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日記 … Kametarou Blog
「新・平家物語」読了
この6月から読み始めた吉川英治作「新・平家物語」講談社文庫版16巻を「一応」読み終えることができた。一応というのは、特にこの第15と第16巻は読み進めるに心が辛くなり、非常なスピードで走り読みしたからである。どうして辛くなったか、といえばこれまた言うまでもないのだが、兄のために粉骨砕身働き平家を壇ノ浦で滅亡させる重要な役割を果たした義経主従(弁慶など)を、頼朝直系の家臣である梶原の讒言もあったにしても、兄頼朝は徹底的に追及して最後は衣川で死においやる、そのプロセスを読み進めることが辛かった。
作家吉川英治は、この作品を昭和25年から書き始め、「完」を記したのが昭和32年だった。古典平家はもとより、鎌倉初期の歴史物や公家たちの日記、あらゆる文献を渉猟して、作者の想像をもって大きな肉付けをし、壮大は人間と人間群の物語をつくりあげた。喜びや憎しみや復讐心、人間のずるさ、おもねりや媚び、しかしその反動としての底の浅い人間として評価されて消されることなど、人間のもつあらゆる正と負の側面があぶり出される。
そして究極の勝者であった源頼朝もまた京に上り頂点をきわめた4年後死ぬ。この間のことを作者は「それからの頼朝は、というよりは源家の衰運は、まうでつるべ落しの秋の陽だった」と記す。
古典平家物語冒頭の誰もが知っている「諸行無常」「盛者必衰」そのものだった。
平清盛のデビューから始まり源頼朝の死までの約80年間の激動を描いている歴史文学である。来年のNHK大河ドラマはこの清盛が主人公であるというが、興味津々という思いだ。
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