☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『菊次郎の夏』(1999)

2013年07月16日 | 邦画(1990年以降)
『菊次郎の夏』(1999)

北野武監督、北野武さん(菊次郎)、関口雄介さん(正男)、岸本加世子さん(菊次郎の妻)出演。




【STORY】
遊び人の中年男と母親を探す小学生、不釣り合いなふたりが繰り広げる一夏の冒険を描いたロードムービー。

監督・脚本は「HANAーBI」の北野武。撮影を柳島克己が担当している。主演は、「残侠」のビートたけしと映画初出演の子役・関口雄介。99年度カンヌ国際映画祭正式出品作品。

【感想レビュー】
こんな面白い映画を今までなぜ観なかったのか…。


ある夏休み、少年は母親を探す旅をする。遊び人の中年男と!

それだけで、もう既に何かワクワクする設定なのに、観ているこちらの予想を次々に越えていく…。

と言うよりも、もはや予期など出来ないシーンが沢山差し込まれてきて…

さらにそれが、一瞬のカットだったりする事もあって…

正男の夢の中の世界には度肝を抜かれました。

とっても妖しい赤い世界の舞。

幻想的な蒼い世界の舞。

北野監督の頭の中が…宇宙過ぎて…


そして、登場人物の大人がとっても魅力的だったりします。

こういう時はこうしなきゃいけない、
こう言わなきゃいけない、
と思い過ぎていたり、
相手が子どもだと、正しい大人を演じたりする。
そういう大人は多くて、そんな大人は、常々つまらないと思ってはいたけれど、普通はそうなりがちだよなぁ…と思うのですが…。

その真逆をゆく菊次郎は、滅茶苦茶にも思えるキャラクターなのですが、とっても魅力的なのです。

何だかだんだん、人は捨てたもんじゃない…みたいに思えてきます。

正しい大人ではないかもしれないけど、誠実ではあったりする


こんなに沢山の奇想天外とも思えるシーンやカットがあるのに、決してドタバタしていなくて、しかも一瞬にして心を掴まれてしまったりする…。

恐るべし…ですね


北野映画は、Dolls、アウトレイジ、アウトレイジビヨンドの3本しか観た事が無かったので、どんどん観る旅が始まりました♡



『さよならみどりちゃん』(2005)

2013年07月15日 | 西島秀俊さん☆映画
『さよならみどりちゃん』(2005)

古厩智之監督、星野真里さん(ゆうこ)、西島秀俊さん(ユタカ)出演。



【STORY】
南Q太の名作コミックを、星野真里&西島秀俊共演で映画化。恋人のいる青年に恋した女の子の痛切な思いをリアルに映し出す。

【感想レビュー】
この作品は何度も観ているのですが…

その度に、違った印象を持つので、毎回新鮮に感じる不思議な映画です。

きっと、私自身の内面の変化によって、ゆうこやユタカに対する想いが変わるからなのでしょうね。


たくさん好きなシーンがあります
ユタカがお店の前で、ホースを持って無邪気に笑う所も特に

ユタカが何を考えているのか、実のところは分からない。

とりとめのないの存在感というか、一緒に居るのに心許ない…そんな刹那的な感じ。

西島さんだから、ユタカが成立している、そんな風に思います


“虎がバターになるように、私は溶けてなくなっていく。
このまま時間が止まればいいのに”

この台詞、星野さん演じるゆうこが、独特な声と、まったりとしたテンションで言うのですが…

うーん、何度観てもこのシーンも良いですねぇ!好きです


アクターズファイルの古厩監督の記事によると、監督と西島さんは『朝まで飲んだりしない意気地なしの飲み会』をたまーに2人でするらしく♪
結局、楽しくてついつい朝まで飲んでしまうらしいのですが…。
(かわいい…

今もされているのでしょうかね♡

アクターズの記事、お2人の親密さが伺えて、とっても素敵な内容でした


また、シネマトピックスオンラインの記事には次のようなものもあります。
↓↓↓
http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=1483


これまで真面目な印象の役が多かった西島さんが超軟派なユタカを演じられていますが、彼の起用のきっかけは?

古厩監督
「すごい大好きな役者さんで、以前も少しだけご一緒させていただいたことがあったんですが、長編作品で1度お仕事したいなと思っていたんです。
まず、第一に無理しないところ。西島さんがやった時点で西島さんのユタカが見えてきましたね。書いてあるセリフを読むだけでユタカになっちゃうんですよね。クールで物静かな役をやっている印象が強いので、衣装も最初どんなものを着てもらうのかわからなかった(笑)。
最初は迷いました。むずかしかったです。でも西島さんの方から「これでいいんじゃない」と言っていただいて安心しました。」

脚本を読んだ時の感想は?

西島さん
「原作も読ませていただいたんですが、完成度がすごく高いし、僕の演じた役も原作では僕よりずっと若いので、どうなるのかなと思いました。
でも古厩監督とは是非ご一緒したかったので、お会いしたときに、「西島のフィルモグラフィーの中で最も知能指数が低い役をやらせたいんだ。」と言われて、やってみたいなと思いました(笑)。古厩監督に演出されれば、そういう役でもどこか面白いものになるんじゃないかと思いました。」


いやはや、面白くないワケがない!!

まさにユタカは愛すべきキャラクターですし、ゆうこの選んだ道も含めて、素敵な映画だなぁ
と思います

【追記】『雨よりせつなく』(2005)

2013年07月13日 | 西島秀俊さん 徒然日記
【追記】『雨よりせつなく』(2005)

本編はだいぶ前にレンタルで観た作品なのですが、あまりに好きな作品だったので、少し前に購入しました。

それでまた本編を観て、感想を書いた後に、特典映像が付いていた事に気付き…少しだけ【追記】に書いてみます。


田波涼子さんのインタビューから。

ー西島秀俊さんについてー

『西島さんは、本当にナチュラルな方で、その綾美の感情を出してくれるような演技をしてくださるので、演じているの見た時に、ナチュラルさが凄くて鳥肌が立って、あぁ、西島さん素敵だなぁって…これが役者さんなんだなって凄く感じました。』

本業がモデルの田波涼子さんを、“綾美”として成立させてしまう相手役の西島さん…またしても恐るべしです

監督の演出も素晴らしいのでしょうね


ー当摩寿史監督のインタビューからー

台本に無かったシーンを足したとの事。

それが、釣り堀のシーンと自転車の通勤のシーンだそうで…!

この二つが何回も出てくる事で、日常を感じさせるわけなのですが…。

この二つのシーンがとっても印象的で大好きなので、監督…!素晴らしいですね


私はまんまと、そのシーンが本当に好きなのです!

とテレビ越しに伝えました

『雨よりせつなく』(2005)

2013年07月13日 | 西島秀俊さん☆映画
『雨よりせつなく』(2005)

当摩寿史監督、田波涼子さん、西島秀俊さん、黒坂真美さん、深浦加奈子さん出演。



【STORY】
広告代理店のマーケティング部に勤務する27歳の綾美は、30歳を間近に控え結婚より仕事に生きようと思い始めていた。
そんな矢先、彼女は同じ会社に勤める倉沢と知り合い、いつしかふたりは心惹かれあっていく。しかし、倉沢には忘れられない過去があった…。

【感想レビュー】
映画全体の雰囲気が好きです。

会社のレトロな外観も。

廊下や給湯室も雰囲気があって素敵です


淡々としているようで、倉沢と恋が始まる伏線の張り方が絶妙で、観ているこちらまでドキドキし始めます。
(西島さんと擬似社内恋愛みたいな…言ってしまった…)


女友達とフリーマーケットでお店を出す休日。

釣り堀でひたすらボーッとする休日。

綾美が自転車で上り坂や下り坂をいく通勤シーン。


心の機微と繊細にリンクしていくので、恋の始まりの、些細な一喜一憂がとっても愛おしく伝わってきます

相手を知る悦びと切なさとが、押し寄せてきます。

お互いにもう少し、後少し、遠慮しないで踏み込んでいたら、結果は違っていたのか…。

それとも、なんのてらいもなく踏み込めるような恋愛なら、もっと自然に相手を受け入れる事が出来たのか…。


淡々としている映画は沢山ありますが、この作品はどの場面にも伝わってくる想いがあります。

決して冗長的であったり、緩慢ではありません。

きちんと登場人物達の性格や性質、2人の関係を描いているので、置いてきぼりにもさせられません


押し付けがましくないけれども、主張はちゃんとある、そんな作品です

とっても素敵な映画です


【追記】
本編はだいぶ前にレンタルで観た作品なのですが、あまりに好きな作品だったので、少し前に購入しました。

それでまた本編を観て、感想を書いた後に、特典映像が付いていた事に気付き…少しだけ【追記】に書いてみます。


田波涼子さんのインタビューから。

ー西島秀俊さんについてー

『西島さんは、本当にナチュラルな方で、その綾美の感情を出してくれるような演技をしてくださるので、演じているの見た時に、ナチュラルさが凄くて鳥肌が立って、あぁ、西島さん素敵だなぁって…これが役者さんなんだなって凄く感じました。』

本業がモデルの田波涼子さんを、“綾美”として成立させてしまう相手役の西島さん…またしても恐るべしです

監督の演出も素晴らしいのでしょうね


ー当摩寿史監督のインタビューからー

台本に無かったシーンを足したとの事。

それが、釣り堀のシーンと自転車の通勤のシーンだそうで…!

この二つが何回も出てくる事で、日常を感じさせるわけなのですが…。

この二つのシーンがとっても印象的で大好きなので、監督…!素晴らしいですね


私はまんまと、そのシーンが本当に好きなのです!

とテレビ越しに伝えました


『カナリア』(2005)

2013年07月12日 | 西島秀俊さん☆映画
『カナリア』(2005)

塩田明彦監督、:石田法嗣さん(岩瀬光一 )、谷村美月さん(新名由希 )、西島秀俊さん(伊沢彰:カルト元信者)、りょうさん、つぐみさん、甲田益也子さん出演。



【STORY】
かつて母親が所属していたカルト組織・ニルヴァーナの施設で妹と共に暮らしていた少年・光一は、児童相談所に預けられていた。
しかし母は戻ってくることはなく、祖父は妹だけを引き取った。光一は祖父母がいる東京を目指して、児童相談所を脱走した。その道中で、彼は援助交際をする少女・新名由希に出会った。

【感想レビュー】
この映画のモデルとなった事件当時、私は中学生でした。

大きなショックを受けましたし、マスコミを始めとする社会が、事件の全貌が分からないままに、様々な情報や憶測を垂れ流しにし、それを私も半分は享受していた記憶があります。

そこに一体どんな現実があって、そこに居た彼らはその後一体どうなったのか…。

共同生活を送る彼らの中には、もちろん子ども達も居たわけで、まだ幼く、自己の確立すらあやふやな人格に、特定の偏った価値観を、隔離された環境でひたすらに叩き込まれたら、一体、その人格はどうなってしまうのだろう…。

そして、ある日突然、その価値観は違いました、間違っていました、と言われたら…。

考えただけでも、恐ろしいです。


光一を演じる石田法嗣さんは、西島さんとふとした時の表情が似ていて、なんだか不思議な俳優さんです。

映画の特に前半を、子役の2人が引っ張っていくという難しそうな展開ですが、石田さんも谷村さんもとっても素晴らしかったので、自然に入り込めました

そして、西島さん演じる伊沢と光一が初めて対峙するシーン。

凄い緊張感でした…。
西島さんの切迫感がもう本当に…。

傍観している私からすると、得体の知れないその教えを、頑なに信じている様子、それが迷い無い態度のように思える程、こんなに末恐ろしい存在はないわけですが、西島さんはまさに、脱退するまでの伊沢を、そういう人物として演じきっています。

演じきっているというよりは、またいつものように、“伊沢”という人物そのものなので、本当に恐ろしいのですが…。

でもそんな頑なな伊沢が、光一の無言の反抗に、ふと心を寄せて諭すシーンがあります。

そこから始まる伊沢と光一の静かな心の交流が、最後まで、何か一筋の希望にも思えました。


自分が自分である事。

その事からは、誰しも逃れる事は出来ない。

すべてを受け入れて、それでも生きていくしかない…。

迷いながら、耐えながら、泣きながら、でも最後は真っ直ぐ前を見据えて歩いていく光一と由希が印象的でした。