「おくのほそ道」2(持って歩く荷がつらい)

この数日、この書にすっかり魅せられて、何冊かの「おくのほそ道」関係の書を図書館からかりて読んでいる。あらためて今に感じていることを記してみよう。
江戸から京まで、約124里(490キロ)を、156日かけて踏破する。しかしこの間、各地の知人や俳句の弟子などのウチに泊めてもらっている。長い日数でいえば、13泊とか10泊とか、これらは合わせて61泊ある。だから歩いた日数を引き算するとだいたい90日ほどだろうか。だから前記490キロを90で割ると、一日あたりおおよそ27キロという計算だ。

私が勤めていた学園では、真駒内から支笏湖まで歩くという強歩遠足があった。距離は33キロ。これはほとんどが山道だが、整備された「歩道」であるし、靴もそれなりの準備、荷物も軽い。
60歳代で私は5回完歩した。他に途中クルマにひろってもらったりしたことも数回あったか。だから芭蕉が一日30キロ足らずを歩くのはそれほど驚くものでもないのだが、ほぼ5か月間毎日30キロ前後歩くのは、当時の年齢で46歳の芭蕉さんにしてはやはり驚嘆だ。

芭蕉は、「ほそ道」の初めにこう嘆いている。「からだ一つという気持ちで出発したが、痩せ細った肩にのせた荷物が私を苦しめる。夜の寒さを防ぐ物、浴衣や雨具、筆記用具、またいただいた餞別の品々など、うち捨てがたく持って歩く。道中の煩い(わずらい)になるのだが仕方がない」と。
これに先立って「もし生きて帰ることがあったら…」という文章を記し、嘆きの言葉を続けている。
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