「それをお金で買いますか」

これはマイケル・サンデル教授の著書のタイトルである。サブに「市場主義の限界」とある。
序章から少し引用する。
「世の中にはお金で買えないものがある。だが、最近ではあまり多くはない。いまや、ほとんどあらゆるものが売りに出されているのだ」。

その例として
・ 刑務所の独房の格上げ:一晩82ドル
・ 1人で車に乗っていても相乗り車線を利用できる権利:ラッシュアワーのあいだ8ドル
・ インドの代理妻による妊娠代行サービス:6250ドル。(料金はアメリカの相場の3分の1にも満たないのだそうだ)
・ 絶滅の危機に瀕しているクロサイを撃つ権利:15万ドル
などなど。

続けてサンデル教授は「現金を手にする必要があるなら、こんな奇抜な方法をとることも可能だ」として例示している。しかし実際に行われているものもあるらしい。
・ 額(ひたい)あるいは身体のどこかほかの部分のスペースを広告用に貸し出す:777ドル
・ 製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモットになる:7500ドル
・ 民間軍事会社の一員としてソマリアやアフガニスタンで戦う:1月に250ドルから1日1000ドルまで
・ 病人や高齢者の生命保険を買って、彼らが生きているあいだは年間保険料を払い、死んだときに死亡給付金を受け取る:ことによると数百万ドル(保険内容による)(このような形の賭博が300億ドル産業になっているのだそうだ)
などなど。

このようにお金万能の社会の「市場原理主義」は繁栄と自由の鍵を握ったが、今日にはこれは疑われ出した。「市場勝利主義の時代は終わった」のだ。「市場をあるべき場所にとどめておくことの意味について公に議論する必要がある」。

日本の社会でもどんどんお金万能の傾向が進んでいる。これに「待った」をかける論理をしっかりもっていくことの大事さをもつことだ。

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