消費増税をめぐる中央3紙と北海道新聞

野田内閣は消費税を2014年4月に8%、そして1年後の10月に10%にするという法案を国会に提出することにした。そして6月21日までの今国会で成立させるべく、「政治生命をかける」のみならず「命まで賭ける」という野田首相は最大限の決意を表明している。
民主党は3年前の総選挙時のマニフェストでは触れていないし、前の菅内閣は消費税アップを掲げて参院選で大敗した。また「任期中には消費税アップはしない」という約束もあったはずだが、2014年は「任期中ではない」と言う。

私の家に毎朝3つの新聞が配達される。北海道新聞と読売新聞としんぶん赤旗。今日は幸い予定がなかったこともあって、丁寧にこの3つを読んだ。赤旗は別として、道新と読売のコントラストが非常に際立っていることもあって、コンビニで朝日と毎日も買って消費税に関する主潮を比べることにした。主として社説を比べる。

道新は、社説で「国民不在の政治、目に余る」として、政府のいう「国民負担と社会保障の一体改革」はその名に値しない、と論じる。財政悪化の原因は消費税率が低かったからではない。放漫財政や景気低迷による所得税などの伸び悩みに問題があった。また消費税アップで福祉充実というがその見通しは全くできていない、という。消費増税は疑問として批判を明確にしている。

読売新聞は、「首相は審議入りへ環境整えよ」と野党(自民公明)との政策スクラムを強めるように主張する。行政のスリム化だけでは財政不足を補うことができない。消費増税は避けられない、いろいろマニフェストで言っていたことも「実現にこだわるな」と忠告する。有権者との約束など気にしないで増税しろ、というわけだ。社説とは別に同紙一面で「消費税法案の成立への『覚悟』を示せ」と野田内閣を叱咤激励する。

毎日や朝日もほぼ同じ論著。毎日は「消費増税のために民・自合意形成に全力を挙げよ」と野田・谷垣両首脳の力量アップを激励し期待する。朝日も、なぜ増税が必要か、なぜ消費税か、つけ回しはダメ、支出減などでは間に合わない、景気回復まで待てない、といった論調である。
(ところが朝日は「負担に見合う改革か」と8%、10%になった場合の問題点を説明している!)。

中央3紙(多分他にも同じ傾向の新聞はたくさんあるだろう)の、この増税旗振り役は異常としか思えない。仮に将来的に増税が必要という場合であっても、もっともっと丁寧に経済の動きや国民の負担の状況などをみるべきだろう。野田内閣が説明責任を果たしていないというようなことを言っているが、他方では「そんなゆうちょうなことを議論している場合か。今はとにかく増税路線で進めるしか道がないのだ 」といっている。民主党は自民党と一緒になって税金アップの道をまっしぐらに進め、という。

こういう増税しか道がないという世論形成の方向をマスコミが進めていることに恐ろしさを感じるのは私一人だろうか。
多くの国民は消費増税に反対していることもあるが、中央紙には国民の意見も「踏みにじれ」と言っているようなことではないのか。

それにつけても北海道新聞の「正常な意見」に激励を送りたい。

 

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