「挑戦」という語句が躍る

安倍首相の施政方針演説が今朝(23日)の朝刊に載っている。赤ペンを手にしっかりと読んだ。とにかく「挑戦」だ。挑戦のオンパレード。
「挑戦」という語は多くのまた大きな意味を含んでいる。新しいことを果敢に行う、いろいろな反対や冷やかしや批判があっても断固として進める、など。この言葉を個人が、あるいは一つの団体がいう場合には、文字通りの決意の表明になる。しかし一国の指導者がいう場合には、反対論を抑えて…という側面が小さくないのではないか。
 
安部演説の最後に強調されている日本の孤児院創設者というべき石井十次という人の言「為せよ、屈するなかれ。時重なればその事必ず成らん」との「挑戦」を附言している。誰がなんと言おうと自分のやりたいことは断固としてやるんだ、という政治の分野では言ってはいけないことを言っているように聞こえる。いろいろな意見を受け止めて民主的に議論して進めたいというのが本当の政治家ではないのだろうか。
 
安部演説の冒頭に、滅び行く徳川幕府を見た小栗上野介(こうずけのすけ)が言った「一言以て国をほろぼすもの」があげるなら「どうかなろう」という言葉だと引用している。最初の語と最後の語をつなげていうなら「人がなんと言おうと自分がやりたいと考えたことは進める」という独裁者の姿勢の宣言だ。
 
 安倍首相は演説の中で「挑戦」この単語をその見出しも含めて数えると20回以上言っている。初めのうちは、安倍首相の不退転の決意が表明されているな、と思ったが終わりの方になると、「国民が何をいおうとオレはやるんだ、それが政治家安部の行動原理だ」という宣言に聞こえてきた。民主党の幹部がかつてのヒトラーの言に似ているという評価をしているようだが、まさにそういう感が否めない。
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