなある晩、アウロラの体調が急に悪化し、ピラールは彼女にある頼み事をされる。

【感想レビュー】@theater
私にとっては、とっても不思議な感覚にさせられる映画でした


最初と最後の、ピアノで奏でられる音楽は印象的です。

第一部では、主にピラール(テレサ・マドゥルガ)の視点から見た隣人:現在のアウロラを。

第二部では、主にヴェントゥーラの回想で、1960年代の植民地時代のアフリカの二人の想い出を綴っていく。


そこで、私が面白いな!と思ったのは、ストーリーにでも無く、キャラクターにでも無いのですが…。

あ、ワニは可愛かったです

作品は、とっても饒舌で、時には親切過ぎる位にストーリーの脈や人物の心情を描いています。

決して、観ている者を欺こうとかビックリさせようとかは無いと思います。

にも関わらず!

ちっとも、ちっとも共感出来ないし、いつまで経っても、ただの傍観者として作品を観続ける時間が続いたのです

温度を感じないというか。
感じさせないというか…。

まるで、他者の人生など、そんなものさ、と言わんばかりに

第二部が始まる頃には、半ば疑いながらも、この演出はワザとに違いない…と思いつつ観ました。
(違うかもしれないけれど…)


そして、また最後に冒頭と同じピアノ曲が流れたのですが、そこでその考えは、私の中では確信に変わりました。

そのピアノは、とっても潤っているのに、温度が無い…。
綺麗で美しいのだけれど、温度が無い。

作品のテンションとリンクしていたので、益々確信に至りました。

そういう意味でミゲル・ゴメス監督自身に興味を持ちました