☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『椿姫ができるまで』(2012)

2013年11月20日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『椿姫ができるまで』(2012)

フィリップ・ベジア監督、ナタリー・デセイさん、ジャン=フランソワ・シヴァディエさん、ルイ・ラングレさん出演。




【STORY】
オペラファンの間で名演として称賛された、2011年エクサン・プロヴァンス音楽祭で上演された「椿姫」をめぐるドキュメンタリー。フランスが世界に誇るオペラ歌手ナタリー・デセイと演出家ジャン=フランソワ・シヴァディエ、著名な楽団で指揮を務めてきたルイ・ラングレという天才たちが、激しくぶつかり合いながらも舞台を構築する姿を追う。それぞれが見せるプロとしての譲れぬプライド、全編にわたって響き渡るナタリーの歌声には、クラシックやオペラのファンならずとも聴き入ってしまう。

19世紀イタリアが生んだ希代の作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。「リゴレット」「アイーダ」「オテロ」などの名作オペラを数多く放った彼の代表作の一つ「椿姫」が、オペラ歌手ナタリー・デセイ、演出家ジャン=フランソワ・シヴァディエ、指揮者ルイ・ラングレという世界最高峰ともいえる布陣のもと、エクサン・プロヴァンス音楽祭で上演されることに。彼らは何もない稽古場で顔を付き合わせ、それぞれの才能をあらん限りに発揮して、これまでにない唯一無二の世界観を持った「椿姫」を作り上げていく。(Y!映画より)

【感想レビュー】@theater
やっっと観れましたー

もうっ、ナタリー・デセイさんの歌声は、予告編だけでも心を鷲掴みにされますが

こんな舞台裏が観れるなんて、お宝どころではありません…。

とっても勉強になりました

ナタリー・デセイさんと、演出家のジャン=フランソワ・シヴァディエさんと、指揮者のルイ・ラングレさんと、プログラムを造り込んでいく作業は、まさに真剣勝負そのものです。

もう一回くらい、観に行きたいです!

また一つ、心にお宝ができました!!





『早春』(1956)

2013年11月20日 | 邦画(クラシック)
『早春』(1956)

小津安二郎監督、池部良さん(杉山正二)、淡島千景さん(杉山昌子)、浦辺粂子さん(北川しげ)、田浦正巳さん(北川幸一)、宮口精二さん(田村精一郎)、岸惠子さん(金子千代)、
笠智衆さん(小野寺喜一)出演。


【STORY】
不倫に揺れる昭和30年代のサラリーマン夫婦を描く。

【感想レビュー】
こ、これは!びっくり!
でも面白かったです!!

あらすじも読まずに借りてきた『早春』。←いつもの事ですが…。
似たようなタイトルが多いなぁなどと、のん気に…。

観始めて、あれ?いつもの癒される感じと何か違いますけども…?

あれ…?

何か危う~い空気があって…??

二枚目俳優さんは、これまでに観た作品にもたくさん出てきましたけども、池部良さんだけ、違う空気を纏っていらっしゃいます…

西島さんが以前、“フィルメックスが待ち遠しい”というイベントでの、『50年代の時代の俳優さんで共演してみたいなぁとか、この監督の作品になら出てみたかったかなぁという方はいらっしゃいますか?』
というご質問に、池部良さんについてお話しされているのをYouTubeで拝見した事があるのです

なので…何やら分からぬまま観始めて、出演者に池部良さんのお名前を発見した時は、あ、いよいよ観れるんだ~などと、のん気に眺めていたのです

池部さん…色気が迸っていて、西島さんみたいでした…。

そして!!

小さい頃から観ていた向田邦子作品で、すっかり好きな岸恵子さん

…が、あれ?
既婚者にちょっかい出してる…?
なんてぴったりな役を、こんなお若い時から演じてらっしゃるんだ…!


夜中だったのと、144分もあるのとで、時折スーッと眠気に引っ張られそうになりながら、漫然と観たのですが、キスシーンですっかり冴え冴えに!!!


もしかして…西島さんが、池部良さんのお名前を出されたのは、ご自分が映画で演じる役柄との何か共通項みたいなものを意識されているからなんじゃ…(二枚目、色気纏う、何考えているか掴めない…etc、etc…)

これは、池部良さんの作品を観る旅も始めなければ‼


そして、印象的な台詞が沢山あります。

『ふるくたってね、人間に変わりはないよ』
↑この映画から、もうずいぶん経ちますが、人の意識は変わったようで、あんまり実は変わっていかないものだなぁ、などと思いました。

『色々な事があって、だんだん本当の夫婦になるんだよ』
↑笠智衆さんのこの台詞、前に観た作品でもありました

あ、サラリーマンの悲哀も描かれていました。
池部良さんの妙な色気の衝撃でちょっと吹っ飛びましたけども…

今回の作品は、あまりに毛色が違ったので、小津監督作品は癒されるなぁなどと思っていた私には、良いスパイスでした

どんどん観なければ


『秋刀魚の味』(1962)

2013年11月19日 | 邦画(クラシック)
『秋刀魚の味』(1962)

小津安二郎監督、岩下志麻さん、笠智衆さん、佐田啓二さん、岡田茉莉子さん出演。


【STORY】
小津安二郎監督の遺作。
婚期を迎えた美しい娘・路子(岩下志麻)と暮らす、妻に先立たれた初老のサラリーマン(笠智衆)の姿をコメディタッチで描く。

【感想レビュー】
この作品もまた、娘の結婚をめぐる父親の心の機微がテーマでしたけども、味わい深かったです

笠智衆さんのシーンが沢山あって嬉しかったです。
どんどん好きに…


↑このカット…可愛いいし、素敵過ぎました

また、先の戦争に敗けた事、そして馬鹿な連中が威張らなくなって良くなった…のような台詞が堂々とあって、まだほんの少ししか観ていないので、分からないですけども、小津作品の50年代の作品と一線を画すのかなぁなどと思いました

『お茶漬けの味』にも、戦争は嫌だった、という台詞はありましたけども…。

そして、岩下志麻さんや岸田今日子さんが!!お綺麗だし可愛いらしくて

また今年のトレンドでもありますけども、デジタルリマスターで観る赤いリップ💄は、なんとも新しく感じさせますし、女性の強い美しさを感じさせます


建物の造形美も素敵でした!
四角くて、コンクリートのシンプルな造りの

この色褪せて映す?のか映る?のか…、専門的な事は分かりませんが、それに、“朱色よりの濃い赤”や“褪せたエメラルド色”や“くすんだ青色”の小道具や衣装が映えて映えて

オシャレ過ぎます!
観ているだけでワクワクします。


色んな世代の、様々な立場の登場人物が出てきますけども、それぞれの内面がきちんと描かれていて、人の一生をおしえてくれます。

人生は、重く、永く、愛おしく、愚かしく、楽しく、淋しく、温かく…そんな風に過ぎていくのかしら…。

そして、人間の色んな事を静かに引き受けて、今日も明日も、そのお家の廊下は在り、階段は在り、玄関もお台所も在り、淡々と佇んでいる感じが、たまらなく愛おしいと思いました

『彼岸花』(1958)

2013年11月17日 | 邦画(クラシック)
『彼岸花』(1958)

小津安二郎監督、佐分利信さん、有馬稲子さん、山本富士子さん、久我美子さん、田中絹代さん、佐田啓二さん、高橋貞二さん、笠智衆さん出演。

小津監督初めてのカラー映画として知られる。


【STORY】
結婚期にある三人の娘と、容易に意見の合わないそれぞれの家庭の親とを描いた作品。

【感想レビュー】
小津作品も病みつきになってきて『お茶漬けの味』に続き、観てみました

佐分利信さん、今回はちょっと、威厳のある頑固親父役でした
愛すべき頑固親父です

デジタルリマスター版で観たので、楽しみにしていた小津カラーを存分に味わいました!

有名な、赤色というよりは濃い朱色のような小津カラーが、散りばめられていて、素晴らしかったです

特に印象的だったのは、“ヤカン”ですが、この“ヤカン”が、色んな場所に佇んでいて、まるでお家の中の空気を映し出しているようでした




↑この画像はデジタルリマスター前のかなと思います。上下のと比べると色が出てないのが分かります。
この“ヤカン”の佇まいが何ともはや…♡


小津監督にとって、初のカラー映画だったという事で、並々ならぬ想いで臨み、細部に至るまでの拘りが凄かったとの事。

朱色が、濃く美しく映えるようにか、他は少し色褪せたように感じさせる配色でした


『ちょいと』や『いやよ』っていう台詞が耳に残ります

笠智衆さん、この作品でも素敵でした



『渋谷』(2008)

2013年11月16日 | 邦画(1990年以降)
『渋谷』(2008)

西谷真一監督、綾野剛さん、佐津川愛美さん、松田美由紀さん、井浦新さん出演。


【STORY】
写真家、藤原新也が1人の少女との出会いとその結末を描いたノンフィクション作品を「青空のルーレット」の西谷真一が映画化。渋谷の路上で出会った母と娘の愛憎を「殯の森」のカメラマン中野英世がドキュメンタリーのようなタッチで捉える。(Movie Walkerより)

【感想レビュー】
90年代の半ば以降を学生時分、“渋谷”で過ごした私にとって、“渋谷”は今でも何か特別な思い入れのある街です。

スクランブル交差点は、まさに渋谷を象徴する場所です。

多感な年頃だった当時、あの排他的な感じを味わいたくて、よく行ったなぁとしみじみ思い出します。


映画の少女達も、あのスクランブル交差点で味わう排他的な感覚に、癒しと同時に刹那的な哀しみを覚えるのでしょうか…。

軸となる母娘のバックグラウンドについて、台詞による説明が多いのですが、取材という設定なので、自然に展開されました。

78分という短い作品ながら、ある母娘の側面を描いています。

少し物足りない感じは否めませんが、
自分を投影し、行間を補填しつつ観る見方をすれば、作品の意図するメッセージを感じる事が出来るかもしれません。

むしろ、それによって、この映画は完成するのかもしれません。

この映画のように母娘でなくても、人間関係において何か蟠りがある場合、この“許す”、“赦す”事が出来れば、自分自身を解放する事が出来るのでしょうけど、それはなかなかに難しい事なのかもしれません。

でもそれしか、乗り越える道は無いのかもしれません。。

ある一つの道しるべを感じました