☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『お早う』(1959)

2013年11月26日 | 邦画(クラシック)
『お早う』(1959)

小津安二郎監督、笠智衆さん(林啓太郎)、三宅邦子さん(林民子)、設楽幸嗣さん(林実)出演。




【STORY】
大人と子供の世界を描いた一篇。
「彼岸花」につづいて野田高梧と小津安二郎が書いた脚本を、小津安二郎が監督した。撮影は「春を待つ人々」の厚田雄春。(Movie Walkerより)

【感想レビュー】
面白かったですー

ゲラゲラ笑いながら観ました

子どもと大人の攻防が面白くて可愛らしくて

ご近所の婦人同士の攻防も面白くて

コテコテなのだけど、なんか爽やかでなんか面白い!という


デジタルリマスター版だったので、まずまず綺麗な画像でした。

薄い水色とあの赤色の組み合わせが、本当に素敵でした

勇ちゃんが可愛い過ぎます




『罪の手ざわり』(2013)@東京フィルメックス

2013年11月26日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『罪の手ざわり』(2013)A Touch of Sin / 天注定

中国、日本 / 2013 / 129分
監督:ジャ・ジャンクー (JIA Zhang-ke)
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野

【作品解説】
ジャ・ジャンクーにとって『長江哀歌』(06)以来7年ぶりの長編劇映画となる『罪の手ざわり』は、山西省、重慶、湖北省、広東省で実際に起こった4つの事件に基づき、急激に変貌する中国社会の中でもがき苦しみながらもひたむきに生きる人々をパワフルかつ美しく描いた作品だ。公共の炭鉱を私物化する人々に憤る男。妻と子には「出稼ぎ」だと偽って各地を渡り歩きながら犯罪を繰り返す男。顧客からいわれのない侮辱を受けるサウナの受付係の女。単調な工場労働に飽き、歓楽街に身を投じ同い年のダンサーと恋に落ちる青年。中国が直面する様々な問題を内包した4つの物語は微妙に連携し、時には暴力的な手段に訴えざるをえない中国の庶民の現状を浮き彫りにする。その見事な構成が評価され、カンヌ映画祭脚本賞を受賞した。 (フィルメックス公式サイトより)


【感想レビュー】@theater
先日、ついに第14回東京フィルメックスが始まって、開会式と『罪の手ざわり』を観て参りました

会場は熱気と、一定の緊張感と何か幸せな喜びに満ちていて、自然と私も高揚してきました。

林加奈子さんの高らかな開会宣言でいよいよ始まりました


冒頭、なかなか作品に入れなかったのですが、本当に少しずつ、少しずつ作品のテンションがクレッシェンドしていく感じで…
でも、こうして観て数日経っても、鮮明に色んなシーンを思い出す事が出来る作品でした。

ジャ・ジャンクー監督が、中国の今を撮りたいという熱い想いで撮った作品だと、上映前の市山尚三さんによる作品解説のお話しにもありました。


自分の言い分を聞き入れてもらえず、仲間や妻に軽んじられた男の仕返し。
怒りから、やがて快楽や開放感へ変わっていく様は、あまりの短絡的な行動に、ゾッとしました。

『出稼ぎ』だと妻にも偽って、バイクで各地を渡り歩きながら犯罪を繰り返す男の、富裕層や自分を取り巻く現状に対する怒り。
無表情な佇まいは、内なる怒りを感じさせます。
空に上がった花火、哀しかったですけど、刹那的で美しかったです。。

疲弊し切った地方からの出稼ぎ労働者たち。
工場で働く若者たち。
街には人が溢れ、人口の多さを実感させます。
自分の居場所は何処にあるのか…。
探したけれど、しがらみからの解放は難しかった若者…。

ずっと色んな事に耐えてきたのに、ついに耐えられなくなった女。
でも、ラストの微笑みは、いかようにも解釈出来そうで、彼女は今、何を想っているのか…考えてしまいます。


作品から感じたのは、抑圧、怒り、諦め、悟り…。
特に怒りは、瞬発的な怒りと奥底に内包する怒りの対比で、似て非なるものでした。
憤怒して起きた事件は、現象に過ぎず、そこまでに至る内実にこそ、真実がある…ような。。


ここ数年、日本との関係も変化して来ています。だからこそ、中国の今、知りたいです。

作品は、中国国内の急速な変化をじっくり教えてくれました。

メディアとしての映画、観ました










『カッコーの巣の上で』(1975)

2013年11月22日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『カッコーの巣の上で』(1975)

ミロシュ・フォアマン監督、 ジャック・ニコルソンさん(R.P.McMurphy)、ルイーズ・フレッチャーさん(Nurse_Ratched)、ウィリアム・レッドフィールドさん(Harding)出演。




【STORY】
州立精神病院を舞台に管理体制に反撥する人間の尊厳と自由を描いたケン・ケーシーのベストセラー小説の映画化。
ゴールデン・グローブ賞6部門、アカデミー賞5部門を受賞した。

【感想レビュー】
勧められて、名作といわれる映画を観ました

さすがに、深かったです!!

そして、またしても内容を全く知らずに観たのですが、ジャック・ニコルソンさんが出ていて‼

凄く好きな俳優さんです
(お若かった…)

舞台は精神病院でしたが、これはアメリカ社会を凝縮したものでした。

精神病院の偉い人、看護師など、管理する側に白人。
看守には黒人もいるけれど、白人に雇われる黒人という図を描きたかったのかなと…。

そして患者には、母親に管理される白人の若者、妻とうまくいかない白人。色々問題を抱えている白人達。インディアン…etc、etc。

支配する側とされる側。

でも彼らの中には、自分の意志で支配される側を選んでいる者も居るのです。

勇気を出せば、外に出られるのに。
自由になれるのに。

束の間の自由の象徴は、海でした!

ラストの終わり方は、想像出来ないものでしたが、地に足のついた自由は、森へ向かって走るという、これまた象徴的なシーンでした!

観ている時も、俳優陣が素晴らしく、映画を純粋に楽しめますが、観た後に、考えれば考えるほど、メッセージのある深い作品だなぁとジワジワくる作品でした!




『サヨナライツカ』(2010)

2013年11月21日 | 西島秀俊さん☆映画
『サヨナライツカ』(2010)

イ・ジェハン監督、西島秀俊さん(東垣内豊)、石田ゆり子さん(尋末光子)、中山美穂さん(真中沓子)出演。





もう何回も、この作品は観ていますが、ついに先日、初回限定版なるものを購入してしまいました
特典が付いているのです…。

好きなシーン、カットが本当に沢山あります

そして、観るたびにどんどん、全てのカットが、画面の隅々まで計算され尽くしているという事に気付きます。

むしろ、すべてのカットが、もう完璧にキマッている!という印象なのです
監督凄い!


豊が、初めてバンコクにやって来て、会社に向かって歩いて来るシーンも

消しゴムが宙に浮いて、机上の道具がニョキニョキ伸びて、上昇していく気持ちが近未来を描く所とかも

初めて沓子に出逢うシーンの、お店の雰囲気、歌、画面の陰影…バンコクの湿度がもたらす気怠い色気が合間って

空港へ、メルセデスベンツで向かう道のシーンは、向かって来る車と逆方向に飛んでいく飛行機のカットに、うわぁいいなぁここっってなります。

好きなカットが多過ぎて、逆にへっ⁈ってなるシーンが目立っちゃう作品でもあります…私の中で…。

特に、25年後にふとなって、会社の椅子に座っているカット…何であんな不自然な老けメイクなのー!!涙涙涙…

加藤雅也さんの老けメイクもひどい…

で、でもそれ以外は、好きです!

よく何十年後のシーンなどで、顔はちゃんと老けメイクなのに、手のカットがピチピチっていう作品がありますけど、3人とも、ちゃんと手まで染みや皺を作ったりして、細やかなのに、あのメイクだけは不思議でした´д` ;。

そこがちょっと残念ですけども…。

でも、ここまで全てのシーン・カットの構図が美しく、また衣装やメイク(老けメイク以外は素晴らしいんです‼)が、心の機微を表す重要な小道具で、そこをたっぷり味わえる作品はなかなか無いので、観るたびに発見がありますし、いつも楽しんで観ています


人は死ぬとき、愛されたことを思い出すのか、愛したことを思い出すのか

映画は、このテーマに基づいて、この問いを繰り返しますが、結局3人は、愛した事を思い出すのかなと思います…。

どうも恋愛作品の場合、恋愛の行方に関して、その展開を…実はそんなに気に留めないで観る傾向にある気がしてきました

それにしても。
たくさんのラブシーンの中で、一番好きなのは、冒頭の日本の豪邸のシーンです

特に、食器棚からカップを取ろうとしている時の…


豊、見た目は好青年で、何やってもサマになるし、打てばホームランだし、でも内面に熱い野心がある…っていう
役は、西島さんにぴったりですね








『最後のマイ・ウェイ』(2012)

2013年11月21日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『最後のマイ・ウェイ』(2012)

フローラン・エミリオ・シリ監督、ジェレミー・レニエさん(クロード・フランソワ)、ブノワ・マジメルさん
(ポール・レダーマン)、モニカ・スカッティーニさん(シュファ・フランソワ)出演。






【STORY】
1960~1970年代にかけてフランスで人気を博し、フランク・シナトラが歌い世界的なヒットとなった『マイ・ウェイ』を作曲、39歳という若さでこの世を去ったミュージシャン、クロード・フランソワの半生を描く。

1939年、エジプト。クロード・フランソワはスエズ運河の通航を管理する父と派手好きな母の間に生まれる。裕福な家庭に育ったが、スエズ運河が国有化され第二次中東戦争が勃発すると父は失職。モナコへ移住した後、クロード(ジェレミー・レニエ)は地元の楽団で働くようになるが…。

【感想レビュー】@theater
なんだか、観ている時からどんどん胸がいっぱいになっていきました

観ればきっと、彼の歌とパフォーマンスに恋してしまう‼…そんな映画です


彼のどうしよもなく激しい生き方、愛し方、不器用なまでの人との向き合い方は、生まれついた資質と、青年期まで過ごしたエジプトの豪邸での父親との関係が非常に深く関係しているのです。

第二次中東戦争が勃発し、父親が失職。
これまで一家の絶対的な存在だった父親のアイデンティティーの崩壊は、家族に、特に息子に大きな影響を与えてしまいました…。

愛されたい、認められたいという欲求の塊のクロード・フランソワ。


ジェレミー・レニエさんの演じるクロード・フランソワの、お顔がちょびっと苦手で、観たいと思いつつ先延ばしにしてしまっていたのですが、観ているうちに、どんどん魅力的に見えてきました

それは映画の中でも、どんどん垢抜けて、魅力的になっていくのと重なって、素晴らしかったです

もう本当に、キラっキラしていました!!

圧巻の歌とダンスパフォーマンスのシーン

女の子は取っ替え引っ替え…

最後、エンドロールで歴代の女性が出てきた時は、『あぁ、この人もいたいた!』ってなる位でした


149分と長いのですが、さらにエンドロールも長いです
終わるかな…と思うと、また始まる…みたいな…。
でもこれも、彼にあともう少しだけ付き合いましょう!っという感じで味わいました

それにしても、クロード・フランソワさんを知らなかったので、ネットでひいてみたら、ジェレミー・レニエさんは、本当に本物そっくりな役作りをされていたんだなぁ!!!と感嘆しました!!