「自由と民主主義が発展する」ことが歴史の発展だった?

私を含め多くの日本人は、特に20世紀前半の日本の戦争政策の失敗(日本の敗戦、アジア諸国への非常な犠牲を強いたこと)を骨の髄まで体験し、そして戦後の自由と民主主義の発展、経済の発展などから多くの国民は「民主主義はやはり勝利したんだ。われわれはこの歴史的恩恵を享受しえた」と実感してきた。戦後70年余の歩みは、あれこれのできごとがあったにしても大筋そういう認識をしてきたのではなかったろうか。経済発展もあり、多くの人びとの生活水準も向上してきた。

しかし、この数年(十年以上?)、このような受け止めかたができない感じが多くの人の気持ちになってきたのではないだろうか。日本の右肩上がりの経済的発展も、国際的競争力も、はてな?と思うような状況になってきた。そして、いわゆる民主国家といえないロシアや中国が経済的成長をとげ、国際的にもいわゆる自由主義国家よりも発言力を強くしてきたように思う。

ウクライナ戦争が、専制国家対民主国家の対立抗争という性格でくくることは難しいのかも知れないが、私など、単純ではないが、そういった性格をもった戦争といっていいと思っている。そして、20世紀の歴史の教訓から、専制国家に対しては民主主義国家は最終的に勝利する、と思ってきた。しかしそう単純にいえるのか。そして世界の200の国家は、民主主義国家よりもむしろ専制国家と言われる国々の方が政治的文化的経済的に重要な役割を果たそうとしているのではないか、とすら思うのだがどうだろう。

「民主主義国家」とされる日本でも、有権者が自分たちの代表を選ぶための投票行為を行うのは6割前後なのだから、そもそも民主主義国家といえるかどうか疑問ではないか。

「自由と民主主義が発展してきた。それが人類の必然的歩みだった」と子どもたちに胸をはって大人が言えるようになりたいものだ、と思う昨今だが。
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