台風19号と千曲川

いろいろな記事を読めば読むほど「どうしてこんなに犠牲が多かったのだろう?」という疑問がわく。死者100人に近い。

思えばあの台風が本州に近づきつつあったとき、NHKは何度も「命を守ることに全力をあげましょう」という意味の言葉を言っていた。もちろんだからといって誰もがそれを気にかけていないなどとは思わない。誰もが必死になって「命をまもる」行動をとったのだろう。しかしそれにもかかわらずの犠牲だ。
いろいろな思いがあったのだろう。それを想像しても仕方がない。今後の教訓にすることだ。

千曲川が氾濫というニュースを聞いて、私などその昔記憶にとどめた島崎藤村の「千曲川旅情の歌」を思った。あのロマンティックな詩にある川が猛威を振るったのか、と。
 小諸なる 古城のほとり
 雲白く 遊子(ゆうし)悲しむ
 緑なす はこべは萌えず
 若草も 籍(し)くによしなし
 しろがねの 衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
 日に溶けて 淡雪(あわゆき)流る

また阿武隈川も災害の川になったようだが、この川については高村光太郎の「智恵子抄」の中にある詩を思い出す。
 あれが阿多多羅山、
 あの光るのが阿武隈川。
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