☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『tokyo.sora』(2002)

2013年07月04日 | 西島秀俊さん☆映画
『tokyo.sora』(2002)

石川寛監督、板谷由夏さん、井川遥さん、香川照之さん、西島秀俊さん出演。



【STORY】
夢を追う6人の女性の人間模様を描いた群像劇。
目的を見失い、煮えきらない日々を過ごす彼女たちの姿をとおして、都会暮らしの孤独と一抹の希望を浮き彫りにする。
(Movie Walkerより引用)

【感想レビュー】
印象的なシーン、カットがたくさんあります。

石川監督の撮る映像が、独特な雰囲気を醸し出しています。

少し色を抑えたような色調は、色褪せて見える時さえあります。

でもその中で、画面いっぱいの真っ青な空が映し出される瞬間には、ハッと胸を突かれました。

建物の下から空を見上げたアングルが画面の奥行きを感じさせます。
…建物越しの空はとても狭くて、少し哀しく映りました。。

まるで空が、登場人物達の心の機微を映しているかのようでした。

色んな空がありました。


板谷さんと西島さんのお2人のシーンは特に好きです。

板谷さんが煙草やお酒を飲みながらお芝居するシーンが格好良くて

西島さんの視線の揺らぎ方や落とし方も本当に素晴らしくて

画になるお2人でした





『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』(2006)

2013年07月03日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』(2006)
アレクサンドル・ソクーロフ監督

【STORY】
20世紀の偉大なチェロ奏者の生涯。
小澤征爾さんも敬愛するチェロ奏者ロストロポーヴィチさんの80歳を記念して製作されたドキュメンタリー。

彼とその妻でソプラノ歌手のヴィシネフスカヤさんが語る二人の波乱の生涯。最後のプレミアコンサートとなった、小澤さんの指揮によるウィーンフィルとの共演が終盤を飾る。

【感想レビュー】@theater
ソ連時代に反体制芸術家として扱われたロストロポーヴィチさんと妻のヴィシネフスカヤさん。

大変な思いを強いられてきたにも関わらず、彼らは祖国を愛し続けていたのですね…。

自国の偉大なる作曲家達への想いと、音楽への弛まぬ情熱と献身がひしひしと伝わってきました。

『(作曲家と違う点は)演奏家は音楽の娼婦』と仰いました。
演奏家は、作曲家が誰であっても、その作品に献身的な愛を注ぐのです。


有名なヴァイオリニストのチュマチェンコさんの言葉にも次のものがあります。

『演奏する時に重要なのは、あなた自身でない。音楽が重要なのよ。作曲家が音を通じて何を伝えたかったか。どんなメッセージを発しているのか。それを見出し、それに近づかなればならない。あなたの役割は、その音楽に息を吹き込むことなのです。』

作品のあるべき姿にアプローチしていく作業は並大抵の事ではありませんが、ただひたすらに献身していく。

その姿勢を、インタビューやプレミアコンサートのリハーサル、本番の映像から伺う事ができました

ロストロポーヴィチさんのチェロは、深い音色とスケールの広さと、瞬発力と…とてもお年を感じさせないエネルギーに満ち溢れていました

小沢征爾さんは、ロストロポーヴィチが認めている公認の弟子にあたるのですが、その師弟関係のお二人の共演や言葉のやり取りも拝見出来て、大満足でした!











【追記】『SELF AND OTHERS』(2001)

2013年07月03日 | 西島秀俊さん 徒然日記
【追記】『SELF AND OTHERS』(2001)

観てから数日経っても、毎日この映画の事をふと思い出しては考えてしまいます。

『SELF AND OTHERS』には、夭折の写真家を追憶する、懐かしむ…あるいは感傷に浸るような類では無い何か…。

牛腸さんの本質に挑む気概のようなものを感じるのです。

彼の本質を垣間見て、とても恐ろしかったのです。

畏怖のようなものを抱きました。

彼の作品はとてもさり気ないけれど、時が経った今でも尚、そこから新鮮な温度を感じましたし、今は亡き彼に会ったような気さえしました。


もしかすると、牛腸さんが撮った方々の写真を見ているうちに、その方々の眼差しを通して、私も牛腸さんに会ったような感覚になったのかもしれません。


こういうドキュメンタリー映画があるんだな!!! …と驚愕した作品になりました。

西島さんの映画を鑑賞する旅の、記念すべき52本目(あと1本…‼)に観たのがこの作品で、とっても嬉しいです





『ロマン・ポランスキー初めての告白』(2011)

2013年07月02日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ロマン・ポランスキー初めての告白』(2011)

ローラン・ブーズロー監督、アンドリュー・ブラウンズバーグさん(インタビュアー)、ロマン・ポランスキーさん。

【STORY】
オカルトホラーの金字塔「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)、フィルムノワールの傑作「チャイナ・タウン」(74)、カンヌ映画祭パルムドール&アカデミー監督賞受賞の「戦場のピアニスト」(2002)など、数々の名作を残しているロマン・ポランスキー監督が自らの人生を語ったドキュメンタリー。

【感想レビュー】@theater
ポランスキー監督の波瀾万丈な人生を激白したドキュメンタリー映画です。

幼少期から今に至るまで当時の映像を交えながら語っています。

1933年、仏パリで生まれた彼は、幼少期に移り住んだポーランドで第2次大戦を迎え、ユダヤ人としてゲットーに収容されましたが、そこから1人で脱出し、映画大学に入学しました。


ホロコーストを題材にした映画はよく観ているのですが、そんな中でも私にとって「戦場のピアニスト」は特別な作品です。

それは、シュピルマンがショパンのノクターン第20番遺作を演奏するシーンなどのピアノを演奏するシーンだけでなく、なぜか、ハッとする瞬間が沢山あるのです。

切り口が他の作品と逸脱して違うという訳でもなさそうなので、何でだろう…とずっと引っ掛かっていました。


その理由が何なのかを知りたくて、ポランスキー監督の特集に行く事にしました。

『ローズマリーの赤ちゃん』を観て少しだけ分かった気がします。

鋭敏で豊かな色彩感覚もその一つかもしれないと。

『お墓に一つだけ持って行けるとしたら「戦場のピアニスト」』

彼はそう言いました。

なんだかとても嬉しかったです。

他の作品も是非観たいと思います。


『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)

2013年07月02日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)

ロマン・ポランスキー監督、ミア・ファローさん、ジョン・カサヴェテスさん出演。



【STORY】
ニューヨークが舞台のモダン・ホラー。
若い俳優(ジョン・カサヴェテスさん)と妻ローズマリー(ミア・ファローさん)は、マンハッタンの古いアパートに引越してきた。

2人がつき合っている初老の友人ハッチ(モーリス・エヴァンス)によれば、このアパートは、以前から不吉な噂がたえないという。だが若い2人は、いっこうに平気だった。
でもやがて不穏なことばかり起きるようになって…。

【感想レビュー】@theater
これが本当に45年前の作品なのか!
と驚愕するほど、60年代のファッションやインテリアは勿論、演技や台詞に至るまでスタイリッシュで新鮮な印象を持ちました。

ニュープリント版という事もあるのでしょうが、画面がとっても鮮やかでおしゃれなのです。

ミア・ファローとジョン・カサヴェテスの新婚夫婦のやり取りは実に愛らしく

でもそれが少しずつ不穏な空気を纏っていく描写が実に巧妙でした。

無駄に感じる瞬間が一切無く、ラスト10分に差し掛かって尚、ドキドキさせてくれるストーリー展開にすっかり、ポランスキーのファンになってしまうのでした


そして、ジョン・カサヴェテスさんと言えば、映画『CUT』との深い繋がりがあります。

『装苑』Yuka Kimbaraの記事より
fashionjp.net/soen/blog/kimbara/2011/11/24/142/
↓↓↓↓
ナデリ監督は、カサヴェテスの遺作となった『ジョン・カサヴェテスのビッグ・トラブル』(日本未公開・1986年)の製作に携わった過去を持ち、それまで偉大なる映画を撮り続けながら、最後は多くの苦労を抱えた末に、あまり話題にもヒットにもならなかった作品で終わってしまったカサヴェテスへの思いを映画にしようと長年考えていたそうです。

そして西島さんと出会い、彼にカサヴェテスの面影を見出したと言います。

その直感は正しくて、昨日の東京フィルメックスでの質疑応答の際、西島さんの口から、「ジョン・カサヴェテスの映画と出会って自分自身が生まれ変わった気がした。それほど大きく自分の人生を変えられた作家」という言葉が出てきました。
しかし、西島さんがナデリ監督とカサヴェテスとの関係を知ったのは『CUT』を撮り終わってからというから、映画の神様が引き寄せた運命の赤い糸なのだなあ、と壇上のお二人を見つめながら思った次第です。


ジョン・カサヴェテスさんを尊敬してやまないナデリ監督に、そのカサヴェテスに似ていると言われる西島さん

凄いですね!!!

『CUT』の次回作も楽しみです